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My Life(原点回帰)

初めてのファンレター

なんばHatchのロビー。

私はソワソワしながら

ライブスタッフ関係者らしき

その中でも
一番偉そうな人を探した。

たった3ヶ月ほど前に知った
アーティストのライブ。

誰とも知らず

初めて曲を聴いた時の

雷に打たれたような衝撃、

心を撃ち抜かれ
脳天まで突き抜けた瞬間を

今でも思い出す。

その当初
テレビなどで特集が組まれたりして
最もライブチケットが取りにくいアーティストとして
一躍有名になっていた。

その約3ヶ月後の
待ちに待ったライブだった。

「あの〜
これ渡していただけませんか?」

勇気を振り絞り
そのきっと一番偉そうな方に
私は話しかけた。

「いいよ。
ただ、もうすぐ始まるから
終わってからになるけど。」

「ゼンゼンいいです!お願いします!」

心拍数MAXで手渡し
お辞儀をし

業務遂行にホッとしながら
速攻で席に着いた。


偶然の出会い

席をゲット出来たのは
これまた奇跡のような出来事からだった。

彼女の音楽に出会ってから数日後。

当時私は

地元で有名な社長さんや議員さんなどが
夜な夜な親交を深めるために

足繁く通われていた高級ラウンジで

ホステスとして働いていた。

その日
常連のお客様が
私が音楽好きなのを知って

音楽好きのお友達を
連れてきてくださった。

「誰が好き?」と聞かれて

「実は数日前に初めて知ったんですけど〜」

と彼女のことを話したら

「私、ファンクラブに入ってますよ。」

「え〜〜〜っ!」

「今度のライブ、ファンクラブの先行予約終わってるけど
ファンクラブに入って、私の名前を言えばチケット取れますよ。」

なんて偶然!


翌朝

ファンクラブの要項から

チケット申し込み用紙から

めちゃくちゃ大量のFAXが流れてきた。

それぞれ申し込みのFAXを流してから
事務局に電話をかけた。

「あ〜。○○さんのご紹介なんですね。」


最もライブチケットを取りにくいアーティストの一人だったはずの

しかも

雷にヤられるぐらい衝撃を受けた人のライブのチケットを

私はすんなりゲットすることになる。

彼は一体何者?

それはまた
数日後に送られてきたファンクラブの会報で明らかになったのだが。

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衝撃のMC

さぁ、いよいよ暗転になり

周りのお喋りも静かになったところで彼女は登場した。

上手の一番端
ステージに手が届きそうな距離。

彼女がピアノの前に座ると
ほとんど姿が見えなかった。

でも

そんなことは全く関係なく

音の粒が

声の響きが

心にズシズシ刺さった。

知らぬ間に
涙が頬をつたっていた。

ピアノの音色だけが静かに
一面を包み込んだかと思えば

そこかしこから

すすり泣きが聞こえてきた。

心を撃ち抜かれたのは

私だけじゃなかった。


そしてそれとは一転して

MCが始まると一気に
会場一体が笑いに包まれた。

Jazzライブというより

笑いあり涙ありの

見事なエンターテイメントショーだった。


彼女は
こう話始めた。

「私はいろんな方から
手紙をもらうんですが…」

封筒から手紙を取り出しながらこう言った。

「私に『歌を教えてください』って書いてある。」

(ん?それ私も書いたな)

そしてこう続けた。

「これオモロイな。

住所のところ(笑)


○列の△番ってどこや?」

(えっ、私やん)

私は
封筒のアドレス欄に
座席番号を書いていた。

「ハイ!」
手を挙げてもほぼ見えない状態だったので

私は勢いに任せて

その場に立って手を挙げた。

「おー、自分か(大阪では相手のことを「自分」という)」

そして

「私はピアノは習ったけど

考えたら

歌は習ったことない。」

というところから
彼女の応えを

人生を紐解きながら

私の目線に合わせて話してくれた。

それから
ハンカチを離せなくなったのは言うまでもない。


かれこれ20年前の出来事である。

生まれて初めて
ファンレターなるものを書いて渡したその日。

まだ

これから先

いろんなことが巻き起こることを

想像だにしていなかった。


今から思えば

彼女との出会いは

私の人生が動き出す

まさにその扉が開いた瞬間だった。


結末は〜

まだまだ誰にもわからない。

to be continued...

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