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モダンチェンバロとヒストリカルチェンバロ

先日のレコーディングで気がついたこと。お話を頂いた時に、最初はリコーダーとの合わせものということでバロックを意識しましたが、プログラムはシュテープス(1909ー 1988)オーストリアの作品。(1956年、1971年、1989年)。モダンチェンバロでやりたいというご希望でした。
さて、この時代、チェンバロといえばモダンチェンバロからヒストリカルチェンバロに世の中の興味が移行していく時代です。しかも強烈な古楽復興ブームに乗りヒストリカルのオリジナルのコピーや現代製作家の新作が現れ、モダンチェンバロはあっという間に横に押しやられました。ウィーンではどうだったのか?ですが、アールグリム先生はモダンで演奏されていたし、まだまだモダンチェンバロが活躍していたと思われます。いえ、モダンチェンバロが全くなくなったわけではなく、踏ん張っていた部分もあって、ある意味両立していた時期です。
さて、作品の楽譜を見ると強弱記号もレジスター指示もありません。何故かアクセント記号は多い印象です。こういう場合、私の経験ではピアノ伴奏まで想定しているはずです。まさに3曲中1曲のみチェンバロと通奏低音のために書かれていますが、後の2曲は指示なしです。
リコーダーという楽器が広く親しまれてきたこと、シュテープス氏がリコーダー奏者
いろいろな可能性がありますが、今回はモダンチェンバロのレジスターにかけてみようと思いました。
結果はチェンバロでもない、ピアノでもない効果が得られたのではないかと思っています。そんな音が作れたのはシュテープス氏の作品があってのことです。
改めて今回は私にとってもモダンチェンバロにとっても新しい経験でした。

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