シンエヴァ観てみたので、感想と印象(バレ有)

皆さんこんにちは。

今回は3/8に満を持して公開されたシン・エヴァの感想を、若干考察を交えながら書きたいと思います。
3/8に観に行って帰って1日置いてすぐ書いて、かといって即時のネタバレ公開もどうかと少し時間を空けて公開しているのと、まだ1周しか観ていないので、ちょっと勘違いした記述があったりするかもしれません。
後、正直ゴルゴダオブジェクトがウルトラマンだとかイスカリオテのマリアが何だとかはあんまり把握できてないです。
この辺りはネトフリ待ちです。あくまで「一周目」の感想と印象です。

また昨今は「褒める」ことばかりを重視して欠点に踏み込むことをタブーとする雰囲気を強く感じるのですが、
エヴァンゲリオンという大作を自分の中で締めるに当たり、褒めるところは素直に褒め、批判すべきところは批判してこそ、率直にエヴァに対し「さらば」と言えるように思いましたので、
無理に褒めようとせず、かといって不当に貶めることもなく、を心がけてまとめました。

なお考察を交えると言っても、あくまで個人が推察する程度のものなのでそれほど深いものではないです。
何より何を考察した所で、所詮もう新劇場版は完結した以上それが考察に値するものになっているかは怪しくなった内容も多くなりましたしね。

●全体の感想

全体の感想としては……
「面白さ」より「完結したことに対する満足感」が勝った。

そんな感じです。正直、2週目以降はBDでもいいかなとも思いました。
本当に何より「完結編を観られた」という満足感が大きすぎて、それ以上はもうどうでもよくなったというか……

とはいえそれでは締まらないので、「場面ごとの感想」「キャラごとの感想」「世界観の感想」「戦闘シーンの感想」をそれぞれ書いていきます。

●場面ごとの感想

ストーリーの大まかな流れをまとめると、
1,「フランスを奪還してエヴァパーツ回収、それに伴う戦闘」
2,「第三村でシンジが復活していく過程」
3,「ヴィレ復帰、ネルフとの最終決戦へ」
4,「ゲンドウとの対峙、対話」
5,「旧劇、新劇を含めたエヴァが存在する世界に対する精算」
6,「シンジがエヴァのない世界へ旅立っていく」
といった感じだったと思います。

1の段階に関しては単に戦闘だったので置いておくとして、
2でシンジが目覚めたときのトウジの声。あれがまず「オオーーッ!」てなりましたね。
だってお前、Qの体育着……絶対死んだと思ってたぞお前……って感動していると、ヒカリにケンスケも登場して、と。全体的には死人も多くでてるんでしょうが、少なくともシンジにとっての周りの友人は皆生きてたんですよ。
なんというか「あーシンジは救われるんだなあ」っていう安心感がどっと湧きましたね。正直Qの終わり方でどこに希望があるんだ……と思っていたので。
あとビックリしたのがケンアス成立。詳しくは後述しますけど思い切ったことしたなあと思います。個人的にはそういうのもあるか、とは思いました。

やっぱりこう、「Q」では全くと言っていいくらい日常パートがなかったので、エヴァの日常パートを久々に観られたというのが非常に嬉しいところでした
一方で村が平和というわけでもなく、インフィニティの「ハイカイ」(特典によると、「徘徊」ではなく「ハイカイ」が正式な表記っぽいですね)
などで、希望があるがけして油断できる状況でもない、という適度な緊張感が挟まったのもいいスパイスだったと感じます。
とにかく、村編については結構いい出来だったと感じています。ちょっと長くて完結を心配したくらいですかね。

