5周年と自粛休業とオンラインショップとオリジナルグッズのことなど
5周年のお祝いにと、不思議な色合いの紫陽花が届きました。
緑と紫、緑と紫。きれいで、ずっと見てしまう。
みちのそらをはじめて5年経ったと同時に、3週間の自粛休業ということになりました。これまでのこととこれからのことに思いを馳せたい時に、感染を広げる可能性への不安と休業の不安を抱えることになったのでした。
本来なら休業中にできることややるべきことはたくさんあるはずです。しかし不安の方が大きい状態では考えたくないことばかりで、結果毎日、ぼんやりとすごしました。していたことといえば、絵を描き本を読むことくらいです。
そして、その間チリチリと悩んでいた、予定していた展覧会の延期を決めてから、なんとなく、みちのそらのこれからのことを考えはじめました。
絵を観ること、その時間をリラックスしてすごすためのコーヒーとケーキ、それと本。つまりみちのそらは、言うなれば、不要不急なものだけでできているのでした。卑屈な意味ではなく、矛盾かもしれませんが実際に私自身が、そのようなものを「必要」としているからこそ、あえてそのようなものでできたお店を作ってきたという自覚もあるのです。それでも、緊急事態において、ひとまず一旦脇に置くことのできるもの、ではある、という意識から、ある意味納得の上の自粛休業ではありました。
ただ、この無収入期間を給付金で凌ぐとしても、やはり生活のためにはなにかしら、考える必要があるのです。
テイクアウト、オンライン展覧会、ドネーション、クラウドファンディング、再開後に利用するチケット、独自のサポートシステム、等々、実店舗の休業に伴い、様々な工夫で頑張っている人たちの例がありました。でも、みちのそらのこれまでの5年間とこれからのことを考えると、実行したいと思えるものはあまりないように思えて、立ち止まっていました。
そんな休業中、自粛生活に「必要」なものとして、本やコーヒー豆やケーキを、注文してくれた人たちがいたのです。個別にそれらのご要望に対応していくことで、ようやく、少しずつ、頭が動き出しました。
Amazoんではなく、みちのそらへ注文してくれる人の存在は、思いがけず驚きと勇気をもたらしました。もともと自分が良いと思うものだけを提供しているので、注文は同時に共感として受け取れるのです。また、送料や手数料がかかっても注文してくれる、ということに、応援のニュアンスも受け取りました。
さらにそのタイミングで、新しく出版された絵本を仕入れる、ということがありました。多くの人に手渡したいと思える、新しく生まれた良きものでした。
みちのそらを応援したいと思ってくれる人はいるのかもしれない。
こんな事態でも、誰かに、良いと思うものを手渡すことができるのかもしれない。
休業してはじめて、希望につながる考えが浮かんだのでした。みちのそらにできること、大事なものを失わずに歩き続けるための手段。
そうしてついに、通信販売をスムーズにするべく、オンラインショップを作ることにしたのです。わからないこと、面倒なこと、不安材料があるからと、これまで、避けてきたことでしたが、目的ができれば向き合うこともできるもので、どうにか、ショップをオープンさせることができました。
また、休業中に描いていた壁画の中の気に入った絵をデザインした、オリジナルグッズもできました。これは、5周年の記念でもあります。同時に、展覧会と喫茶という本来のみちのそらメニューが機能しないこのときに、みちのそらを応援したいと思ってくれる人とのつながりを持つためのグッズでもあります。このようなことを考え実行する日が来るとは。
そして延期となった展覧会の代わりに、自分の絵を並べた手前味噌展覧会で、営業再開の日を迎えました。
もちろん、待ってましたとたくさんのお客様、ということもなく、かといって、忘れられてしまったさみしさもなく、昨日も一昨日もやっていたみたいな感覚を覚える、普通の、1日でした。ぽつり、ぽつり、と訪れる方が、それぞれにその時間をすごしてくださっていて、不思議な感慨がありました。
こうして、普通の日が、つながっていきますように。
これまでの5年間、お世話になりました。
これからもどうぞよろしくお願いします。
みちのそら 理子