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いる⭐️

 〈神様との会話⭐〉

 ある日、天に話しかけた。

 神様、ちょっと聞いて。いましているお仕事のことなんだけどね。
 わたしの最初の担当は立ち仕事で、部署番号は17番だったの。何回か同じ場所を担当した。それなりに楽しかったんだけどね、少しあきてきたの。

 そんなとき、次は座り仕事になった。部署番号は18番。前より、個別に人と関わるところだから、すごくドキドキした。
 わたしだけ、仕事の流れがなかなかつかめなくて、どうしようかと思ったの。手は震えるし。はじめはちょっと、失敗した。申し訳ないけど。ごめんね。
 でも、徐々にリズムに乗り出してね、気がつくと、どんどん仕事をこなせるようになった。
 時間が本当にあっという間に過ぎたの。無になったように集中できた。
 仲間は言ってくれた。
「この場所が適所なんじゃない? 前の場所より、生き生きしてたよ」
「そんなふうに見えたんだ」
 確かに楽しかった。

 担当部署は当日行ってみないとわからない。

 ねえ、神様。また次も18番で仕事したい。時間がたつのが早いから。

 そうお願いしていた。

 天に話していたことも忘れた数日後、車に乗って出勤。家の前の路地を抜けて、道路に出た瞬間、対向車のナンバープレートが目に入った。

 〈17〉

「あっ!」

 とっさに思った。
 今日は17番なんだね……。少しがっかりした。
 お願いしてたのにな。だから、前もって教えてくれたのかな。
 でもまあ、行ってみないとわからないし――。

 鼻歌を歌いながら運転する。対向車のナンバープレートの8888や7777が目に飛び込んできた。
 〈天に応援されてるな〉って思った。

 職場に着いた。
「はい、今日は17番ね」
 やっぱりそうか。まあ、いっか。

 ひとしきり仕事を終え、駐車場に向かう所で、18番担当だったお二人が真剣に話し込んでいた。

「どうしたの?」
 なにやら18番の部署で、つじつまが合わないことが起きたらしい。あーでもない、こーでもないと話している。

「そう言えば、今日は少し変更になるって言ってたね」
 朝来たときに、小耳にはさんだことを思い出した。
「それで、こっちのせいになったの?」
「ううん、うやむやになって、はっきりしてないから、もやもやしたまま帰るの」

 話を聞いていても、ややこしそうだった。二人の顔は、仕事終わりなのに晴れない様子。
 わたしが18番担当だったら、そうなっていただろう。
 万事塞翁が馬っていうのか、お二人には悪いけれど、難を逃れた気がした。

 帰りの車の中で、気持ちよく仕事を終えられたことに感謝した。

 「ありがと~~。17番で良かったよ!」
 大きな声で天に言った。

 すると、間髪入れずに対向車のナンバープレート〈0319〉が目に飛び込む。
 うれしかった。
 なんでって?!
 わたしの誕生日の数字だから。
〈おめでとう! 良かったね〉って天から言われている気がした。

 ちゃんと会話している気がしたのだ。

 そのあとは祝福の数8888や9999のナンバープレートが目に入る。
 わたしが天の意図をわかって感謝したから、神様も答えてくれている。喜んでくれている。
 そう思えた。

 神様とのコミュニケーションは、まるで外国人と会話している感覚だ。
 相手の意図することを想像して、こちらも意思表示する。
 ぽんぽんと投げかけてくる数字や言葉、カラスの声や落とす羽根、空の様子、ふいに頭に浮かぶことなどのメッセージを受けとり、想像しながら、ありがとうと感謝する。
 ありがとう! と感謝で応えれば、天も喜んでなにかしらの合図をくれることがある。

 それはたぶん、わたしだけにわかる独自の感覚。

 でも、ほんとは、受け取りかたは違えども、誰でも持ってる感覚。

 気づくか、気づかないかだけ。
 気づこうとするか、しないかだけ。
 会話しようとするか、しないかだけ。
 信頼するか、しないかだけ。

 いつでも、サインは身近にある。

 これだけは確実に言える。
 見えないけれど、いるのだ。
 いつも見守ってくれているなにかが――。


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