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「スノウブレイク」のリリース半年間の振り返りと雑談

最初は軽い気持ちで始めてみたが、気付いたらこのゲームをリリース日から1日も欠かさず毎日楽しんでる。
もう半年経ってるし、1人のユーザ&株主として、この半年間を振り返ろう。このゲームや中国のゲーム業界に興味のある日本の方には何かの参考になれるかも。

SEASUN:ロマンス溢れる老舗

スノブレのメーカーのSEASUNさんは中国では誰でも知ってる有名な老舗だが、日本人にとっては「何者?」って思うかもしれない。
日本人には信じがたいかもしれないが、SEASUNさんの誕生の理由は、「Microsoftを倒す!」なのだ。
そう、あの天下のMicrosoftさん。
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1990年代、Microsoftさんは中国市場に進出し、Officeを中国で販売開始。さらに、Microsoftさんは実質的にOfficeの海賊版の存在を黙認してた。赤字になっても、中国市場のライバルを徹底的に潰そうとしてた。
WPS Office」の開発会社であるKingSoftさんにとっては、明らかに対抗できる相手ではない。最悪の時、KingSoftの社員は10数人しか残ってなかった。
負けを認める?解散する?
当時のWPS Officeの開発責任者の雷軍さんは、絶望の中で、IT業界を引退し、バーの経営に転身するまで検討した。でも、やはり諦めたくない彼は、最後の手段として、「ゲームを開発し、ゲームで稼いだ金でWPS Officeを養って、Microsoft Officeに対抗する」という会社方針を決めた。
それで、SEASUNというゲーム開発の子会社が誕生した。
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結果は?
それ以降の20数年間、色々あったけど、結局、
・「WPS Office」は無事に生き残り、そして普通に稼いでる。もうSEASUNから金を吸い取る必要がない。
・SEASUNは中国の武侠ゲーム業界の大手になり、業績は安定推移してる。最近はアニメ調ゲームや海外進出に手を出してる。
・雷軍さんはね、KingSoftの業績が安定になった後、彼は「Xiaomi」という会社を創設、そしてXiaomiはスマホ販売数の世界3位、テレビ販売数の世界5位のとんでもない超大手になった。
めでたしめでたし。
SEASUNのゲーム開発は成功してなければ、今はKingSoftもXiaomiも存在しないかもしれない。

リリース:まさかの半年前倒し

スノブレのリリースは7月20日、そして最初のイベント(Ver1.1)は「明灯祭」、8月7日にスタート。

明灯祭のポスター

中国文化を多少知ってる日本ユーザなら気付いたかもしれないが、この明灯祭の内容は明らかに春節イベント
ん?内容は春節なのに時期は8月?
さらに、明灯祭のPU星5キャラは辰星さん。そう、「辰」星さん。
「辰」年にピッタリなPUキャラ。
どう見ても、この明灯祭は2024年(辰年)の春節に来るべきじゃないの?
その理由は、元々のリリース予定は2023年の年末だから。
半年前倒しに、7月にリリースした。急遽の変更なので、2024年の春節のために用意したイベントを変更する余裕がなく、そのまま8月に公開。
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じゃあ、何で前倒しになったの?
公式さんは何も説明しなかったが、個人的な推測なんだが、2023年にリリースしたアニメ調ゲームがめっちゃ多かったから、年末にリリースすると市場は競争相手に取られると心配し、早めに出したかなと。
しかし、2023年7月のリリース時点で、スノブレは明らかに未完成の状態だった。中途半端な問題だらけ(初期ユーザなら分かるはず)。ネット上の評判も悪かった。その結果、途中でやめたユーザが続出。
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今の時点で考えると、この前倒しの判断はちょっと微妙。なぜかと言うと、2023年の後半、中国では沢山のゲームがリリースしたが、別に大ヒットした作品がなかった。元々の予定通りに年末にリリースしても問題なさそう。何か勿体ない。
幸い、売上は悪くなかった。
そして、開発と改善は続いており、今のスノブレはリリース初期と比べるともはや別ゲー。ネット上の評判も回復しつつある。

売上:安心せい、黒字じゃ

ゲーム内のチャット欄を見ると、サ終とか心配している方が結構多い。
大丈夫、安心してください。売上が悪くないぞ。
KingSoftさんの決算短信は基本的に3月下旬に出るから、売上の詳細についてはその時に別の記事を書く。

スケベ路線:SEASUNだからの特権

初期ユーザならこういう疑問を抱いてるかも、「このゲームは何でスケベ路線に切り替えたの?」
大体はね、Ver1.2~1.3の頃に、このゲームの衣装は大分エロくなった。

辰星の水着衣装

多分、1つの理由は、「彼界」というゲームの開発中止だと思う。
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「彼界」とは、SEASUNさんの開発したターン制バトルゲーム。まぁ、戦闘システムとかどうでもいい、重要なのは、そのゲームは正真正銘のスケベゲーム。スケベ以外何もないとの評判。
元々、彼界はスノブレとほぼ同じタイミングでリリースする予定だったが、リリースの直前に、SEASUNさんは彼界のリリースを取り消し、開発チームを解散し、開発リソースをスノブレに移行した。
この開発リソース移行の効果が分かりやすいかもw
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スケベ路線のゲームは、稼げるけど、爆売れはできない、スケベだからね。中国でも日本でも同じ。
任天堂やNetEaseのような超大手は、当然、スケベゲームに興味がない。まぁ、作っても炎上するだけ。
小さな会社ならスケベゲームに興味あるが、技術力がないため、結局作ってもゲームが面白くないし、海外に進出できない。
技術力があるから面白いゲームを作れる、会社規模は大きくないからスケベの金も欲しい、日本のコーエーさんとか中国のSEASUNさんとか、こういう「丁度いい」会社かもしれない。

