【イラン8】避暑地の洞窟探検
イスファハンを出発する前にトレイに行き万全を期したはずなのだが、出発して2時間後、猛烈な便意が襲ってきた。
このまま8時間耐えるのは不可能だ。どうにも誤魔化しが効かなくなり、隣の席の青年にガイドブックにあったペルシャ語の「男子トイレ」という単語を震えながら指差す。
思いの外こちらの表情が緊迫していたのかもしれない。すぐに状況を察してくれて、バスを停めるよう運転手に呼びかけてくれた。
ペットボトルの水を握り締め、暗闇の中へ走り込んだ。
ヤバかった。これをきっかけに青年と2人の友人たちと話すことに。3人とも英語は片言だが、目的地のハメダーンに1人が住んでいて、2人がついて来たそうだ。その2人は、今晩ハメダーンからテヘランへ向かうらしい。
ハメダーンには朝5時頃到着。ひとまず日が出るまで寝ようとターミナル内へ行くが、恐ろしく寒い。ブルブルと凍えていたら、さっきの3人が礼拝する部屋へ案内してくれた。
「イスラム教徒じゃないけどいいの?」と不安だったが、「構わない、全然OKだ」という。ターミナルよりだいぶ暖かい。靴だけ脱いで、休ませてもらった。
7時頃、ようやく日が昇って来たので彼らと散歩にでる。雪をまだかぶる4000メートル級の山々に囲まれたハメダーンは避暑地の代表格。景色は素晴らしいが、それだけに3月下旬は寒すぎる。現在マイナス2度くらいらしい。
彼らが、日本円を見たいというので見せてあげていたら、どこからかやってきたおじさんが彼らを叱り飛ばし始めた。
「旅人に絡んでんじゃない」あるいは「金でも盗む気か!」とでも言ったのか、急遽解散となった。
8時になったので、1人でブー・アリースィーナーの廟へ。暖房が効いていて、体が温まる。モニュメントを撮影中、デジカメのバッテリーが切れてしまった。1週間も持たないとは。カメラ屋があったが、NIKONはイランにはないらしい。以後、ケータイのカメラで撮影することに。
ミニバスターミナルまで歩き、目当てのアリーサドゥル洞窟へ。
バス代のお釣りに混乱していると、若い夫婦に話しかけられ、代わりに対応してくれた。特に旦那さんがめちゃくちゃ親切で、洞窟も一緒に見ようとなった。
ものすごい混雑。ただ人が多いので、ヒンヤリする洞窟内も幾分寒さがしのげた。
洞窟はものすごい広さだ。冒険心を掻き立てられるが、真っ暗闇はただただ怖い。
しかしこれだけの洞窟が標高2000メートルにあるなんて、自然の神秘に驚く。
ここでも外国人ツーリストは珍しいようで、先の夫婦はもちろん、いろんな人たちから記念撮影をねだられる。名もなき日本人の男の写真なんて撮ってどうするんだろう。
たっぷり2時間の洞窟ツアーを終えて、外へ。夫婦にお礼を言って、ハメダーンへ戻った。
この後はカスピ海まで一気に北上したかったのだが、バスが朝しかないそうで、ひとまずテヘランへ。
22時頃テヘランに着くと、異様にテンションの上がった若者たちの集団に囲まれてしまい、知らないうちに飲みかけのペットボトルの水がなくなっていた。盗まれたのか。あんなのいるのかな?
そしてカスピ海近くの街ラシュト行きの夜行バスに乗り込んだ。
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