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【パキスタン5】標高4700mの国境、クンジュラブ峠

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早朝、カリマバード(フンザ)からアリアバードまでミニバスでR10。そこからどでかいパスー氷河を通り、カラコルム・ハイウェイのパキスタン側の最後の村・スストまでR90。

氷河が見たのは初めて。しかも山の中にあるなんて、思ってもみなかった。あんぐりだった。

しかし、ここで予想外のことが起きた。

というかちゃんと情報集中していなかっただけなのだが、、、

金がない。

フンザで両替できると踏んでいたのだが、両替が見当たらないのだ。

スストから、お目当ての中国国境。4700メートルという世界一標高の高い国境であるクンジュラブ峠までは、ミニバスなどがないのである。

ジープかタクシーをチャーターするしかダメだという。

何とR3500。選択肢のないこちらの足元を見過ぎだ。周りにはシェアするような旅人もいない。

国境越えツアーの大型バスが止まっていたので、金を払うから国境まで乗せてもらえないかとお願いしてみたが、ノーだった。客である白人のおばさんたちは「いいじゃない」と言ってくれたのだが。。。帰りはどうするんだという問題もあるが。

何とかタクシーに頼み込んで、R2000にしてもらった。

よって残金R900足らず。

果たして、これで明日また24時間バスに乗って、イスラマバードまで帰れるのだろうか。。。こんな山奥で両替できるところがあるとも思えない。もう直接空港に行くしかないか。。。

という不安もいろいろ頭をよぎったが、こんな山奥まで来て、懐が寂しくなるのをビビってボーダーまで行かないなんて、一生の後悔だろう。

ひとまず金のことは横に置いて、クンジュラブ峠を目指した。

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山間の谷間を抜けていく。

いきなり通行止め。崩れた岩が道を塞いでしまっていた。どうするんだろうと眺めていたら、何とダイナマイトで岩を吹っ飛ばした。

何とも大胆だ。

よくそんなもの用意していたなと思ったが、ここらは貿易の要衝だし、観光の目玉でもあるから常時工事中のようだ。

圧倒的な岩場を潜り抜け、見え隠れする山々もすごく近く感じる。標高もかなり高くなってきた。

と、その先でまたもや通行止め。車を下りて見に行くと、ショベルカーで本格的に穴を埋めている最中だった。対向からは、中国からきたトラックも停車中。

30分ほどで作業も終わり、再出発。ここのポイントはよく土砂崩れが起こるらしい。ここからは、ガンガン山登り。

「パンダの赤ちゃんだ!」と運ちゃんが叫ぶ先には、焦げ茶色の小さなクマ。

白黒のジャイアントパンダかと思ったが、おそらくレッサーパンダだろう。野生なのか。国立公園なので、管理しているのかもしれない。岩場の斜面を駆け回っていた。すごい生命力だ。

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そして突然、視界がひらけた!

クンジュラブ・トップにたどり着いたのだ。

その瞬間、「アルプスの少女ハイジみたい。。。」と場違いなことを思った。

さておき、6000メートル、7000メートル級の山々が手に届きそうで、圧巻の景色だった。

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ここから緩やかに道なりに進み、ボーダーに着いた。

地上4700メートルにある高原のようなだだっ広い平地にポツンと国境だけがある。

パキスタン兵と中国兵が見張として、ライフル片手に直立不動。

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中国の観光客がパシャパシャと写真を撮っていた。

「俺も!」と写真を撮っていたら、中国側の建物なんかがフレームに入りそうになると「ノー!!」とものすごい怖い顔で中国兵に怒られてしまった。

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パキ側の兵士は、「あいつら怖いだろ」というようにニコニコ。写真も自由に撮らせてくれた。

しかし、すごい景色だ。小事がどうでもよくなる。金のことも忘れていた。この先は、中国。ウイグル自治区へいけると思うと旅情をかきたてられる。

相当寒いが、いつまでもいたかった。

雄大な景色に後ろ髪をひかれながら、帰路についた。

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