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【東南アジア12】バイク、アオザイ、ベトナムコーヒー

今日も雨だ。

雨が降らなかった日は1日もない。東南アジアの雨期を甘くみすぎていた。

プノンペンをぼろバスで出発し、国境のバベットの街までガタガタ道を進んだ。

国境をまたぎ、パスポートにスタンプを押してもらい、ベトナム側のモクバイの街へ行くと、はとバスみたいなエアコン付きの豪華なバスが待っていた。

これが国力の差か。

整備された道を優雅に走り、ベトナム最大都市ホーチミンにやってきた。

旧サイゴン。

ベトナム戦争の映画を通してしか知らなかった街は、スタートダッシュを狙ってエンジンを吹かすバイク(日本が誇るスーパーカブ!)で溢れていた。

バンコクの狂騒とは異なる無口な熱気は、社会主義が醸し出すしたたかさか。スケスケのアオザイに見惚れる。高くて真新しい建物が建ち並び、完全に都市の様相だった。

旅人が集まるというファングーラオ通りは、食堂、宿、旅行会社がひしめき、バンコクのカオサンロードとなんら遜色なかった。

民家の前でたたずむ半裸のおばさんにつかまった。

「宿はどう?」

「え、ホテルなの? シングルルームは一晩いくらですか?」

こいこいと誘われるまま民家に入り、2階にあがるとシーツもないマットレスだけが置かれた部屋に通された。

「3ドル」

安い。相場はわからないが、悪くないはずだ。何より通り沿いなので便利だ。即決した。

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ファングーラオ通りには、シンカフェとキムカフェという二大勢力の旅行会社があると聞いていたが、どちらも旺盛に客引きをしていた。

カフェというくらいなので、お茶も飲める。

可愛らしい女性店員が多かったシンカフェに入り、コーヒー(ミルクティ?)を注文した。

少女のように小柄で可愛らしい店員が、注文を受けながら、嬉しそうに僕のエクボを指差してきた。

「え、何? 何かついてる?」

僕の英語は伝わらなかったようだが、彼女は自分の頬に指でエクボを作って、ニコニコして去って行った。

カンボジアといい、東南アジアではエクボが相当珍しいようだ。

はじめてのベトナムコーヒーは、フィルターで抽出した深煎りにたっぷりのコンデンスミルクが注がれていた。

グラスの下にたまったミルクをスプーンでかき混ぜながら飲む。

かなり甘ったるかったが、旅に疲れた体にはとても美味しく感じられた。

いい街だ。

到着早々、何かと便利なベトナムに気をよくしたが、すべてはそう気分よくはいかなかった。

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