村以降の展開、4,5,6に関してはとにかく怒涛の押し寄せでしたが、
旧劇をイメージしたシーンが多く見受けられましたね。カヲルとの初邂逅を遂げた浜辺やEoEラストを彷彿させる赤い海にボロボロのプラグスーツを着たアスカとか、巨大な綾波とか。あとは二号機……お前結局グロい生首にされる運命なのか……
しかもあの浜辺のアスカ、新劇の姿と比べてめっちゃむちむちえっちに成長してます。あの絵だけでも眼福というものですが、今作のアスカは人をやめたことで「眠れなくなっている」ことが判明したわけです。そんな中で「眠っていた!?」と驚いていたことから、あのシーンにはまずアスカがエヴァの呪縛から解き放たれたという意味があるのでしょう。
一方でシンジとアスカの「昔は好きだった」という発言も踏まえると、もしかしたら新劇だけでなく旧劇版も意識した発言だったのかも。アスカはともかくシンジが新劇でアスカを好きになる要素は少なかったですしね。
であればもしかしたら、あのシーンのアスカも「あの浜辺のシーンから今までの時間が経過したアスカ」の姿だったり……なんて、旧劇と絡めた様々なイメージが出来るかもしれませんね。

一方5におけるゲンドウの補完シーンもシンジのそれに近く、そういう意味では旧劇に近い表現と言えます。
ただ旧劇を観ている立場からすると「……今更?」という内容でもありました。ユイさんっていう存在が根暗ぼっちのゲンドウを救いましたってそれ旧劇と全く同じだよね、と。
ただ新劇ではまだ「ネルフ、誕生」に相当する回が恐らく挟まっていないので、「新劇」のみで完結させることを考えるとゲンドウ側の独白は必要だったと理解しています。
強いて言えば、絵コンテのラフみたいな画像ではなくてちゃんと京都大学とか若かりし頃の冬月先生とかも描いた当時のやり取りを完成させたアニメーションで観たかったところ。
後は初号機VS13号機がまさかのミサトさんの家の中で行われる。後教室の中とか。あれはもうシュールなギャグアニメですね。
超真面目にギャグやってる銀魂。あるいはボーボボ。どっちも子安さんいますし。

あとは6に関してですね。まさかの加持カヲ成立。マジで???
いや成立してないですけど、あのカヲルが「リョウちゃん」なんて呼ぶ程には親しかったわけですからね。シンジですら「シンジくん」だったのに……

ここでの流れとしては、この世界の凡そのからくりを説明し、「エヴァ」という世界からの脱却に加えエヴァという存在の抹消、そして現実への帰還。
正直「Q」ではどうやって完結させるのか候補はあっても検討はつかなかったので、若干描写不足も感じましたが「よくここまで纏めた」と思いました。
結局ループものでした……というより平行世界もの?だったわけですが、変に各自の解釈に任せず説明してくれたのは意外でした。
あの赤い世界からの完結となると旧劇の赤い海エンドか、再興を目指すか、いっそ漫画版のように世界を書き換えるかしかないだろうと予想はしておりましたし、赤い海エンドはもう旧劇でやってるから実質二択、とも思っていたものの、実際に描かれてみるとやはり意表は突かれました。

しかしまさか、大人シンジの声が神木さんとは……
どこから神木さん来たのか知りませんけど、セフィロトの樹→神の樹→神木っていう遊びでもしてるとか? とりあえず結構唐突に決まったキャスティングなのは何となく見えます。
クレジットでの表記が明らかに「後から付け足した」かのようになっている上、実はパンフのインタビューで緒方さんが神木シンジに一切触れてなかったり、少なくともメインキャラの声優さんは一通りインタビューされているのに神木さんのインタビューは掲載されてなかったりしますし。
加えて、唯一同時にアフレコした可能性がある坂本さんも神木さんには触れていません。
一応坂本さんは「マリがシンジと手をつないだ」こと自体は把握していらっしゃり、インタビューの雰囲気だと緒方さんは把握していませんので、おそらくは別撮り。多分最後のシンジの声だけは本当にギリギリで決まったのかもしれませんね。

