九州北部輪行
朝7時羽田発。窓際の席。眼下に富士山。
久々のソラシド。無料のスープ。JALのコンソメ以来のヒットの予感。
2時間のフライトでやってきたのは、長崎県。初潜入。自転車を組み立てて、10時出発。
午前中は、まだ気温が低くて、助かる。
が、空港周りは自転車道ばかりで、並走していたら、とんでもない坂道に突入。
昨日までの豪雨のせいか、自転車を押して歩いても滑る滑る。おまけにしばらく人が歩いていなかったかのような蜘蛛の巣だらけ。
林からは大きな物音。長崎にもクマっているのか??
急坂を駆け上がった挙句、行き止まり。旅はスタートからぎこちない。
その後も、山に囲まれた長崎市内は噂通りの坂ばかり。
地元の人も「いやー自転車は乗らんねー」とのこと。確かに全然見かけない。
長崎原爆資料館。
広島の方は、20歳の時に初めて訪れ、衝撃を受けた。
それから二十数年。ある程度の経験を経たからか、なんとなく事実を確認していくような内容。
ただ実際に落とされたファットマンのフォルムには驚いた。もっと鋭角なミサイルっぽいのを想像していた。
まさに、爆弾を落とした、という感じだ。
資料館から見た爆心地。さすがに80年近く経ち面影はない。
さほど高い建物もないこの小さな町に落とす必要はあったのだろうか。
帰ったら『オッペンハイマー』観るかな。
この旅のハイライト。
原爆落下中心地の北側にある平和公園の『平和祈念像』。
天を指した右手は“原爆の脅威”を、水平に伸ばした左手は“平和”を、軽く閉じた瞼は“原爆犠牲者の冥福を祈る”という想いが込められているという。
高さ約10メートル。
当然、ビジュアルは知っていたが、こんな大きいとは思っていなかった。
この男を立ち上がらせてはいけない。
何か迫りくるものを感じた。
そこから65キロほど走り、今日の宿泊地佐世保へ。
道中、教会や修道院などが目についた。急遽予約したホテルも立派な教会のすぐ近く。
フロントの方が親切で、自転車をフロントのデスクの裏に停めさせてくれた。
夕飯は、地元のサラリーマンで賑わっていたこちらのお店へ。
皿うどんをいただいた。
平和資料館で話しかけられた方に教えてもらったのが、汁ありがちゃんぽんで、汁なしが皿うどん。あとトルコライスは長崎発祥。
太麺の皿うどんは、豚骨ベースのような風味で、なかなか東京では味わえない美味しさだった。
その後、繁華街を警ら。米軍基地も近いせいか、外国人もちらほら。なんとなくいかがわしい雰囲気が漂い、怖くなって急いでホテルに帰った。
翌朝は、5時過ぎにホテルを出発。朝は寒い。レインウェアを羽織る。
1時間ちょい走って、本土最西端へ。
早朝すぎて、誰もいない。が、それなりの達成感。
去年、北海道の稚内の最北端と根室の最東端にいったから、次は鹿児島の最南端に行きたい。秋かなー。
ただ、最西端といっても、目の前には陸地が見え、またすぐそこに港町として人々の営みもあって、最果て感は薄い。
最西端からは、いざ東へ。
佐賀県に突入し、有田、伊万里といった焼き物の街をぐんぐん走る。
途中、どでかい看板に誘われて、トリ屋へ。
若鶏を焼きつつ、鳥飯をいただいた。
味というより量が多く、ロングライドの身には嬉しい。
あれよあれよと、最西端から120キロ、スタートから150キロほど走って、今日の宿泊地、福岡県の和白へ。
福岡はさすが大都市。長崎、佐賀ではあまりお目にかからなかった外車もバンバン走っている。
そして、この和白の街は、めちゃくちゃインド系の人たちがいる。インド人街でもあるのだろうか。
さておき、地元の人で賑わっていそうなラーメン屋で夕食。
ここがめちゃくちゃ美味しかった。
元祖野菜系とんこつなるクーニャンラーメンは、細麺のとんこつラーメンにちゃんぽんばりの野菜がたっぷり。
かなり好みの味だった。
セットの半チャーハンも完全に1人前の量。
子連れ客も多く、それを歓迎しているなんともアットホームな雰囲気で、とても気持ちのいいお店だった。
さて、3日目は朝から雨。
旅は止まるわけにはいかないので、レインウェアを羽織って、爆走。
ペースは上がらないまま、なんとか9時頃に門司に街に着く。ようやく雨もあがった。
山口県の下関と門司を結ぶ関門海峡をバックに1枚。
この地下にあるトンネルを800メートルほど歩いて、山口県へ初潜入。
角島へと続く、波風のロードを走る。海も綺麗で、気持ちいい。洒落たお店もちらほら。
このまま角島までいっちゃいたいが、時間がないのでUターンして、道沿いの定食屋でカツとじ定食。
下関の市街は、それなりに栄えていた。
しっかし、どこの街も、ユニクロやら、ニトリやら、などなど同じ店ばかり。あとパチンコ屋ばっかりだ。
帰りも、海底トンネル。
ここはなんか国境越えみたいな興奮がある。
福岡、山口間を折り返しながらウォーキングしている人もいる。距離がわかるし、信号もないから、歩きやすいのだろうか。
なんかトンネルの外側から不気味な音がずっと響いていて怖い。
本日は160キロほど走り、大分の中津の手前くらいにある福岡側の築上のホテルへ。
ホテルでは清掃グッズを貸してくれて、自転車の汚れを落とせば、部屋で保管していいという。自転車旅行もこうやって浸透しつつあるようで嬉しい。
さて、最終日。土曜日ということもあって、車も少なく、ガンガン走る。
大分、初潜入!
1万円札の人のラッピングバスにびっくり。誰も乗っていない。
どうやら大分の中津の生まれらしい。
そういえば、天現寺の小学生たちは、血縁でもないのに創設者ってだけで墓参りに大分まで行くとか聞いたことがあった。
DA PUMPでいっとき有名ななった街を駆け抜ける。
大分空港まであと15キロ。旅も最終回なので、おんせん県らしく、温泉で短い旅の汗を流す。
取り立てて特徴のない地元の方ばかりのお風呂だが、肌がツルツルになる。ちゃんとした温泉なんて数年ぶりだったかも。
思わず、温泉の素をお土産に買ってしまった。
私服に着替えて、瀬戸内を眺めながらのラストラン。
数時間だけ雨に降られたが、全行程比較的天候に恵まれた旅だったなー
大分空港着。本日は90キロ程度。3泊4日で合計520キロくらいか。
体調があまり芳しくなく、また後半は体に痛みも出て、なんとなく中身の薄い旅になった。
それでも長崎の平和像や本土最西端、関門の海底トンネルなど印象深い景色もあった。
あと、大都市福岡などは違うが、子供、大人にかかわらず、挨拶をしてくれる人がたくさんいた。
朝方、老人施設の前だったのか、大通り沿いに10人近くの老人がウロウロしていたところに出くわした。
そして、こちらに向かって、みんなが手を振ってくれ、「がんばれー」と声援を送ってくださった。
別にレースでもない、早朝に、1人で自転車を走っているおじさんになんでだろうかと不思議だったが、まあ理由なんてどうでもいい。
短い旅で一番印象に残った。
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