見出し画像

「スキップとローファー」は良い作品だ

漫画喫茶のアニメ化コーナーに「スキップとローファー」が置いてあって、なにげに手に取って読み始めた。(その後面白過ぎて全巻買った)

マンガ大賞に選出されたこと(2020年に第3位)があって、その時にも確か手に取って読んだはずだが、その時はその面白さに気づかず続きを読んでいなかった。

「スキップとローファー」は、その絵柄から少女漫画だと思っていたけど、連載は青年誌の「月刊アフタヌーン」。
作者は高松美咲さんで、この作品が初の長期連載だそうです。

あらすじもネタバレも書くつもりはないです。
ただ、この作品が素晴らしくて、とても好きです。

東京の高校を受験して、地方から上京して来た女の子の日常生活を描いた作品です。
「難しいことを描いているな」なのか「描くに難しいことを描いている」なのか、派手なことを描いていないのに、きちんと面白さが伝わってきます。
日常といっても作品として中身のある日常です。
日常を題材として、中身のあることを描く。難しいことへの取り組みだなと思います。

作者のwikiを見てみると『「人の心の機微」に関心を抱いており』とありました。
この作品の面白さって高校生達の細やかな心が、腑に落ちる形で描かれていて、それに感心したり、共感したり、うらやんだりすることなのかなと思ったりします。

主人公のみつみちゃんは、純粋で真っ白に見えます。
その白に近かった物が、成長や環境、経験により、少しづつ色づいて行きます。
それが周りの影響だったり、自身の中からの芽生えだったりして、誰もが通る変化の時期を過ごして行きます。

案外簡単に変わる物(外見や環境)もあるけど、変わったようで変わらない物(その人の本質)もある。

作品の中では、経験と時間の経過がある訳で、その変化と逆にその人の根本(ルーツというか変わらない物)が表立ってくるのが面白い。

この作品を読んでいると「人から好かれる人間ってどんな人間」なのかが、ほのかに分かる気がする。

私の記憶の中でもこれに近い子がいて、はじめは周りの子たちは気づかないが、時間の経過とともにその子の価値に気づいて来る(側により始める)。
ただ自分の周りに人が集まり出したからといって、その子ははじめの時と何も変わらないでいる。

みつみちゃんが持っているものは、きちんと大人の社会に入ってからでも色んな力として発揮される物だと思う。

それがどうやって育まれたのかもこの作品の中ではきちんと描かれている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?