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【香港1】100万ドルの熱風

日本ではそろそろ秋の気配が漂い始める2000年9月末。香港の湿度は高く、真夏のような暑さを感じた。

空港から九龍駅まではクレジットカードで移動でき、東京よりも進んでいる印象。尖沙咀地区までの道もわかりやすく、距離も大したことがなかった。

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何かの本で読んだネイサンロード沿いにあるゲストハウスが集まる重慶大厦(チョンキンマンション)もすぐに見つかった。

めざとく客引きがやってきた。

「俺についてこい。いい宿がある」とか何とか言いながら、つきまとってくる。

有無を言わせぬ感じが怪しいので、無視して化粧品屋なんかが入っている1階をぐるっと回って、エレベーターに乗り込んだ。

するとずっとついてきていたようで、強引に乗り込んできて、「いい部屋がある、いい部屋がある」と勝手に9階のボタンを押す。

慌てて、すぐ下の8階を押して降りようとしたら、扉が開いた途端両手を広げて「ノーーー!!」とものすごい剣幕で通せんぼしてきた。

うそ! やばい閉じ込められるの?

ビビってしまい、「うおー」と急いで男の両手を潜り抜け、エレベーターから飛び出した。目をひん剥いて追いかけてくる男。

怖えええ。

目についた小さな扉から黒人の笑顔がのぞいていたので、その部屋に飛び込んだ。黒人さんが「どうした? 大丈夫かい?」と心配そうに迎えてくれた。

こんな強引な客引きは初めてだ。あまりの香港の発展ぶりに、ナメていた。怖かった。ビビった。

せっかくなので、そのまま黒人さんの「New Asia guest house」にチェックインした。

HK$100。1香港ドルが15円弱なので、1500円しないくらいだ。部屋の7割はベッドだが、テレビとファンもあり必要十分。予想以上に安くてよかった。

少し休んでから街に出た。

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高級ブランドショップや高級ホテルが並び文化施設もあって、どこかシンガポールを思わせた。

経済水準もかなり高そう。噂には聞いていたが、実際に自分の目で見るとやはり違う。

ただ3年前に中国に返還されたこともあってか、中国っぽい汚さもあり、アジアの熱風みたいな刺激的なエネルギーを感じた。

夕食は適当に入った定食屋。漢字だから、何となく素材はわかるので助かる。麺を食べたが相当美味しいし、牛肉は半端ないくらい美味しかった。やはり中華は安定して美味しくて、22ドルと安いのも助かる。

港から「100万ドルの夜景」を眺める。想像以上の景色だ。人工的な美しさ。100万ドルとは、うまく表現している。明日はビクトリアピークから夜景を眺めにいこう。

宿に戻ってくると黒人だらけだ。どうやらアフリカから出稼ぎで来ている人たちの定宿のようだった。宿のおばさんと黒人が喧嘩して、「Don't come back!!」とかおばさんに叫ばれていた。

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