●キャラごとの感想

各キャラに対する感想ですね。ここが一番長いと思います。

・シンジ
実はシンジ、結構すごい。第三村で
「皆は自分が思っている以上に優しい」ことに気付いて立ち直れた
の、サラッとTV版最終回の「僕はここに居てもいいんだ」って結論をあの時点で得てんですよね。
すごくあっさりとシン序盤にして旧劇場版を追い抜いちゃったんですよねシンジ。すごい。よく立ち直ったと思います。
というか二次創作の「逆行スパシン」によくいるシンジにだいぶ近づいたなと思いました。精神めっちゃ強靭だし、最後の方悟ってるし。
旧劇では救いがなかった分今作ではかなり救われてよかったなーと思います。
一方でちょっといきなりドライになり過ぎ感はありましたね、特にカヲルやぽか波への態度が。成長したのは分かるんだけど……

・ネルフ組
とりあえず「ゲンドウさんお疲れ様です」。
旧劇での顛末は知っていますし、結局新劇の独白も旧劇とのゲンドウの精神状態とほぼ変わらず、自分を変えてくれたユイを追い求めていたと。
しかし新劇はループものという考察はありましたが、旧劇の記憶があったとは……といっても完全に旧劇の記憶があったならば「すまなかったな、シンジ」が働いていないとおかしいはずなので、どちらかというと「補完に失敗した」という事実のみを引き継いでいたといった感じでしょうか。
旧劇と異なるのは、ラストのごく一瞬での出来事ではありましたが、
旧劇から更に一歩進んで、ちゃんとシンジと対話して、分かりあえたこと
シンジを大人になったと認めて、新世界へ旅立つ息子を見送ったこと
これだけでも「シン」をやった意味はあったと思います。

そして冬月先生が強すぎる。さすがガーゴイル……いや違うか。
冬月先生に関してはちょっと「なぜゲンドウに協力するのか?」の動機が見えない部分が大きかったので、もう少し掘り下げが欲しかったですね。


・ヴィレクルー勢
とりあえずサクラがかなりいい味出してると思いました。
シンジがヴィレに帰ってくるなり、アスカが「女房か」っていう位シンジに「なんで乗ったんやアホ!」って怒るだけならともかく本気で抱きついて泣いてるし、挙句の果てには「怪我をすればシンジはエヴァに乗らない」って言って脚かなんか撃ち抜こうとする。
登場数は大して多くないのにその都度の行動力が凄まじいんですよ。
思えばQでも外と中での気圧差とかで外にぶっ飛ばされるかもしれないのに敵のエヴァの目の前に飛び出して「エヴァにだけは乗らんといて下さいよ!」って言ってんのすごい胆力ですよね。
ぶっちゃけ「「シン」でのシンジの相手」という観点で見れば、既存のヒロイン勢に十分並び立てるヒロインになっていたと思います。

一方でミドリはなあ……青葉やミサトさんが「ニアサーはシンジが故意で起こしたものじゃない」って言ってるのは初めて聞いた・聞かされたんでしょうか? サクラがちゃんと「恩人だけど仇」と憎悪もありながら割り切っているだけに、彼女の浮きっぷりが気になるところでもありました。
一応「ニアサーで被害を受け、かつシンジを知らない人間」という立場の人間を1人置きたかったんでしょうけど。

他のメンバーに関してはまあ、台詞も多くなかったので。日向と青葉のグータッチが「おお」となるくらいでしたかね。

ミサトさんに関しては、ええ。正直シンジに情が残りまくりなのはQでわかっていたので、行動は予想の範疇ではありました。
Q公開当初だとあの豹変ぶりが叩かれたりしたみたいですが、ネタで言う分には面白いけどガチで言ってるならよくわかりません。どうみてもシンジのこと嫌ったりしてませんよアレ。
むしろ「シン」で責任がどうこうと言ってたのはちょっとファンを意識し過ぎでくどいかな、とすら思いました。制作側の「こうすればいいんだろ」という意思すら感じる、杜撰な謝罪会見のような印象を受けました。
エヴァに乗せるシーンはもう「艦長命令」とでも言って押し切って、出撃直前にシンジにだけ聞こえるように「帰ってきてくれてありがとう」とでもささやくだけで充分だったと思います。
とはいえシンジへの想いがしっかり残っていたことを描写したというだけでも、シンジにとっては救いになったでしょう。あくまで私個人にとって描写のされ方が不満なだけで、描写の構成としては良かったと思います。
後はやはり特攻前にグラサンとかも全部はずして、「破」までのロングヘアの見た目に戻ったのはちょっと「おお」ってなりました。あの頃に戻ってシンジの背中を今一度押してやろう、という気概も感じましたし、
何よりミサトさんはやっぱり破までの見た目が一番しっくりきますよ……

