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そもそも論は非?WHYに立ち戻れ!

ビジネスの世界において「そもそも論は禁止で!」「そもそも〜からはじまる話はもうやめましょう」という話を聞く事がある。しかし敢えて先に言う。私は「そもそも論禁止」を禁止したい。

キッパリと言いきったが、もちろん時と場合によりけりではあるけれど、そもそも論の是非をしたいわけではなく、

『なぜ我々はやるのか?という目的や信念』が非常に重要で、
その根底に立ち返ってみることも大事である

ということを言いたい。

ゴールデンサークル理論

TED Talks でマーケッティングコンサルタントのサイモン・シネック (Simon Sinek) 氏が "How great leaders inspire action" (優れたリーダーはどうやって行動を促すのか)のプレゼンテーションの中で提唱したのが、ゴールデンサークル理論である。

詳細は、彼の本(訳本もあり)や検索すれば出てくるので割愛するが、一言でいうと、

何を(What)どうするか(How) ではなく、なぜ(Why)そうするのか、
に人は心を動かされる、人に伝わりやすい

という理論である。

つまり、Why → How → What という順番で考える話なのだが、実際、仕事をしていると、その逆の順で話が行われる事が多くないだろうか。

何を(What)、どうするか(How)、いつ(When)、誰と(Who, Whom)、いくらで(How much) なんて議論ばかりが行われ、なぜ我々はやるのか、その目的はなんだ、といった Why は置き去りということはないだろうか?

「既にそう決まっている(た)ので」
「トップが言うので」
「お客様がそういってくるので」

根本的なところは、大人の事情で、そこは触れてはいけない話になりがちである。20年以上サラリーマンをやっていたのでそういう事情もわかるし、決定事項は覆せない事も多い。そんな空気を無視して、「とはいえ、そもそも〜」と一点張りになると、それは「そもそもオジサン」と呼ばれてしまう。

覆すのが目的ではない

ゴールデンサークル理論でも語られているが、なにか問題があったときや議論がぶつかったときに大事なのは「Why(なぜそうするのか?)」である。

Why で掲げている、「なぜそうするのか」、という理念や目的がしっかり語られず、大人の事情だ、ビジネス上の都合だ、といったものに勝手に「Why」というラベルを貼り付けていくから、大討論になり正解が見つからないから話がまとまらなくなる。そういうのを嫌ってほど見てきた。

ビジネス上、利権や絶対的に曲げられないトップからの与件、といったものが「Why」としてあるならば、それをしっかり皆で受け止めることが大事だ。

なんとなく各自が勝手に「Why」にあたる部分を解釈し、What, How, Who, ... を考え出すのが一番良くない。が、実は意外にそういうプロジェクトが多い印象がある。

Why の部分は文言化なりされていないことが多い。担当者や各業務を請ける会社に落ちてくればくるほど、工数・スケジュール・費用・やる事といった具体的なところに目がいきがちである。スケジュールが厳しいプロジェクトなら尚更、「そもそも」なんて話をする暇なく、とっとと着手したい、というのが現場の声でもある。

コンサルティングとして

私は技術開発や顧客体験戦略を中心としたコンサルティングを生業にしている。顧客からの質問として、「なにをどうすべきですか?」といった、Whatや How の質問を聞いてくる事が多いが、それをしっかり答えるためには、Why を聴かねばならないというのはゴールデンサークル理論からも分かる通り。

その Why が曖昧だったり、よくない方向であった場合、またはもっと改善できそうな場合には、遠慮なく

「Why から再定義しませんか?」

と提案する。

向うべき方向の変更というのは途中からはやり難いし、結果的にプロジェクトなりが進み始めた時、各担当者全員にこの Why となる、コンセプト(ミッション)をしっかり共有するためにも文言化は重要である。最初の方向性、根本、幹、源泉、、、色々言いかたはあるが、根幹となる Why は大事である。

まとめ

ビジネスにおいて突き詰めていくと「なぜやるのか」といった理念的な部分は、「ステークホルダーさんがとにかく儲けたいらしいから」「テレビで○○の技術をみたからうちでも」といったしょうもない事(というと失礼だが)が多々ある。

実際、私がサラリーマン時代に勤めていた某大手の会社ですら、そういう利粉塵にも思える事がたびたびあった。だから、今は、コンサル業務だろうがクライアントワーク(業務委託)だろうが、

「Why(なぜそうするのか?)」

をしっかり聞いて納得したいし、場合によってはそこも逆提案していく。クライアントワークであっても、その委託内容が無くなる事になろうとも、素直に伝える。

そんな時についつい出てしまう言葉が「そもそも〜」である...

あとがき:「そもそも」という言葉自体がネガティブに捉えられがちなので、実際は、大前提・目的・ビジョン・コンセプト、といった別の聞きかたをしている。



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