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闘うべきか、闘わざるべきか? ニワトリの雄たちよ①

「竹ぼうきを持って
ニワトリと闘ってたイメージしかない」

先日、10年ぶりに会った同級生が
10年前に我が家に
遊びにきてくれた時のことを
振り返ってそう言った。

わたしのことである。
そして比喩ではない。
決していじめでもない。

飛びかかってくるオンドリから
身を守っていたのだ。


牛  山羊 ニワトリ チャボ カモ
ウサギ ハムスター  金魚  カメ
(表記は何となくしっくりくるほうで)

人間は.子ども4人に大人2人。
当時のフルメンバーだ。


動物たちはそれぞれ個性があり
そのことを書くのはとても楽しい。
今回の主役はニワトリの雄、オンドリだ。

オンドリたちは、少しずつ個性はあったが、
推し並べて狂暴
というのがぴったりの格闘家だった。


どんな風に格闘家なのかというと



普段は、
勝ち目のない勝負はしない。
我が家でいうと、
「お父」には何も仕掛けない。

しかし、
「お母」(わたしのこと)に関しては、
後ろを向いていたり
よそに気を取られていたりして
隙があれば、
すかさず飛びかかって来た。

当時の家は、
お風呂もトイレも外(屋根と壁はあります)。
洗濯機も外に置いてあった。

少し高いところに設置してある大きな洗濯機、
中の洗濯物を取り出す時は
頭から突っ込むような態勢になる。

その時、お風呂の棟づたいに
猛ダッシュしてくる奴の足音を感じた。

さっと洗濯機から離れ、
足音のする方を見る。
と、
急ブレーキをかけたオンドリは
スキップくらいの足取りになり
フーンフフーン♪
わたしは何もしてませんよ
みたいな顔をしてわたしの脇をすり抜ける。

面白いので、
また洗濯機に頭を入れるふりで様子を見る。
すると、
さっと身を翻してこちらを襲おうとして、

バレると
また
フーンフフーン♪
で去っていく。

こんな風に、
背後から襲うことができなかった時は
ごまかして立ち去る。

ごまかしきれなかった(というか、
わたしは一度もごまかされては
いないのだが)時は、
一か八か勝負を挑んで来ることもある。

彼の読みでは、おそらくほんの一階級くらい
わたしの方が格上だったのだろう。


子どもたちは格下の位置付けなので
邪魔ならいつでも飛びかかる。
小さい子たちは、油断すると
飛びかかられてよく泣いていた。



餌をやったり世話をする身としては
面倒くさいこの闘魂、

しかし、
「大切な家族、仲間たちを守る」
という視点で見れば
それはそれは頼りになる、
勇敢な存在でもあった。


ある朝、にわとり小屋がハクビシンに
狙われたことがあった。
小屋は荒らされていて、
メンドリたちは怯えて叫び
興奮していたが、
ありがたいことに全員無傷だった。


けれど
オンドリは行方不明。

小屋の外に血痕や🪶が落ちていて、
裏山に続いている。

裏山を探すと、
壮絶な闘いの後に天に召された
彼の姿がそこにあった。


オンドリたちの血の気の多さには
正直うんざりしていたが、
それもこれも
この大事な局面で
こうして使うために必要なもの、
その場面で使うために
生まれつき持たされた武器みたいな
ものなのだろうと思った。

大事な場面で
「家族(メンドリたち)を守る!」と
思ったのかどうかは知らないが
彼の闘争心は、
立派に彼女たちを守ったのだ。



こんな風に、歴代共通して
血の気の多いオンドリたちだったが

一羽だけ、例外のコがいた。
うちで卵から孵ってヒナから育てた
オンドリである。
名前はパンという。

とても可愛い子だった。
その彼が、
本能と愛情の狭間で揺れる様子。
またお付き合いください。



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