あとはそう、加持さんすごいですね
加持さんの活躍が結構色々語られましたよね今作。サードを止めたのも加持さんだし、種の保存を試みたのも加持さん。Qの海洋研究所も恐らく加持さんが管理。オマケに同じ名前の子供までこさえてました。
いや本当「サードで死んだ」で終わらせずに色々と活躍を描写してほしかった……

・第三村勢
もう皆いい人。もうそれだけでもいい。
トウジもケンスケもヒカリもめっちゃ優しいし、人として強くなってる。加持ジュニアも真っ当に育った少年であることを思わせます。
むしろちょっといい人すぎて「これシンジの補完世界だったりしないか?」とか不安になるくらい。大丈夫でしたけど。
強いて言えば、トウジに関しては無事に生きててよかった。
旧劇では言わずもがな、Qでも体操着だけ出てきて「死んだ!?」みたいになってましたもんね。昔だったら飯を食べないシンジにパチキかましてたとも思いますが、ちゃんと現状を受け止めてやって気遣っている姿に
「おお……」と声にならない感動がありました。
あとはレイに色々教えるおばちゃんたちもみんな優しい。

・チルドレン勢

ここからが本題みたいなところもあります。
ぶっちゃけレイ・カヲルに関してはあんまり語ることがないです。
「リョウちゃん」呼び!?みたいな驚きはありましたけど。
レイも、黒波の成長は微笑ましかったし、ぽか波も14年間も健気だなあとは思いましたけどね。ちょっと扱いが残念だった気はしますが、マリとアスカを前にするとあまりにも……

まず、マリに関して。結局お前は誰なんだ。

描写的にマリは「誰でもない誰か」なんだとは思います。破でシンジにぶつかったシーンでもS-DATのナンバー27に移ったとかありますけど、旧劇にいなかった事も含め「本来のエヴァと関係ない世界」からの乱入者なんだと思います。もしかしたら破での初戦闘時の「思ってたよりシンクロがキツイ」発言も、今考えるとメタ的には「エヴァを知っている視聴者がエヴァに実際に乗ったら」という状況を意識していたのかもしれません。
そしてそれを前提とすれば恐らくラストシーンも、あれは「マリシン」ではなくて、「誰か×シンジ」なのではないかと。あそこで隣にマリが居るのはあくまでもたまたま。「エヴァ世界の誰でもない誰か」の偶像としてマリが置いてあるだけなんでしょう。そもそもあそこでのカップルを鵜呑みにしたらレイとカヲルはなんでくっついてるの、みたいなことになりますしね。

少なくとも作中にくっつくフラグみたいなのが一切ない以上、
アレだけでマリシンを断言することは不可能と考えています。そもそも乳ぶつけ位なら彼女じゃなくてもセf……親しい仲なのは確かでしょうが。
ただまあ、マリとくっつけるくらいならサクラをくっつけていたほうが整合性はともかく個人的にはしっくり来ます。
どの世界でも「さくら」のヒロイン力は高いですね。まどマギしかり、Fateしかり。観たことないけど話に聞く限りNARUTOも。

しかしそれはそれとして、「イスカリオテのマリア」と呼ばれるに至った経緯とか、2号機のビーストモードを知ったきっかけとか、「コネメガネ」の由来とか、かなり多くの謎を残したのも事実です。終わらせるならあまり謎は残さず、スッキリさせてほしかったかも。
勿論「誰でもない誰か」だからこそ、エヴァ世界に由来する描写や設定を敢えて少なくしているとも取れますので、謎だからダメ、というわけではないですけどね。むしろこの場合「謎だから良い」、とも。
とりあえずユイさんとの百合はとても尊いのもあり、マリを考察するには「夏色のエデン」は必読と言っていいでしょう。

