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④アトピーな私の実践学~何年ぶりだろう、風を感じながら瞼が熱くなった〜

④アトピーな私の実践学~何年ぶりだろう、風を感じながら瞼が熱くなった〜


🟡音声で聴きたい方はこちらから→https://youtu.be/AqSCh85j1hU

皮膚がガチガチに固まり、汁や血が吹き出し、全身の関節部分が割れる。

顔も皮膚が固くなり赤ら顔状態。

瞼は腫れ、眉毛は抜け落ち、表情さえ作れない。

耳もプラスチックのようにカチカチに固まり汁で覆われ眠れない日々。

脱ステロイド治療…自分なりに頑張ってきたけれど…

長い長い5年が経った時、精神的限界を感じた。

一体いつまでこれが続くのだろう…

来年には治るのだろうか、再来年?あと5年?

…もう心身共に疲れてしまった自分がいた。

そんな私には、いつも心寄り添える無二の友人がいる。
気づいたら彼女にメールをしていた。
すると彼女から、すぐに電話がかかってきて
2時間位かけて、ステロイドが怖くないことを一生懸命私に話してくれた。
彼女の旦那さんからも医師の視点からきちんと使えば大丈夫という事を説明してくれた。
日本とアメリカの国際電話。向こうは明け方だったと思う。

嬉しかった。
あれだけステロイドは悪!!と思っていた私だったが、すんなり受け入れられた。
それ位疲れていたのだ。そして、友人の想いに感謝で涙が出た。

出口のない暗い穴の底にいた私に小さな光が差した気がした。
友人から言わせると
「大海原からの一本釣り」だという。

荒れた海の中をもがいて苦しんで、でも信じて頑張っていた私。
一大決心で飛び込んだので相当な覚悟だった私を彼女は見守り応援してくれていた。
その一方で、3年〜4年と改善しない私を見て心配し
彼女は私のために東京の皮膚科医を数人厳選し調べ上げていてくれた。
実際、彼女に相談した時は何かを調べたり出来る状態ではなかったのでとても助かった。

そして、何人かの皮膚科医を一度見渡した私は
不思議なことに一瞬で一人の皮膚科医に決めていた。

友人からも決断が早すぎたからか一晩考えてから・・・
とアドバイスをもらい、一晩は、考えた(実際は考えていなかったのだと思う)

思考がほぼ停止していたので
逆に感覚が研ぎ澄まされていたのか・・・

ステロイド治療に踏み切る事を決めた私は、
今すぐにでも始めたくなり、決めた翌日に友人から教えてもらった先生に会いに行った。
一日でも早くこの辛い状態から抜け出したかったのだ。
地方から東京までの新幹線、約2時間だったが、体が悲鳴をあげていたので辛かった。
でも、行って良かった!!
先生に会った瞬間「よし、アトピー、治るぞ」と瞬時に感じた。
「アトピーを治します!」という情熱に満ち溢れている先生の言葉一つ一つに、私は希望をもった。


ステロイドと運動療法で治していくという
西洋医学と東洋医学の融合。
これは目から鱗だったが納得できる指導だった。
当日、ステロイドを処方されたが不安はなく
先生に教えてもらった塗り方でしっかり塗り始めた。


初日、診察中にステロイド塗ったからか、すでに帰宅した時には既に体が楽になっていた。
あの痺れるような強い痒みが少し和らいでいた。

次の日には腕や足をピンと伸ばせるようになり、
その次の日には耳や顔、首の汁が止まった。
皮膚の状態も、流石にまだ硬いが、傷が塞がったので痛みが激減!
固まっていた体がほぐれる。

3日目、暖かい外の風が心地良く感じた。
何年ぶりだろう。風を感じながら瞼が熱くなった。

二回目の診察で顔はかなり回復したので
ヒルドイドローションとプロトピックを使い分けて。
体はまだゴワゴワガサガサが結構あるので、ステロイド。
強さは部分的に変えながら継続となった。

肌の状態で細かく塗り分けしていく、ここも今まで知らなかった使い方。
先生は私の肌を細かく触りながらここはこの薬、ここはこの薬、と丁寧に判断してくれる。
この塗り分けがポイントらしい…

体が楽になると、自然とやる気が出てくる。
ダイエットを始めて体重が減ってくると更にやる気が出る!そんな感じだ。
東京往復も苦ではなくなった。

日毎に肌が変わっていく。朝起きて顔を触った。
「おぉっっ!!」ツルツルして気持ちいい~!
いちいち感動する
今更だが、なぜもっと早くステロイド治療に踏み切れなかったのだろう。
あれだけステロイドは悪!!!と徹底して信じてきた私だが、その反面、
辛すぎて「もうステロイドを使ってしまおうか……!!」と何度思った事か…。


でも脱ステ期間が長引けば長引くほど、ここまで頑張ってきたのに…
無駄になるんじゃないか、
負けになるんじゃないか、と思った。
あともう少し頑張ったら楽になる!
だから、あと、もう少しがんばってみようか!!とその時は自分に言い聞かせていた。

脱ステ中は常に自分と闘っている。
常に自問自答しながらがんばれ!がんばれ!!がんばれー!!!と励ましていた。
そして、脱ステ中にお世話になった先生の影響も大きい。

