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掌編小説集

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三題噺などで書いた習作を集めています。
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記事一覧

【短編小説】灯台へ(冒頭試読)

 十二月の凍てつくような夜気のなかで、その火は小さく揺れていた。  頬の輪郭が柔らかに照…

【掌編小説】五月の弔歌

 ふいに一片の氷にふれてしまったような高い単音が何度も静かに響き、さらにだんだんと研ぎ澄…

【掌編小説】躑躅色の窒息

 婚姻届は山羊が食べてしまったよと告げると、そうですかとつつじさんはいつものようにピンク…

【掌編小説】シルバー

 目の前の手すりに載せられた白い指先がかすかに宙でピアノを弾くような動きをして、やっとそ…