そして、断言できる関係性を持っているという点ではアスカが最も語るべきことがあります。
13号機にいた霊体(大人悪女アスカ、というらしい)は誰?惣流?キョウコ?式波オリジナルは誰?とか、
子供時代が旧劇の子供時代にも劣らぬ大変さだったんだねとか、
2600kcalを無理やり食わせるのは良くないぞとか、
色々あるんですが、これらが全部些事に思えるくらいには……

ええ、言うまでもなくケンアスですね、個人的には別にいいかなと思ったんですが、多分アスカファンをめちゃくちゃ失望させちゃったんじゃないか、と感じます。恐らく解釈の余地を残すためにラストの駅シーンでは1人にしたんだと思いますが……
これまでアスカが人のことをあだ名で呼ぶとしたら「バカシンジ」みたいにバカ+名前とか、名前が関係ないあだ名なら「ナナヒカリ」みたいに否定の意味を込めたあだ名だったりでした。
そんなアスカが、純粋に名前にまつわるあだ名「ケンケン」を使う。
これがどれほど異例なことかは、旧劇から新劇、漫画版まで通してみても明らかです。
シンジや加持さんですら手に入れなかった「悪意を伴わないあだ名呼び」の座をただシンジと仲がいいだけのケンスケが掻っ攫ったんです。
一応今作のケンスケはこれまでの中坊のミリオタ時代とは違いちゃんと貫禄のある大人の男ではありますが、
公式が「シン」でどう描こうと、長年エヴァに寄り添った視聴者側からしたらやはり「ケンスケ」の印象はあの学生服のミリオタなんですよ。
それは理屈ではありませんし、そもそもアニメは理屈だけで鑑賞するものではないですしね。
「「公式」に解釈違いもクソもない!」という話もありますが、詳しくはすぐ下にまとめますが、そもそも今回のケースではその公式が元々ケンアスを示唆すらせず整合性を無視してくっつけた。
公式が矛盾を孕んでる以上、本当に文字通り公式が解釈違いを起こしている。その絶望たるや想像を絶するというものです。
というかアレ。BSSの疑似体験がめっちゃ出来ますよ。多分NTRも
「アレ、ケンケン呼びしたり躊躇なく裸になったりしてなんかこいつらやけに親しげ……仲いいんだ……(ここで無意識に悟ってはいる)」
→「え、なんでわざわざアスカも撮ってんだよ。先に大人になった……って……どういうことだ(無意識の悟りが強まる)」
→「うわああああああああああああああ(人形から出てくるケンスケを見て99%の確信と1%の疑念が純度100%の確信に変わり自我境界線の消失)」
みたいな感じで。
BSSについては大多数の人が多分経験あると思いますし、冗談じゃなかった人もいると思います。
先に大人になったてのも別に比喩表現だけでなく事実でもありますし。
とはいえ。土日明けに各地で電車が止まっても驚きません。

正直なところ、個人的には別にケンスケでも構わないと思います。LASに対しても特別好きとか嫌いとかの印象はないですし。
何より今作のケンスケは落ち着きがあるし、彼のサバイバルスキルで人々が生き残ったという話もある、いわば第三村の救世主の一人でもあります。
そういった立場からみれば、「「シン」のケンスケ」という相手自体は充分アスカに釣り合う存在にはなったと思います。ついでにあの無精髭は加持さんイメージでしょうかね?
ただ、ケンスケとくっつく伏線がどこにも見当たらない
特に、Qの時点で一切合切ケンスケのことに言及してないのが謎。
ここで少しでも「同じ眼鏡でもケンケンはもうちょっと落ち着きがある」とかマリに悪態ついたり、「アンタが寝てる間もアンタのお友達は地上で現実と向き合ってるのよ、あの鈴原は医者だしヒカリは赤ちゃん育ててるしケンケンは……」って感じで、少なからずケンスケとの関係性を匂わせていれば……と。
加えて、仮にケンスケに気があるなら、Q最初でのアスカのシンジへの態度はなんだったの?ともなります。
アソコでガラス割ったのは第九の使徒戦で助けようとしなかったからですが、シンジだって「アスカを殺したくないから」戦わない選択肢を取ったんですよ。未知の使徒が相手なんですから、助けられなかったのはぶっちゃけ結果論ですよ。
そこで怒る理由があるとしたらレイの時のように立ち上がらなかったから。
というかレイのとき立ち上がったのもアスカの時助けられなかったからという後悔や自責の念もあってのことですし、ましてやアスカは才女です。14年もあってその可能性にすら至らないはずがありません。
ちょっと嫌味を言うくらいならともかく、あそこまで怒るのはもうレイに嫉妬してる以外の説明が付きません。
複数の男に好意を持つという点だけで言えば旧劇でも加持さんに好意を持っていましたが、加持さんは軽くあしらっていました。
一方でケンスケはちゃんとアスカと対等に付き合っているようなので、もうただの浮気みたいなものです。
という感じで、カップリングを組むなと言うより、折角新たなカップルが出来たのにカップリング成立の整合性がまったくないのが気になりました。

