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『震災ジャンキー』書評まとめ

 本屋に行くたび「こんなにたくさん本があるんだから書かせてくれてもいいのに」って思ってた。でも実際書いたら「こんなにたくさんの本の中から選んでもらえるのはもう奇跡だ」と思った。
 初めての著書『震災ジャンキー』が発売されてから1年ほどが過ぎた。いろいろなところで紹介いただいた。全部は追いきれないが、主だった書評をまとめておく。転載しちゃうけど大丈夫かな? 怒られるかな? 時効かな? 目をつぶっていただけたら幸いです。

●福島民報ほか
福島民報はじめ地方紙、ブロック紙に掲載された書評家・冬木糸一さんの書評。
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「他人に自分を捧げるなんてことはしたくない」と語る著者が、それでもなお被災地へと関わり続ける理由が、本書にはしっかりと記されている。(略)今改めて、継続的な支援のあり方、被災地との関わり方を捉え直す、そのきっかけとなる一冊だ。
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福島の方にどう読まれるか。それが何より緊張するのだが、県紙に書評が載ったことで認められた気がして、嬉しかった。

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●婦人公論
100年以上の歴史を持つ雑誌・婦人公論で、詩人の渡邊十絲子さんが、数あるボランティアの手記と比較して、評してくださった。
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ボランティアの手記はたくさん読んだが、「思いやる」「寄り添う」ばかりの情緒的な話にはうんざりだし、現地での苦労話か悪者さがしに発展するのも嫌だ。読んでいてやり場のないもやもやが溜まる。しかしこの本は、読みはじめからひと味違うと感じた。(略)(著者は)<「誰かのために」なんて、嘘っぱちだ>とも言う。この視点が揺るぎないので、現地の人々の赤裸々な言動もさらりと書ける。描写はつねに落ち着いている。
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この書評がきっかけで、のちに誌面で脳科学者の茂木健一郎さんとボランティアについて対談することになった。

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●河北新報
東北最大のブロック紙・河北新報の<東北の本棚>。
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ボランティアを美化することなく、自問自答しながら、身をもって被災地で感じたことを誠実に記している。(略)(ボランティアは)一歩間違うと、自己陶酔や過剰な自尊心、自己顕示欲などが刺激され、善意の押し売りになる恐れもあると指摘。ボランティアに携わる人間の迷いや不安をなどを包み隠さずにつづっている。
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誠実に記せたかはわからないが、書きながら、生きることはなんて後ろめたいことなんだと思った。

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●週刊文春
週刊文春の書評欄、文春図書館で、エッセイストの酒井順子さんが取り上げてくださった。この視点がタイトルを思いつくきっかけでもある。さすが鋭い。
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タイトルを見た時、「あ」と思って手にとった。(略)著者は、「見る人」としてその現場に行くことではなく、行き続けることによって次第にその当事者となり、土地との結びつきを深めていくのだった。
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私自身が被災したわけではないから、当事者ではない。けれど通い続けることで、ボランティアという”当事者”になった。そして「震災ジャンキー」というタイトルを思いついた。

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これ以外にも、多くの書店や図書館で紹介いただいたり、TOKYO FMさんにいたっては速水健朗さんが取り上げてくださったり、中西哲生さんの人気番組「クロノス」に呼んでいただいたりと望外の展開だった。もちろん個人の方からもたくさん感想をお寄せいただいた。そもそも賞を受賞し出版に至ったわけで、私に本を書く力があったのかはわからないが、千年に一度の大災害の経験を書き残しておけということだったんだと思う。
冒頭にも言ったが、本を読んでいただけるというのは、本当に奇跡だし、感謝しかない。本当にありがとうございました。

ネット含め書店さんではだいぶ少なくなっているようだが、kindleなどの電子版もあるので、一人でも多くの人に読んでいただけたら幸いです。

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