【シリア4】美しきダマスカス
ホムスへ着くと、次はダマスカス行きのバス探しだ。
ここでJくんがまた活躍する。チケットオフィスではなく、ダフ屋を狙うというのだ。どうせ席は空いているんだから、ダフ屋の方が正規の値段より安く買えるらしい。したたかだ。そんな発想なかった。日本人は素直すぎるのだろうか。
おかげで、地元の人と同じ安い値段でチケットを手に入れられた。発車を待っていたら、白人の女の子2人がやってきた。昨晩、Jくんが一緒に呑んだ2人だそうだ。メガネが壊れちゃったんだーと自慢げに話していた。
出発。
早速車内の女子に声をかけるJくん。若干狂っている気がしてきた。
ブルカをしていない→クリスチャンの可能性高い→英語が話せる可能性が高い、という基準で狙っているそうだ。
最後列で映画「トランスポーター」を観ながら快適なドライブ。映画のラブシーンはちゃんとカットされていた。
ダマスカス着。
Jくんのお目当てのホテルを探すが、よくわからない。車内にいた女子に聞くと、乗るバスを教えてくれただけでなく、一緒にホテルを探しくれるという。
なんでもホムスの大学で観光学を学んでいる大学生だそうだ。こんな距離を毎日通っているのか。すごいな。
彼女はパレスチナ人。母国がイスラエルにボコボコにされるので、隣国シリアにやってきたのだろうか。初めてパレスチナ人に会った。もちろん英語もペラペラ。
親切にも宿探しを付き合ってくれたが、Jくんが探しているホテルの名前は、ホテルではなく、「カオサン」みたいな、ただホテルが集まるエリアのことだったらしい。
とはいえ、そのエリアの良さそうなホテルにチェックイン。
そのまま彼女に街を案内してもらうことになった。
ミニバスでオールドシティへ。
巨大なスーク(市場)やカフェ街はかなり雰囲気がいい。さすが街ごと世界遺産だ。
モスクを囲むように様々な店が並ぶ。中には風呂屋まである。京都の雰囲気のまま東京になった感じ。訪れた人の誰もが褒めるだけはある。美しい街だった。
ホテルへ戻ってきて、2人になるとJくんがどうしてもビールが呑みたいと言い出した。
それから2時間ばかりアルコール探しの旅。
会う人ごとにナイトクラブ、あるいはアルコールのある場所を聞く。誰もわからない、あるいは高級ホテルへ行けという。
高級ホテルのバーをのぞいたが、ビールは日本と同じくらいの値段。
「ここはシリアだから無理だよ、もう諦めよう」と何度も提案したが、
Jくんは、「絶対にどこかにあるはずだ」と譲らない。
しかしその執念が最後に実を結ぶ。夜が更けてくると、アングラに詳しい奴が活動し始めるのはどこの国も同じだ。
ようやくアルコールを扱っている店を知っている奴に遭遇した。
教えてもらった店には、缶ビールだけじゃなく、洋酒類もしっかり売っていた。
そこで缶ビールを5、6本買って、見えないよう紙袋に入れてもらい、ホテルに帰って、テラスで2人して呑んだ。散々歩いたこともあって、格別の味だった。
しかし、Jくんはすごい執念だ。やっぱりちょっと狂っている。
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