ただこれは無理やりカップリングを成立させようとした制作側の落ち度だと思います。
ラストシーンも一応「マリシンではない」とは語りましたが、「現実世界に出ていく」エンドを描くだけなら、
例えば「マリも他のメンバー同様に向こうのプラットホームにいて、序の開幕のレイみたいに電車が通り抜けた後には皆いなくなってる、みたいな表現をして、シンジは「あれはなんだったんだろうな」みたいな顔しながら駅を出ていく」とかでもよかったわけです。
アスカは被害者。これで悪く言われたりヤリチ●扱いされたならケンスケも被害者。

しかし商業グッズはどうするんでしょうね? 
今後はアスカがシンジと絡んでるなんて商品作れるんでしょうか。というかこのように描かれてしまったアスカ人気が維持されるのか。
ある意味、今後の動向が気になるところです。

●世界観描写の感想

世界観に関しては、「破」に近い性格の世界に戻ったなあと感じました。
優しいというか、健全に戻ったというか。
陰鬱としているのがエヴァらしいという声もあるでしょうが、やっぱり明るい雰囲気が多いほうが個人的にはリラックスして観られます。

開幕からもそれは感じられて。かつての第3新東京市を思わせる兵装が沢山登場して結構ワクワクしましたし、戦闘らしい戦闘がここに集中していたのもあって、破までの戦闘を思い起こさせました。

もちろん最初は「Q」の傷を引きずってはいますし、世界中が荒廃してこそいます。
ただ第三村がとにかく平和というか、「破」までの暖かさが戻ってきた感じですし、フランスが元に戻ったりしていたのも「人類復興」への未来を感じ、とにかく明るい未来を想起させるシーンが多かったです。
トウジパパがちょっと怒ったりはするけど、あれは多分世界観を考えると至極真っ当な反応。むしろあのくらいはないと違和感。かといって「Q」くらい突き放したらマジでフォース一直線ですし、シンジを立ち直らせるにはいい塩梅だったなと。

あとはインパクトの影響で浮かんでいると思われるオブジェとか、インフィニティのハイカイ、この辺りの禍々しさは凄まじいものがありました。というか全体的に、「グロいとかではないが、禍々しい描写」に関しても過去作と比べてもおそらく最強クラスだったとは思われます。
ただ一方でこれらのオブジェやハイカイなどはすごく存在感があるものだったので、もう少し掘り下げる描写が欲しかったなあとも。
そもそもなんでバスが1台だけ浮いてるのかとか、さり気なくでいいから説明が欲しかったですよね。私が聞き逃してるだけかもですけど、havok神でも居るんですかね?

