日常生活の中の、言論戦の攻防

言論戦における勝利とは、端的に言えば、自分の意見が採用されることです。自分の意見に、自分の利益を含めて考えれば、自分の意見が採用されたとき、自分の利益も実現することになります。このことから、言論戦における勝利とは、自分の意見が採用され、自分の利益が確保できること、ということになると思います。

反対に、言論戦における敗北とは、端的に言えば、自分の意見が否定され、採用されないことです。自分の意見が採用されないので、当然、自分の利益も得られません。このことから、言論戦における敗北とは、自分の意見が採用されず、自分の利益が得られないこと、とすることができると思います。

このような前提のもとで、日常生活において、どのように言論戦の攻防が展開されるのか、ということについて考察したいと思います。

攻撃①問題の提起

今現在興味のある事柄について、話題を提起します。主題に関することが、この言論戦のテーマであることを敵(話し相手)に知らせます。敵の興味のある分野なのか、興味のない分野なのかによって、敵の出方が変わります。

攻撃②意見の陳述

テーマに関して、自分の意見を主張します。その際、自分の利益を自分の意見に織り込みます。

防御①敵の意見を否定する

敵が意見を陳述したら、自分の意見と敵の意見を照らし合わせて、食い違いがあるようなら、敵の意見を否定します。敵と自分の意見が一致することは珍しいことなので、基本的には、敵の意見は否定することになります。

防御②敵の意見に反論する

敵が意見を陳述して、自分は敵の意見に反対だなと思ったら、敵の意見に反論します。反論時には、反論理由も述べます。

攻撃③自分の意見を妥協する

敵が自分の意見を否定したり、敵が自分の意見に反論したりしてきたら、妥協して、自分の利益の取り分を少なくしつつ、絶対に確保したい利益を除いて利益を省くことを考えます。これが歩み寄るということです。

攻撃④自分の意見を引っ込めて敵の意見に譲歩する

妥協しても妥結点が探し当てられず、敵の意見の中に、自分の利益が含まれている場合は、自分の主張を引っ込めて敵の意見に譲歩します。

防御③敵の意見に対して対案を示す

敵の意見に、自分の利益が含まれていない場合には、自分の利益を考慮した意見を陳述し、敵の意見に対して対案を示します。

防御④敵の意見と自分の意見の妥結点を探る

敵の求めている利益と、自分の求めている利益とを考慮し、自分の意見を妥協して、自分の利益を減らしつつ、絶対に確保したい利益は減らさずに、敵と交渉します。その際、敵の利益も考慮することが重要です。

攻撃⑤議案を採決する

この問題をどのように解決するかに当たり、意見の陳述、意見の否定、意見に対する反論、意見の妥協、意見の譲歩など、一連の交渉を行ったら、落とし所を決めます。そして、その落とし所に賛成か反対か投票し、両者が賛成の場合にその議案を用います。この議案には、自分と敵の双方の受け入れ可能な利益が含まれています。

防御⑤敵の意見を受け入れる

敵の意見が、自分の意見と一致する場合には、敵の意見を認め、受け入れます。

攻撃⑥自分の意見と敵の意見が対立したら、自分の意見を妥協するか、相手の意見に譲歩する

時として、自分の意見と敵の意見が対立することがあります。お互いに譲らないと、抗争に発展したり、交渉決裂したりする原因となるので、自分から妥協したり譲歩したりします。妥協や譲歩を行う際には、絶対に確保したい利益を譲ってしまわないように気をつけます。

それでは、具体例で日常生活の言論戦の攻防を見ていきましょう。ここでは、日本とロシアが北方領土の領有権をめぐって対立していることに関する会話を取り上げます。

A「北方領土は、日本の領土です。」

B「でも、北方領土は、今はロシアが実効支配しているから、ロシアの領土なのではないですか?」

A「ロシアは北方領土を不法占拠しているのです。正当な領有権は日本にあります。」

B「ロシアは、第二次世界大戦の結果、北方領土はソ連の領土になったと主張していますよ。」

A「ソ連は、当時まだ有効であった日ソ中立条約に違反して北方領土を占領し、日本人を退去させて支配しているのです。これは、不法行為に基づく結果なので、ロシアの実効支配は正当とは言えず、ロシアは北方領土を不法占拠しているのです。」

B「でも、ロシアは、北方領土はロシアの領土だと主張していますよ。」

A「北方領土は、日本の領土です。ロシアは、北方領土を不法占拠しているのです。」

B「ロシアは、ロシアが北方領土を実効支配しているのは正当だと主張していますよ。」

A「その主張には明確な根拠がありません。ソ連が北方領土を占領したのは、当時の国際法違反の不法行為です。そのため、ソ連から北方領土を引き継いだロシアの実効支配も、もとをただせば不法行為に基づく支配なので、正当とは言えず、ロシアは北方領土を不法占拠しているのです。北方領土は、日本の領土です。」

