不妊治療 ②ご近所クリニックでの検査

 2021年5月末、排卵検査薬と基礎体温を使ったタイミング法で3周期妊娠しなかった私は、一通りの検査をすべく近所のクリニックを受診しました。

 比較的大きな駅の近くに住んでいたので、歩いて通院できる範囲に2ヶ所不妊治療を扱うクリニックがありました。
 A病院は、先生がひとりで病院の規模も小さく、婦人科も扱っていました。9時から18時半まで受付していて、10分刻みのネット予約が可能でした。
 B病院は、不妊治療専門で先生も数人おり、先進的な検査も扱っていました。「フルタイム就労と不妊治療の両立は不可(以前は遅くまで診察していたが、夜遅くに受診する女性の治療成績が悪いとのこと)」を掲げており、受付時間が9時から16時半までで、詳細な時間指定のネット予約は不可でした。
 私は激務ではありませんがフルタイムで仕事をしていて、出社前か帰りに受診できることが条件だったので、A病院一択でした。

 同時期に、夫にも頼んで検査を受けてもらいました。本当は夫には精液検査を受けて欲しくて「検査を受けてもらえないか?」とお願いしたのですが、夫はぴんときていなかったようでいわゆるブライダルチェックを受けていました(結構高かった上に、東京都の不妊検査補助金の対象になっていない病院でした)。
 結局ほとんどの項目が会社の健康診断と重複していて、あっこの人は案外わかっていないし適切な情報にたどり着けていない、丁寧に情報提供しようと思いました。

 夫の名誉のために書いておくと、夫は様々な面でかなりしっかりしています。とても良い学校を出て理系の研究職をしていて、何事も勉強熱心で慎重です。先回りしてどんどん進めるタイプではありませんが、大きな仕事の段取りからゴミの細かい分別、自宅の換気扇のフィルター掃除まで、丁寧にこなします。面倒なこと、初めてのことでも自分で調べて進めます。
 感情を言葉で表現することは大変苦手ですが、そもそもの情緒が安定していて、荒れた言動や意地悪な発言は聞いたことがありません。人の悪口も言いません。
 私という人間の出来や能力その他もろもろを考えると、夫と結婚できたことは奇跡以上の幸運だと思っています。

 A病院でこれまでの経緯と、一通りの検査を希望する旨を伝えると、先生からのお話は次の3点でした。

①検査はまだ必要ないんじゃないかと思うけれど、お金がかかっても良ければやる
②自己流の排卵予測は排卵検査薬を使ったとしてもずれるから、6周期ほどはタイミン 
 グを試すのが良い
③どんな検査や治療をしても、授かることができない人はいる

 A病院にはこの後他の病院を並行したりしながら5ヶ月ほど通いましたが、特に③について先生のスタンスは常に変わりませんでした。妙な親近感を演出することもなく、高額なサプリを勧めてくることもなく、真っ直ぐ目を見て事実だけを話してくれるA先生のことが結構好きでした。

 都の補助金の範囲であればお金はかかっても構わないと考えていたので、一通りの検査をお願いしました。

・各種感染症
・免疫機能
・卵巣と子宮のエコー
・各種ホルモン値
・AMH
・夫の精液検査

 予想通り、全てに異常はありませんでした(後からホルモン値で少し気になる項目はありましたが、A病院での治療の範囲では正常だと思います)。夫の精液検査もとても優秀な結果で、私のAMHは3.4(完全に年齢相応の中央値)でした。
 ひと安心した反面、「じゃあどうして妊娠しないの」という苦しさと焦りは一層増していきました。

 A病院でのタイミング法を3周期試し、並行して排卵検査薬を使い排卵日のずれがないか確かめました。最大で丸1〜2日のずれはあったものの、妊娠しない原因となるほどのずれはありませんでした。もともと排卵予想日前後4〜7日連続でタイミングをとっていた私たちにとって、通院してのタイミング法はあまり意味のあるものには思えませんでした。
 この頃から、タイミング法では多分授かれないんだろうな…と思っていました。

 東京オリンピックが始まって終わり、お盆が過ぎても、私は妊娠しませんでした。

 

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