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都市部でも車通勤に拘る理由

私は東京23区内に住んでいますが、電車で25分の自分の会社に行くのにも、クライアント先を訪問するにせよ、全て自動車で移動しています。電車バスは独立して6年間で、月に1度使えば良いぐらいです。

都心部においての自動車通勤や自動車移動は、様々なロス(デメリット)も多いのは想像つくかと思いますが、実はそれ以上に人によってはメリットもあります。私がソニーを辞めた理由の1つに、しょうもないといわれそうですが、満員電車からの回避も少なからず含まれています。

リモートワークに慣れた人達が、もう満員電車での通勤を想像すると苦痛という悲鳴をちらほら見かけるようになってきていますが、本記事はそれを打破できる解決策を語るものではないことを先にお伝えしておきます。

自動車での移動の良し悪しは人によります

私はそんなのメリットにならない、という話がもちろんあります...

さて、本題にいきます。都市部の自動車通勤や移動のメリットは大きく4つ。

健康面(対ウィルス)

これはまさに今の新型コロナウィルス感染に絡む懸念事項だと思います。
ウィルスの飛び交う電車にのっていたらどこで病原菌を貰ってくるか分からないのは怖いものです。社長や経営者、それも小さな企業にとっての社長は(少なくとも私のような立場は)、自身の代わりはいないし、自分自身が働けないとそれは会社の存続問題にもなってしまいます。

さて、会社を辞める前に起業した知人らからこんな話を私は良く耳にしました。

会社止めて電車に乗らなくなったら風邪引かなくなったんだよね

サラリーマン時代のストレスや不規則な仕事で体調崩していたのでは、と何を大げさな、と思っていたのですが、実際私もこの数年、風邪を引き難くなりました。医学的ななにかエビデンスがあるわけではありませんが、新型コロナウィルスの飛散検証実験などを見ていると、人が密集する中に長時間いるのはよくないのだな、とは分かりました(もちろん、職場の環境なども影響するはずなので、決して電車通勤したら風邪をひく、ではないと思います)。

雨降ろうが暑かろうがエアコンのある車は天気天候の影響があまりにないのも本当に助かっています。

プライベート空間の確保

重要な話や緊急の話はメールや slack ではなく電話がかかってきます。商談なんかも電話でまだまだかかってきます(ここではビジネス上の電話の是非については言及しません)。特に秘匿性高い話に限って電話だったり対面だったりします。

電車にのっているときにそんな電話がかかってきたら、かけ直すにしても、ホームはうるさいし、何はともあれ秘匿性がなくなります(結構、ホームやカフェで守秘義務違反にあたるような内容の電話をしているひとを昔はみかけたものですが)。もちろん、秘匿性高いのなら、更にかけ直します、というのもありますが、商売上、チャンスを逃したり、急いでいる時など尚更時間との競争です。

そんな時に車の中はまだ安全なほうです。もちろん運転中は安全優先ですが、路肩に止めて話すこともできるし、そのままPCで返事をさらっと返すのもできます。

また、なにより自分の好きな曲やラジオを聴きながら、ちょっと本を読んだり、slack の返事を書いたりできます。疲れていたら昼寝もできます。ご飯たべたりできますし、歌ってストレス発散もできます。

ちょっとした仕事や読書はカフェでも出来ますが、周りがうるさかったり、長時間の場所占有はやはり御法度だと思っています。なんだかんだ隣の人から見えたりと、厳密に言えば守秘義務を守り難い環境です。リモートオフィス、レンタルオフィス系も一時期考えましたが、結局、カフェよりも空いてて長時間いれる程度で、車移動してたらそれはあくまでもオプションかな、と思うようになりました。

冤罪回避

自分から痴漢行動をすることがなくても運悪く間違われてしまう可能性があります。冤罪で名前や会社が公表されたりすると、経営者としてはお先真っ暗になってしまいます。もちろん、弁護士呼んで、と色々対処はするにしてもそんなことを本来している余裕はないはず...