あとは、世界観……にカテゴリしていいのかはわかりませんが、
全体的に「新劇」にはまだ登場していない使徒の要素を含んだシーンがちらほら観られたのが面白かったですね。
特に開幕の720秒で行われる作品やヴィレへの侵食シーンはイロウルを、マイナス宇宙はレリエル。アスカへ侵入する「大人悪女アスカ」はアラエルやアルミサエルを彷彿とさせました。ガギエル、イスラフェル、サンダルフォン、マトリエルはちょっとわかりませんが、他の使徒を思わせるシーンもあまりなかったので、多少は意識されている……のかも。

後は、ラストのほうで明らかになるループや「渚司令」等の件に関しても、やはりもう少し掘り下げは欲しかった。
ただそれでも、限られた時間での説明ということを考えれば止むを得ないというところでしょうか。

全体的には謎を残すところもまだまだありますが、
結局の所「エヴァのない世界」に収束していく以上、最初にお話したとおりそれらも考察する意味が薄くなったと思います。
強いて言えば……第三村どうなったんだろ……

●戦闘シーンの感想

率直に言います。ここは微妙だったと言わざるを得ません。
より具体的には、
「シン」の戦闘シーンは13年前の「破」の戦闘シーンに勝ててないな
と思いました。

というか破がヤバすぎるんですよ。これを描きながらアマプラで今流してみているんですが、本当にすごい。詳しく書くと脱線しちゃうのであれですが、第八使徒戦は特にすごい。正直最近のアニメはあまり多く視聴できていないのですが、一応Fate関連だけは映画含めて追っているので、少々偏ってはいると思いますがアクションシーンに関しては比較できていないということはないはず。鬼滅や呪術廻戦、進撃辺りもどっかで観ないとだな……

くわえて、初号機の戦闘が13号機との仮初の戦いしかないこと。現実世界でのエヴァの戦闘が実質マリとアスカのものしかないんですよね。
しかも一方的に組み伏せられてるだけ。ここも残念。
シンクロ率∞でゲンドウが乗る13号機を右ストレートでぶっ飛ばすかと思えばそういうのでもなかったですしね、シンクロ率∞に到達させた意味とは……

あと、「シン」の戦闘は「破」と比べてやや「見づらい」と感じました

今アマプラで破を比較のために視聴しながらこれ書いてるんですが、破は漫画で言うところの「アップ」「バストショット」「ロング」を非常にうまく使いこなしているというか、面白くて読みやすい漫画の戦闘シーンをそのままアニメに持ってきたかのような印象があります。
それに対してシンは、作画の作業レベルとしてはおそらく破より上がっているのかもしれないけど、全体的にアップ構図が多すぎて「今何が起きているのか」を捉えるのが困難だった印象があります。全体から適切な距離を取った描写が少なく、ただただチカチカしていて何がなんだか……となることが多かったです。

なお「破」と「シン」の間にある「Q」に関してはそもそも戦闘シーン自体が破ほど多くはなかったのと、「シン」よりはまだ適切に引いた構図なども多く、破とどっちが上手いかはさておき、少なくとも「見づらい!」と思うようなことはありませんでした。

こうした理由で、戦闘シーンに関しては明確に残念だったな、と思うところですね。

●総括

ということで、イイ点も悪い点もたくさんある作品でした。
とりあえず他にも色々言いたいことはあったりなかったりしますが、
結局の所序盤に書いたとおり、「完結した」という事実がファンにとっては一番のご褒美だったと思います。そういう点で面白さより満足感が勝っています。
ましてやこのコロナ渦、いつ誰が死ぬかなんてのは誰にも予想ができない訳ですから。そんな中で、自分が生きているうちに完結したことに対する喜びもまた、満足感が勝っている要因と考えています。

しかしここまで書いた上で、改めて自分が「シン」のどこが印象深かったか?ということを読み返して俯瞰すると、文章量の多さからしてやはり「ケンスケとアスカがくっついたこと」だったんだなあと。
この感想文は11500文字少しくらいですが、そのうちの2400文字ほどらしいです。1/5ですよ1/5。
アスカはまあ「どちらかというと好き」、くらいだったんですけど、改めて読み返してみるとケンアスのことだけやけに委細に書いてるので、恐らく印象深かったんでしょう。

いずれにせよ、少なくとも以前からエヴァを追っていた身であれば観ておくといいと思います。
今作をどう受け止めるかは個人に任されますが……
いや、アスカ派だけは観ないほうが救われるのかなぁ。どうなんでしょうね。

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