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帽子にまつわるコバナシ vol.2 「つながりを感じる時」

秋は帽子のお洒落を楽しめる大好きな季節でもあります。

先日まで開催していた梅田阪神本店のイベントで、私は久しぶりに店頭に立ち接客をさせていただきました。

体調不良から芝川ビルのお店を閉めて、もうずいぶんと接客から離れていましたから本当に久しぶりでした。今日しみじみと感じたのは「帽子とお客様の繋がり」です。

帽子は服と違って、絶対になくてはならないものではありません。
昔はね、そんな時代もありました。その頃に帽子屋だったら良かったのに、、とは良く思いますが、今はその話ではなく。

当たり前の事ですが、私がアトリエで帽子を製作する過程では、初めは一枚の布でした。

さぁコレで何を作ろうかな?とデザインを考えて。パターンを作り。試作したりしなかったり。そして裁断して。縫い始める。これを1人で行う事が多いです。多分皆さんが思っている以上にハンドメイドなんですね。

普通、デザイナーが縫った服などは流通はしないでしょうし、、これは我々が帽子職人だからなんですよね。アトリエで日常行われてることです。我々というのはアトリエスタッフもそうだからです

今日も、私がイベントに間に合うように!と前日に仕上げたキャスケットやバケットのお買い上げがありました。 

私の接客したおばあちゃまは、ブラックのキャスケットを手に取りました。
同窓会があるそうで白髪が恥ずかしいから帽子を探しに来たの、と。もう皆歳だから今回が最後の同窓会になるのと。

ちょっと寂しいお話しですが…そんな思い出になる集まりに私のキャスケットをかぶり、きっと、「可愛いわね〜素敵ね」とたくさんお友達に褒めてもらって幸せな時間を過ごすのだなぁと、わたしは接客しながら想像します。

何故か私の妄想は同窓会の記念写真撮影まで進み。とても良いお顔でパチリ。
そこで私はイメージの世界から戻ってきて、「絶対に似合います!」とオススメするのです。

こんな時、私と私の帽子とお客様(おばあちゃま)のご縁をとっても感じてしまいます。

この方の為に、私は帽子を作ったんだな。
と思うのです。(勝手ですよね…)

私の中にはたくさんの、こういう出会いが日々積もっていき、そしてまた次の帽子を作り始めるんです。

一期一会ではありますが、私と帽子とおばあちゃまのつながり。

またどこかで出会えたら嬉しいな。



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