2021年1月の記事一覧
藤原千久子先生の授業「中世の民衆」についてのコメント
藤原報告は、1977年に『歴史地理教育』誌上で提案した中世史の小学校カリキュラムの現在の段階を報告したものである。「小学校の通史学習で中世をどう教えたか」(『歴史地理教育』267号、1977)、「躍動する中世の民衆」(『同』471号、1991)と読み比べると、長期にわたって経験と工夫が蓄積されてきたことがわかる。
授業の内容と形態が地域・教師・子どもたちの特徴や個性によって多様性をもつことは当
常陸国の地域史と教育
常陽新聞の連載
①石岡市「鹿の子遺跡」の漆紙と日本の人口
八世紀、つまり奈良時代の歴史史料はきわめて少ない。これが増加するなどということは、私が歴史の研究に興味を持ち出した頃には考えられなかった。もちろん、ちょうどその頃は「木簡」(荷札など、文字の書かれた木の札)が歴史史料として注目され始めた頃で、特に静岡県の浜松市の伊場遺跡という地方の役所の遺跡から木簡が発見され、地方にも木簡が存在する可能
歴史を通して社会をみつめる
東京大学出版会の教育のシリーズ物(何だったかは後に調査)
はじめに
「歴史を通して社会をみつめる」。しかし、そもそも私たち「現代日本人」は歴史を通して社会をみつめているだろうか。現代日本で生活する人々のうち、どれだけの数の「大人」がそうしているだろうか。そしてこの社会に生まれた子どもたちにとって「歴史を通して社会をみつめる」とは、どういうことなのであろうか。
過去は、私たちの意
歴史学と歴史教育をめぐる議論
2014年12月17日 (水)
遠山茂樹『歴史学から歴史教育へ』
吉見義明さんの本を読むために再点検した大門正克さんの編の『昭和史論争を読む』に遠山茂樹さんの「歴史叙述と歴史意識」があった。そこで、この論文の載っている、遠山『歴史学から歴史教育へ』をひっぱりだして読んだ。このブログにのせてある「中世史研究と歴史教育ー通史的認識と社会史の課題にふれて」という文章をかいたころ、本当によく読んでいた
奈良・平安時代の地震、神話と祇園社
<第46回研究集会 記念講演 東京歴教協> 2013年3月(『東京の歴史教育』42号
奈良・平安時代の地震、神話と祇園社
東京大学史料編纂所教授 保立道久
はじめに
今回の東日本太平洋岸地震と原発震災の複合という事態の中で、今、どういう教材研究が必要なのか、そして小・中・高・大学でどういうカリキュラムを系統的につくっていくべきなのかということを、みなさん、