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中小企業は、どの価格帯を選ぶべきか?

 自社が販売する商品の「品質」と、その「価格」をどうすべきか?
 この問題は、いつも社長を悩ませます。

 いくら「品質」に自信があっても、いたずらに「価格」を上げれば、お客様にそっぽを向かれるかも知れない。
 逆に「価格」を安くすれば、数を売ることが必要になる。本当にいっぱい売れるだろうか……。
 そんなことを考えていると、得てしてどっちつかずの商品になってしまい、商品の価値や特長があいまいに。これでは、競合他社の商品とのちがいが消費者に伝わらず、余計に販売不振になってしまいます。

 私は中小企業にとって、商品の「値付け」は命だと考えています。
 自分の少なからぬ経験からも、これは自信をもって言い切れます。

 私が経営する会社が扱う商品の販売先は法人です。つまり、B2Bです。創業以来、上場・非上場企業、中小・中堅・大企業へと、さまざまな規模・業態の企業に、さまざまな価格の商品を売ってきました。
 まったく同様の「品質」であるにも関わらず、その「価格」は2倍とか3倍、ひどい時は5倍以上の差が出ることを、経験上、よく知ってます。

 では、なぜ、高く販売できないのか?

 この理由も明白で「高い見積書を出せば、取引を断られるかも知れない」という心配があるからです。
 特に起業したばかりの中小企業は、そもそも、お客様がいません。さんざん苦労して、ようやく見つけた見込客ですから、どうにかして取引につなげたいと思うわけです。信用も実績もないため、初めて出会ったばかりのお客様は、なかなか発注してくれません。だから中小企業は、価格を安くしてでも、受注しに行こうと考えるのです。

 ただ、安くすれば売れるかというとそうでもなく、

「そんな安い商品なんか、信用できない」

と取引を見送られることもあって、本当に「値付け」というのは奥が深いものだと痛感します。会社設立から15年が過ぎたいまも、四苦八苦しているんですから。

 中小企業が「値付」けを考えるとき、ヒントとなるアイデアをご紹介しましょう。
 これは、とあるセミナーに参加したとき、講師の方が話していたことですが、その話を聞いて以来、ずっと肝に銘じている考え方です。それは……

世の中には、2つの商品しか存在しない。
(1)価格が安くて、品質が悪い商品。
(2)価格が高くて、品質が良い商品。
多くのお客さんは、
「価格が安くて、品質が良い商品」
を探そうとするが、それはあり得ない。
ただし、問題なのは、
「価格が高くて、品質が悪い商品」
があるのも事実。だから、厄介なんだ。

つまり、これを図にすると、こういうことです。

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 そこで、中小企業は、どの象限をねらうべきなのか。
 B2Bに限っていえば、結論は決まっています。そうです。
 「価格が高くて、品質が良い商品」ですね。

 「価格が安くて、品質が悪い商品」の市場では、やはり大手企業には勝つことができません。彼らは、信用があるため大量に売ることが得意です。材料をたくさん購入すれば仕入単価を下げることができるし、最新の設備で人件費を最小にして大量生産することも可能です。あるいは、もっと人件費の安い海外の工場で生産することだってできます。こうなると、中小企業に勝ち目はありません。選ぶべき道は、右上の象限になります。

重要なのは、ここからです。

 そうはいっても、右上の象限は儲かるため、当然ながら、すでに大手企業も参入しています。ただ、参入しただけでは、大手に勝つのは困難ですね。

そこで、中小企業が攻めるべき市場は、左上の象限。
「価格は高くて、品質が悪い商品」であふれかえっている市場を見つけて、その市場に、品質の良い商品をもって参入するわけです。

 商品を買う側に立って、よ~く観察してみると、こういう市場はまだまだいっぱい存在しています。

①「大手企業というだけで、ぼったくっている市場」
②「一見、参入障壁が高そうだが、実はそうでもない市場」
③「何十年も、価格が高止まりしている市場」  など

 私が仕事をしている広告・広報業界でも、こんな「美味しい」市場をいくつか見つけました。そんな市場は、発注元企業であるお客様が大変困っているので、意外にも簡単に発注を決めてくれるケースが多いのです。

 あなたの業界にも、必ずそんな市場があるはず。
 信じるのは、あなた次第です。

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