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藪医者とビルケンシュトック

先週の記事がnoteの今日の注目記事というのに選ばれました。なんということでしょうか。選んでくださった方、読んでくださった方に感謝です。大変励みになりました。引き続き粛々と週1回更新できたらと思います。

さて今日のテーマは足と靴です。
私はジョギングをしていて、いっときはフルマラソンやウルトラマラソンに出たこともありました。ある一時期に走ることに本当に熱中し、そのあとはジョギングだけをとろとろと続けていた感じです。ベルリンに来てからは足裏に違和感があったので、ジョギングは中断していました。それが今年の春からどんどん痛くなってきたのです。

しょうがないので近所の整形外科に行って来ました。骨に異常はなく「開張足(Spreizfuß)」というありふれた症状との診断でした。インソールを入れれば治るかなと思ったら、医者には全額自費で、1回380ユーロの治療10回を提案されました。それでよくなったらインソールを作ってくれるそうです。日本円にすると、50万円を超える金額です。これにサインしろと渡された書類には、私が特別にお願いして保険適用外の治療を希望したと書いてあり、更にそれが知らない弁護士宛てのレター形式になっています。保険適用治療の提案もありませんし、ずいぶんな医者です。そもそも、よくなってからインソールって、順番が合ってるんでしょうか?

しょうがないのでその医者に行くのはやめにしました。
そして日本で同じ症状になった友人に相談したら、靴が悪いと言われました。見た目でわからなくても、靴底がへたってクッション性がなくなってくると足裏に負担がかかって痛みが出るんだそうです。確かに私も春になってブーツをやめて、中古で買ったナイキのやわやわシューズ(12ユーロ)をはきだしてから痛みが悪化しました。こういうケチり方はよくないということですね。

ドイツならいい靴もたくさんありそうです。そこで思いついたのが、ビルケンシュトックでした。これまでだっさいデザインの健康サンダルメーカーでしょと思っていましたが、そういえばアメリカでも上場したし、こういう時こそ真価を発揮しそうな気がしてきます。早速近所の直営店に行って店員と話をしたら、自分はビルケンシュトックのブーツにしたら、腰痛も不眠も消えて快適だよって怪しいサプリの宣伝みたいなことを言っていました。しかし藪医者に50万円治療をふっかけられたばかりの私には、それも福音のように聞こえます。すぐにスニーカーを購入しました。そこそこお高いですが、50万円もしません。

スニーカーはこんな感じ。無難なデザインです。

それをはいて1か月くらいたつのですが、痛みがどんどん軽減されてきました。もしかしたら妄想力が高い私特有のプラシーボ効果なのかもしれません。プラシーボでも、こんなに効果があるとは思いませんでした。このままもう医者には行かず、ビルケンシュトックだけで足を治そうと思います。治すと言っても、靴をはいて歩くだけですが。

靴って大事ですね。
スニーカーをAI風に、難解専門用語を多用してレビューするのであれば、「身体器官の老化現象をきっかけに発生した小規模バタフライエフェクトにおける予測困難なカオス運動を抑止してくれた」とでも表現したいなと思います。けちって12ユーロの靴を買って足が痛くなって藪医者にふっかけられたことも、抽象化すると意味不明ながらに高尚な雰囲気になります。要約すると、ビルケンシュトックはなかなかよいということです。


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