最近は、痴漢冤罪保険なるものも出て来ていますし、交通事故の確率のほうが全然高いと思うので大きなメリットとは思えませんが男性ならではのメリットとしてあげました。(もはや車の場合は、ドライブレコーダーは必須ですね)

心休まる場所

私の趣味は自動車です。ドライブも好きですしサーキットにもいって走ります。レースも出ます(プロではありません)。夢は愛車を常に眺められるガレージを自宅に持つことです。電車に30分乗るなら、渋滞の道路を2時間、愛車に乗ってるほうが気が休むほどの車馬鹿です。一方で私は電車で寝ることができません。落ち着かないのです。だから寝てればいいとか、Podcast で英語の勉強が…という対策はやってみましたが全部ダメでした。音楽を聴いてなんとか時間が過ぎるのを耐えるのみでした(特に酔ったり気分悪くなるわけじゃないのですが)。

思えば大学1年生の時、授業もろくに出ずに必死にバイトして同級生で一番最初に車を所有し自動車通学を開始しました。電車だと学校に行く気持ちがほとんど起きなかったのに、車をもってから学校・バイト・遊びに車で移動することが楽しくて、結果的には朝一で車で大学の研究室に通い勉強していました。車がない生活は全く私には考えられないのです。米国短期赴任や出張中も当然、レンタカーです。当時、特別な理由がない限りはレンタカーは禁止されてしまい、広大なカリフォルニア州への出張ですら、タクシーか電車など使え、というルールだったのを、あれこれ理由つけてレンタカーを許可してもらったのも良い思い出です。

私は愛車のシートに腰掛けてインパネを見る、動かさなくてもそれだけでも満足してしまう車馬鹿なので、毎日、その車に乗れるというのは本当に幸せ以外なにものでもないのです。それがストレス解消にもなり、また休まった心の中から、新しい仕事へのヒントやクリエィティブなモノコトが頭からあふれ出してくるのですから、車移動の価値は計り知れないものが私にはあります。

まとめ

サラリーマン時代にずっと「車通勤したい」と願い続けて20年以上、ようやく独立と共にそれが叶いました。6年近く車通勤してのメリット4つを書きましたが、これは経営者視点だったり、車好きだからこその視点も多くなっています。当然ながら、デメリットもあります。

個人レベルでいうと、交通費がかさむ上に駐車場が見つからない問題もあります。渋滞時の遅刻や交通事故のリスクもあります。車で移動しやすい地域とそうでないところもこの何十年と都市部を車で走っていてノウハウとして持っています。そういう知見がないと、デメリットだらけになります。駐車場についても同様です。

社会的にいうと、排ガスなどの環境汚染問題に対して良くない手段をとっています。電気自動車など環境負荷の低い車を使うなど仕事上の立場としては考えていかないといけません。

UX=個人の体験がいくらよくても、社会的・環境的な体験(CX, BX)は、会社的には蔑ろにできないので今後の課題です。

この記事を書いていて、米国からの赴任者らが聞いてきた話を思い出しました。朝、ラッシュの満員電車に乗ったら上司(事業部長)や役員を見つけたそうです。その赴任者ら曰く、

「世界のソニーに勤務していて、それもトップのポジションなのに、彼らはなぜこんな過酷な電車で通勤するのか?信じられない。もっと楽させてあげればいいのに」
「どこまで上り詰めれば車通勤できるようになるんだい?社長しかだめなのか、東京では?」

ちょっと考えさせられた瞬間でした。

私のこの記事と若干似たようなブログが過去にあったので御参考までに。

自転車のほうが健康にもいいし環境にもいい、いや徒歩圏内に住んで歩く職住近接が本来あるべき姿だ、とか、あれこれ是非はあると思います。その是非の結論を出したいわけではありません。

私にとっては自動車(もちろん愛車)は安息の場所でもあり、クリエィティブな発想もできる場所でもあり、趣味も兼ねている。つまり、

私にとっては自動車通勤が最良」

うんちく:電車通勤は実は少数?

首都圏や都会在住の人は、自動車通勤は一部の地方の人だけ、電車バス通勤がメジャーという認識の人がいますが、それは大間違いです。

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総務省の国勢調査(2010年の利用交通手段 11-5, PDF, P264)によると日本国民においての自家用車通勤通学者は、全自宅外就業者・通学者において 46.5% でした。これを多いとみるか少ないとみるか。ここに自転車とバイクを加えると 60% 近くになります。一方で、東京の自家用車通勤・通学者は10%程度で、電車は44.5% です。

つまり、電車通勤は東京ですら半数以下、全国的に見ると16%で大多数ではないのです。首都圏と地方、というよりも首都圏と全国ではこんなにも違うのです。


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