B「でも、ロシアは、北方領土を実効支配しているし、ロシアによる北方領土の支配は正当だと主張していますよ。」

A「先ほども述べましたが、ロシアによる北方領土の実効支配は、不法占拠です。ソ連が北方領土を占領したのは、当時の国際法違反の不法行為です。そのため、ソ連の北方領土の支配は不法占拠であり、ロシアの北方領土の実効支配も不法占拠なのです。」

B「ロシアは、北方領土の実効支配は正当で、北方領土はロシアの領土だと主張しています。日本は、ロシアの北方領土の実効支配は、不法占拠であり、北方領土は日本の領土だと主張しています。議論は平行線で、対立していますね。」

A「議論の争点は、ロシアによる北方領土の実効支配が、正当か不当かという点に尽きます。その点は、白黒はっきりさせなくてはなりません。日本の立場としては、ロシアの北方領土の実効支配は、不当であり、ロシアは北方領土を不法占拠しているという立場です。この点、国際司法裁判所で、白黒はっきり決着をつけようではありませんか。」

B「日本が国際司法裁判所に訴訟を提起しても、ロシアが裁判に応じないでしょう。国際司法裁判所で裁判をするかどうかは、当事国が任意に選べますので。」

A「ロシアが国際司法裁判所の裁判に応じない理由は明白です。ロシアも、実際は、北方領土を不法占拠している自覚があるのです。そうでなければ、国際司法裁判所の裁判に応じるはずです。」

B「しかし、ロシアは国際司法裁判所の裁判には応じないでしょう。ロシアはロシアの国益にとって一番良い方法をとるのですから。」

A「ロシアの国益を考えるなら、北方領土を領有する国益よりも、日本との外交関係を良くする国益の方が優先するなら、ロシアは北方領土の領有を諦め、北方領土を日本に返還する、ということになりますね。ということは、あくまでも外交交渉によって北方領土の返還を実現することを考えるなら、日本との外交関係という国益がロシアにとって、死活的利益にならなくてはならないということですね。うーん、もっと日本が努力すれば、ロシアは日本に北方領土を返還するかもしれないなあ。」

B「ロシアにとって、日本との外交関係という国益がどんなに高くなっても、北方領土の実効支配は正当だとするロシアの主張をひっくり返す根拠にはならないでしょう。また、国連安保理常任理事国である大国のロシアが、自らの間違いを認めて、北方領土返還に応じるとはとても思えませんがね。大国のメンツに関わりますから。」

A「ロシアが、大国のメンツを保ちたくて北方領土返還に応じないのだとすると、日本がもっと国力を増強して、全世界の全ての国が日本に従うくらいの国力をつければ、ロシアも、メンツを潰すことなく北方領土返還に応じることができますね。日本は、他国を支配する勢力、すなわち国力を、もっともっと高めれば良いのかもしれませんね。日本が、全世界の全ての外国を支配するのに十分な国力をつけるにはどうすればいいか、考えましょう。」

B「日本が、全世界の全ての外国を支配するのに十分な国力をつけたら、ロシアも、素直に日本の要求に応じるでしょうね。なにしろ、日本が、全世界の全ての外国を支配しているのですから、当然、ロシアも支配しているわけで、ロシアも日本の命令に従うしかないはずですね。」

A「そうだね。日本が、全世界の全ての外国を支配するのに十分な国力をつけて、実際に全世界の全ての外国を支配すれば、北方領土返還はかなうね。ロシアが、日本の命令に服従するわけだから。」

B「そうですよ。日本が、全世界の全ての外国を支配すればいいんです。そうすれば、ロシアも支配するわけですから、ロシアに北方領土を返還するように命令すれば、ロシアはその命令に服従して、北方領土を返還するはずですね。日本が、全世界の全ての外国を支配するのに十分な国力をつけて、実際に全世界の全ての外国を支配すればいいんです。」

A「結論が出たね。日本が、全世界の全ての外国を支配するのに十分な国力をつけて、実際に全世界の全ての外国を支配すればいいんだ。そうすれば、ロシアが、北方領土の返還に応じる。北方領土は日本の実効支配になるね。」

この会話から、ロシアが北方領土の返還に応じないのは、ロシアが日本に支配されていないからだということが明らかになりました。日本は、北方領土の返還をロシアに求めるなら、ロシアを支配する必要があります。そのためには、日本は、全世界の全ての外国を支配するのに十分な国力をつけて、実際に全世界の全ての外国を支配することができれば良いです。それが必要だとは言いません。でも、できれば、ロシアだけでなく、全世界の全ての外国も支配したいですよね。

ですから、日本は、全世界の全ての外国を支配するのに十分な国力をつけて、実際に全世界の全ての外国を支配することを考えていくべきだと私は思います。

日本が、全世界の全ての外国の宗主国となり、全世界の全ての外国は日本の属国となるのです。国際連合では、加盟国の主権は平等としています。しかし、各国の力関係により、宗主国と属国があることもまた事実です。属国には、傀儡政権を樹立し、宗主国が傀儡政権を通じて属国を支配します。こうすれば、主権平等の原則は保たれます。

これから私は、日本が、全世界の全ての外国の宗主国となり、全世界の全ての外国が日本の属国となるための具体的方法について考えようと思います。

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