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最悪の国境越え@カンボジア1999.8

タイとの国境の町・ポイペトでは謎のカプセルを購入させられ、その場で飲むよう指示された。従わないとカンボジアには入国させないという。

毒蛇のような紫色。

飲まないと感染症になるからというが、飲んだ方が具合が悪くなりそうだ。

役人(?)の目を盗み、草むらに投げ捨てた。要は何も知らない旅人から小遣いを巻き上げているわけだ。

シェムリアップを目指して、軽トラックの荷台に野菜と一緒に乗り込んだ。

穴だらけの悪路に何度も立ち往生。

その度にお金を要求された。

屋根のない荷台で20時間近くスコールを浴び続け、心の底からこの旅を後悔した。

あまりに辛さに道中の記憶がほとんどない。

ただ、子供たちの笑顔だけはよく覚えている。

休憩で立ち寄った村はどこも貧しかった。

外国人の私はすぐに子供たちに囲まれた。しかもすごい笑顔。

「こんな生活なのに、なんて明るいんだ」

心の貧しい私は驚いた。

さらに子供たちは、私の深いエクボがよっぽど珍しいようで、そのエクボに指を突き刺して大笑い。疲れ切って不貞腐れていた私も自然と笑顔になり、結局休むことなく子供たちとギャーギャー騒いでいた。

休憩を終えて、また走り始めれば、「この国はまだ旅行者受け入れるレベルじゃねー」と心の中で毒づいていてばかり。

けれど、今にして思えば、この道中が人生の指針を決めたとも言える。

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