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#80 【放送後記】第9回ふりかけラジオ「困った今こそ神頼み」神について語ります

2月10日に第9回ふりかけラジオを放送しました。
今回の放送はこちらからお聴きいただけます。


節分・立春大吉・厄除け、と春の準備の節目の行事がつづきます。さて、そういうお祭りというか、「神について」後半かたりました。「神イメージ」は超越性でもあるけど、日本だと、千と千尋・仏教・神道など、わりとごっちゃだし、日本の古来の神は、人格神であったりして、それぞれに物語がありますね。

「神がいるなら、もう少しましな世の中になっている。」という命題に答えはあるか?

このカナル君の問い答えてみましょう。
ここには2つに考えがあるといわれてます。それが、主知主義と主意主義。古代西洋から続く神を擁護する思想の弁神論での論議です。
まず主知主義。インテレクチャル。合理性を重視する。世の中はまともではない、いい加減だ、だから神にすがってもだめ、人間の知性でのりこえるしかない、だから社会がきちんとしないとどうしようもない、という。だから制度や社会のやり方を方法論でもって変えていく、これが主知主義。それは神の合理的配慮なんだ、それを乗り越えるんだという理解になる、すすんで、社会改革になる。世界は合理的であるはずだ、という前提で考える。

一方、主意主義、ボランタリズム。これは神にも自由な意志があって何かに束縛もされてないから感情があり、人はその神の似姿だ。つまり主知主義のように合理的に理解しようとしても、そもそも神の感情からして悪はあるし、でたらめだし、そういう世界だ。だったら、あきらめではないが、ならばそのような世の中として神の意志を受容していこう、ゆきつけば、神への信仰とはそいう現状追認の上になりたっている。

主知主義は理論、主意主義は気持ち。学校であれば、生徒の気持を考えるか、制度を優先にするか。これっていつもどこかで交錯している問いですね。その前提は、学校は善であるなのになんでいろいろ問題がおこるんですか?という問い。こうなると、学校弁護論となる。

このことは、以下の宮台の言説から引用します。引用先はhttps://newspicks.com/news/5463386/body/

以下引用
『シュライエルマッハはスコラの弁神論 theodecy ──神が絶対者ならばなぜ世界に悪が存在するか──から説きます。主知主義は人から見た悪も「神の計画」だとしますが、主意主義は神が絶対なので何にも縛られずに意志するからだとします。主知主義は世界は合理的だと考えるけど、主意主義は世界は端的にデタラメだとします。主意主義では、人は神の似姿だから、その幸せは if-then 文では書けないわけです。』(宮台)

ここでいうIF-THEN文とうのは、世の中は、主知主義として合理的な世界であるという前提です。真なるもの、もし○○ならばそれなら●●だ、という頭で考える知性の局面です。神が計画して悪も準備している。もし神がいるなら神は善であるなら世の中も善だ。しかし実際の世の中は善ではないではないか、では、もし世の中が善ではないのであればそれは○○だから、その○○は◆だとしでは○□だろう、というように延々と頭で考え行く。そして真理に到達しようとする。

主意主義では、悪は神の意志であって神の感情があり人間も神の模造であるから、そもそも神は人をそのように創造した、ならば人は神をそのようなものとして受け入れる。一種あきらめかもしれないですが、ここに信仰もあるのかもしれない。

こう考えると理論と感情で二項対立しつつも、現実の世界を意味づける作業であることがわかります。「もし神がいるなら」という構文は、神がいるかいないか、という問いにもなります。弁神論はしかし神の否定ではない。しかし、いま、神を否定できるほどに社会がすすんで、なんでも明らかなってきた。先の、学校は善である、という前提自体が崩壊してきている。そもそも論になります。これは合理性ゆえの帰結で、主知主義で神の存在意義を理論として構成してもいきつくところ全能の神の支配かもしれず、それはそれで恐ろしい。かといって主意主義に傾きすぎるとシステム化された近代の社会を否定することになる。最近の宗教に絡むいくつかの事件は、その両方のバランスが崩れている気がすると同時に、あらゆる社会の場面で遭遇する問題の背後にあるのではないか。

カナル君がそういうことに気づいていたかどうかは別にして、こういう問いがでてきたことが驚きです。AI時代になっどて、神の存在をどう考えるか。これは個人の中に信仰や宗教というもの、それが持つ意味をもう一度ふりかえる機会が必要だということではないでしょうか。神様がいないと思っている、という考えへの警告が、トトロであったり千と千尋であったり、というのは個人の感想です。


「ふりかけラジオ」は隔週(毎月第2・4)土曜日の21時30分から、FM805たんばに乗せてお届けしています。
次回は、2024年2月24日の21時30分からの放送です。
FM805たんばの受信地域外の方も、こちらからインターネットサイマルラジオでお聴きいただけます。
それでは、また次回の放送でお会いしましょう。おやすみなさい。

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