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仕様もない夢で、思い出の味。


 すごくしょうもない夢を見たら、小さな思い出と、現状にちょっと悲しくなった話。結果、全部自分の中だけで完結するので、深そうに見せようとして足首ぐらいまでの水位しかない話です。


 夢の内容としてはウェイトがヘビーそうな、所謂肉団子と呼べそうなプロレスラーの方々が、串料理を持って盛り上がっていただけ。

 ただ、プロレスラーの1人は、私に名乗ってきました。俺は松田元太だと。この名前の方、実在は、ジャニーズJrのTravis Japanのメンバーさんです。ダンスがすごい、すっきりとした印象のある人だと思います。本当に申し訳ないのですが、私は詳しく存じあげず、先日動画で少し拝見したぐらいです。

 夢の中では、自称松田さんの後ろにもレスラーがいました。恐らく松田さん以外のメンバーの方々だと、考えるのが自然でしょう。そのメンバーとプロレスラー達を、交互に想像すると、ギャップで風邪引くレベルです。

 各々実在の方々は着そうにない、色と柄で試合というオケージョンにマッチした、ピタッとしたボトム。筋肉が分かりやすい、卵白を塗ってから焼いたパンのような肉付きの良い艶やかな健康肌。ジャニーズだからこうじゃなきゃという固定概念ではありませんが、ユニクロがパンクロックテイスト一本で勝負するぐらいの違和感はあったと思います。

 そんなジャニーズというフィルターを通すには無理のある面々が、牛串やなんやを手に、はしゃいでいるだけの映像が目の前で繰り広げられます。大盛り上がりな中で、ふと、自称松田さんの手元を見て、私は気付きました。

あれ、東京コロッケや。

ーーーー目が覚めました。


 まず、東京コロッケについて説明すると、小さいコロッケが串に連なり、その串ごとしゃばしゃばしたソースの中に浸してあるのがデフォルト。大阪だけなのかなんなのか、お祭りの屋台でしか見たことがない、いかにも東京には無さそうな食べ物です。

 そういえば、祖母はそれが大好きで、地元の神社のお祭りがあると、1パックに10本近く入ってたと思うのですが、2・3パックは買ってきて、親戚や私達孫にも分けてくれた思い出があります。

 祖母がくれる東京コロッケは、ふにゃふにゃの味の濃い、量の多い揚げ物。味はソース系で間違いないのですが、私はこの味の濃さと、量の多さがすごく苦手で、精々一本が限界でした。そもそも祖母とは、ほとんど味覚が合わなくて。祖母の作る料理や好みの食べ物は、調味料が多く、砂糖、油、醤油等々なんでもどぼっと入ってた。祖母のはっきり物事を言う性格と、まっすぐな故に不器用な、そんな味だったと思う。

 あぁ、あの味が食べたい。


 祖母は他界し来月は一周忌。このコロナの影響で、祖母が大好きな祖父が眠るお墓に納骨できずにいます。一周忌でさえ、親戚が集まることすら叶わないでしょう。

 コロナが終わったら、お祭りがきっとある。そこでベビーカステラやりんご飴や、そういった華やかな物には目もくれず、茶色くて全く映えないあいつを大量に買うんだ。そして甥っ子にも持っていこう。甥っ子はどう思うのだろう。私は何を思うだろう。自称松田さん達のように、串を手に、はしゃいで飛び跳ねるかもしれない。はしゃぎすぎて、近所からクレームが出るかな。そしたらばあちゃんに届くかな。

 最後に、松田さん、勝手に夢でもここでも名前をだしてごめんなさい。


 1日でも早くコロナが収まりますように。


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