2024年共通テスト:日本史B 大問3

会話文 中世社会の特色についての会話 
小問数:5 ※年代並替え 正誤問題 資料読み取りなど
解答 問1:2 問2:3 問3:1 問4:4 問5:4
難易度:易〜標準 ※史料を読み間違うことがなければ…。
≪解説など≫
問1 下線部a(京都の朝廷)に関する問題
 Ⅰ:北面の武士に加えて新たに西面武士を設置するなど、軍事力を増強させた朝廷
  は、幕府との戦いに踏み切った。→設置後、1221年承久の乱。
 Ⅱ:それまで調停が保持していた京都の市政権や諸国に段銭を課す権限などが、
  幕府の管轄下に置かれた。→室町時代前半
 Ⅲ:朝廷は、荘園領主などに武力で抵抗し悪党と呼ばれた新興武士の取り締まり
  を、幕府に要請した。→悪党が出てくるのが14世紀前半(鎌倉時代末)
※Ⅱ:14世紀後半から15世紀初頭にかけての出来事。京都の市政権や段銭の徴収権
  などは調停が保持していたが、義満の時代に幕府の管轄下に置かれるようにな
  る。

問2:下線部b(1297年の永仁の徳政令〜)に関する問題
 史料1:永仁の徳政令(『東寺百合文書』)
 史料2:1345年 山城国下久世荘の名主・百姓替え人の徳政令の適用を荘園領主
         の東寺に求めた申状
 →本条を守り=注釈 御成敗式目第8条のこと
  幕府の勢力範囲を対象としており、また永仁の徳政令は御家人の救済を目的と
  されているため、aは誤文となる。
 →bの「本主が御家人であれば、年限を問わず、非御家人や庶民が買い取った土
  地を取り戻すことができると規定したものである」は正しいため、正文。
 →史料2では、「山城国下久世荘の名主・百姓」が永仁の徳政令の「非御家人な
  らびに凡下の輩〜取り返すべし」の条文を根拠として、売却地を「われわれが
  取り戻したことを正当な行為としている。また、かつての買主の子孫と称する
  者が売却地の返還を求める訴訟に対して不当としている。そのため、正文とな
  る。
 ★永仁の徳政令において、御家人が「本主」であることを前提とした法令である
  ため、「山城国下久世荘の名主・百姓」が売却地を取り戻したことは、史料1
  の読み換えと判断できる。
 ★御成敗式目の適用対象は、御家人で鎌倉幕府の勢力範囲のみだったものが、少
  しずつ影響力が広がっていった。
上記より、解答は③となる。

問3 下線部c(南北朝時代)に関連する問題
 X:この人物は、南朝の立場から皇位継承の正統性を説いた『神皇正統記』を
   著した。→北畠親房の著
 Y:この人物は、連歌の規則書として『応安新式』を制定し、『菟玖波集』を 
   編集した。 →二条良基
→一条兼良:東山文化の頃に活躍した公卿。摂政、太政大臣、関白を歴任。
     『樵談治要』を9代将軍の足利義尚に贈る。
→ 宗祗 :東山文化の頃に活躍した人物。『新撰菟玖波集』を編集し、連歌の
      芸術性を高め、正風連歌を確立する。
      ※参考:連歌の作品『水無瀬三吟百韻』
上記より、解答は①となる。

問4 戦国大名の分国法に関する問題
 史料3〜5 分国法 
  ※史料3から戦国大名は朝倉氏と判断できる。
  ※史料4は駿河・遠江であることから、今川氏であると判断できる。
  ※史料5は、『甲州法度之次第』
 X:この戦国大名は、家臣が領国外の武士と結びつくことを警戒した。
 Y:この戦国大名は、家臣同士が自らの武力で争うことを禁止した。
 →Xの説明が該当するのは、史料4。私婚の禁止を規定している。
 →Yに関しては、「喧嘩両成敗」について書かれている。

問5 史料2をきっかけとした、中世社会の特色について正しい文を選ぶ
 前提:中世社会は、「自力救済」が基本となっている。
 背景:他人に侵害された権利や名誉に関しては、現在のように「司法」などは機
    能しておらず、侵害された人が実力行使によって自力で救済するのが一般
    的であった。自力救済による実力行使は、集団間での私戦へと発展するこ
    とが多く、惣村同士の争い(所領関連が多いが…)なども多かった。のち
    の一揆や強訴などにもつながる。傘連判状など首謀者を隠す、ということ
    も出てくる。
 条件:実力を行使して問題を解決しようとする事例
  →上記の事例に当てはまるものとしては、④が適する。
   ①に関しては、条件にそもそも当てはまらない。②に関しては、下地中分の
   裁定を幕府に求める動きであり、どちらかと言えば平和的な解決手段である
   ため、条件に当てはまらない。③に関しては、惣無事(関連:豊臣秀吉)を
   受け入れた戦国大名はいたので当てはまらない。

大問1・2に比べると大問3に関しては比較的解きやすい問題が多かった印象である。史料に関しては目を通すだけでなく、いつ、誰が、どのような理由で出したのか、というのを把握しておく必要もある。

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