私が脱ステで出会った新潟の先生はいい人だった。
こんなにしっかり見てくれているのだから、頑張らなきゃ!と、
いつしか先生のためにも!!なんて、履き違えた考えになっていた。

「ステロイドは絶対に使ってはダメ!
脱ステでしっかり出しているのだから、もうあなたの体にステロイドは効かないよ。」

だから、もう私には脱ステの道しかないのだと思っていた。
一瞬、疑問に思ったが、その時はもう痒みと痛みで冷静な判断力も欠けていたのか。

どんなにいい人でも、結果が出なければ、意味がない。
先生が私の人生なんとかしてくれる訳ではないのだ。
なんとか出来るのは自分自身。
それも今の先生に教えられたのだ。

体の状態が酷いと、本当に判断力や理解力に欠ける。
話しを聞こうと思っても集中できない程、痒いのだ。
難しい話しじゃない単なる日常会話も難しい。
コミニュケーションが取りづらい。そして、それができない自分に自己嫌悪の日々だった。

治療を始めて7日目からウォーキングを始めた。
まだ3日しか経ってないし、一日置きだが、姿勢や足の運び方を意識して歩いたら、
ふくらはぎと下腹部が筋肉痛(笑)使ってなかったんだなぁー。でも、気持ちいい!
じんわり汗をかいたが、痒くない!!るんるんな気分♪

脱ステ中は運動したくても出来なかった。
「がんばれば出来るんじゃない?」と思う人もいるかもしれない。
でも、実際動くと無数のひび割れが一気にバリバリと裂けたり…する。
今思い出してもゾワッとする、その後、汁がじゅわじゅわ出る。汗をかこうものなら、、激しく痒い。
何度近くのデパートのトイレに駆け込んで掻き毟った事か。


一日に、何度も体が喜んでるのを感じる。久々の感覚。良い感じのザワザワ感…。
言葉で説明するのは難しい。ザワザワっザワザワって体が喜んでいる。小さな幸せ。

体はまだガサガサ部分が多いが、痒みが殆どない!痒くないなんて…パラダイス!!
風呂あがりは今まで乾燥でカッピカピだったが、今はゆっくり、落ちついて薬が塗れる。幸せ。


肌を触ってみると、ゴワゴワ、ガサガサ、ザラザラ、カサカサ、ツルツル、に分かれる。
自分の肌をそんなに細かく触った事はなかった。
今は、それぞれの触り心地で薬を塗り分けている。なんか新鮮!
過去に行った皮膚科では、もっとアバウトだった。
診察では、先生が私の体を細かく丁寧に触りながらみてくれて、ここにはこの薬、と指示してくれる。
皮膚を触り、確かめながら塗るのは少し面倒だと思ったが、
日に日にツルツル部分が少しずつだが増えていくのがわかり、なんだか……嬉しい!!


正直、薬はまだ少し怖い。
脱ステ中の人はもちろん、脱ステ経験者にはこの感覚、理解できるだろう。
でもその反面、やはり肌が変わっていく度、どんどん前向きになっていく。
脱ステ中もポジティブに!!笑う!!を心掛けていたが、感覚が全然違う。
努力して一生懸命笑うようにしていた。
辛い時は、バラエティ番組などを見まくって笑うようにしていた。

脱ステ中、朝起きて鏡をみて泣いていた。
鏡にうつる自分の顔を受け入れられなかった。あまりにも醜い。
全身ガビガビなのだが、一番ショックなのはやはり顔だ。
一番酷い時には、誰だかわからなくなっていた。
表情も作れないし、出来るだけ見たくなかった。

でも今は鏡を見るのが楽しみになった。
ツルツルな顔を触る。諦めていた弾力も…ん?!戻ってきた…?…!!
気持ちいい。気持ちいい肌、久しぶり!

最近、朝から毎日ストレッチ&筋トレ!凄く気持ちいい。ストレッチしながら思った。
「脱ステ中は殆どしなかった…というか、できなかったなぁ…」
痛いし痒いし、それどころではなかった。こんな気持ちは何年ぶり……?
痒みと痛みで寝れない辛さも消えた。
まだ少し起きたりするが、眠りの質が全然違うのは確実にわかる。
あの日決心し、よっしゃ!と思い切って脱ステを止めなかったら
今も体がガチガチで筋肉がなく、鏡みて泣いている私だった。
体が気持ちいい!と思うことはとても大切なことだと改めて思う。

こうして私は痒み地獄から脱出できた。


人生はいつからでもやり直せる。
という言葉を聞く。確かにそうだ。

無駄なことなどない、全てに意味がある。
という言葉を聞く。確かにそうだ。

だけど、時間は有限、人生にも終わりはくる。

家族、友人、恋人、仕事仲間との
コミュニケーション
活発なアイデアや意見交換
お腹を抱えるほどの楽しい時間
膝と膝を突き合わせての相談
切なく愛おしい気持ちの積み重ね

そんな、当たり前の思い出の蓄積が

痒みで思考が支配され
空白の時間とならないように

少しでも早く
当たり前に過ごせるように・・・

私と同じ経験をしている人で
中々出口が見えない人がいたら
私でよかったら相談に乗りたい。

一人で、穴の中で耐えるには
あまりにも辛すぎる決断だから。


体験した人にしかわからない本当の話。


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