スマホ対応:無理しなくても良いかも

PCゲームより断然スマホゲームのほうが稼ぎやすい。そして宣伝しやすい。
だが、スノブレのスマホ端末での体験はいまいち。このゲームの最大の問題点とも言える。
(まぁ、別にSEASUNさんが悪いわけでもないかも。スマホでのTPSゲームは、そもそも成功した事例が珍しい。)
体験が悪いから、セルランも良くないし、AppleやGoogleさんもおススメしてくれない。
幸い、Steamは日本では既に浸透してる。そしてVer1.4から、スノブレの海外版はSteamに進出した。(逆に、何で最初はSteamに進出しなかったの?w)

Steamでの同接数は順調に伸びてる

海外でも本国でもアクティブユーザが増え続ける今、もう無理矢理スマホの対応にリソースを追加しなくても良いと思う。スマホは現状維持、PC側でのユーザ増加を狙った方が合理的だと思う。

グローバル展開:成都から世界へ

私の知る限り、代理じゃなくて自社で海外の運営を担当し、そして本国と海外と同時にバージョンを更新するゲームは、原神と崩壊スターレイルとスノブレの3つだけ。
(あのmiHoYoさんさえも、崩壊3rdと未定事件簿は本国と海外のバージョンが違う。)
miHoYoほどの実力と知名度を持ってないが、自分の力で最初から世界を目指すのが同じ。
こういうところが好きだわ。

オープンワールド:miHoYoの「罠」

原神」の大ブレイクは中国のゲーム業界を完全に変えた。
何故原神はそこまで成功したの?中国の全てのゲーム会社はこの問題について考えた結果、同じ答えが出てきた、
オープンワールド + アクション + アニメ調、これは正解だ!
そして、今のところ中国では20社以上のゲーム会社は、「オープンワールド + アクション + アニメ調」のゲームを作ってる。
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しかし、真実は残酷だ。
2023年4月、崩壊スターレイルのリリースと大ヒットにより、オープンワールドもアクション要素も、必須ではないことを示した。
が、これを分かってももう遅い。既に膨大な開発費を投入した各ゲーム会社は、歯を食いしばって開発を続けるしかない。
幸い、SEASUNさんはこの波に乗らなかった。
スノウブレイクはTPS版の原神ではなく、どちらかというとTPS版の崩壊3rdに近い。もしくはTPS版のパ二グレ。
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ただ、やはり開発チームは原神の成功を憧れてるのか、Ver1.2とVer1.3では、2つのオープンワールドマップを実装した。
正直、個人的にこの2つのオープンワールドは嫌いではない、寧ろ好き。
しかし、本国では、あまり評判が良くなかった。
Ver1.4から、公式さんはオープンワールドの実装をやめた。個人的にちょっと残念だけど、まぁ、開発リソースを他の所に集中するのは正解かもしれない。

掩体:無視すべきユーザの声

ユーザの声を聞くのが大事だが、鵜呑みは危険。これはゲーム業界の常識。
残念ながら、掩体機能はまさにその悪い意味での一例だと思う。

別に入りたくはないがw

スノブレのリリース前に、3回のテストが行った。3回目のテストまで、「掩体に入る」機能がなかった
しかし、テストの参加者からは、「シューティングゲームなのに掩体に入れないって嘘でしょう?」という声が非常に大きかったので、リリース直前に「掩体に入る」機能を追加
この機能は初心者には優しい、この点については認める。ただ、半年間ゲームを遊び続いたら、この機能は何も意味もない、ただの邪魔だと思う。掩体の存在はもちろん意味ある、ただ、掩体を利用したいなら普通に掩体の後ろに立てれば良い、それだけ。何で「掩体に入る」とかしないといけないの?しかも、このゲームでは掩体を無視する攻撃がめっちゃ多いから、掩体の後ろに隠しても普通に攻撃される。
さらに、こういう機能があるからどんなマップを追加しても掩体の調整が必要となって、開発リソースの無駄な消耗になる。
だけど、ガチでこの機能を使ってるユーザもいるので、もう外すことは不可能。この負債を背負って進むしかない。

運営:現時点の中国No.1

上記の悪い事例もあったが、基本的に、スノブレの運営は中国の現時点でのNo.1と言っても過言ではない。
これは私の個人の意見ではなく、ビリビリで各ゲームの公式アカウントのコメント欄を見れば一目瞭然。
好評の理由は、反応が早い、判断が早い、配布が多い、そして、男性ユーザの味方である。
例えば、
・3回目のテストでは、分析員以外の男性キャラが炎上 → リリース直前にその男性キャラを削除し、今後は男性キャラを実装しないと公言
・リリース後の3日目、全ての素材ステージに「掃討」機能を追加し、プライドを捨てて「サブゲーム」であることを認めた
・リリース後の5日目橙武器最大5凸から最大2凸に変更。サブゲームとして、武器での売上をある程度諦めた
チャット機能で何回も不具合発生 → この問題を利用し何回も石配布、中国ゲーム業界の有名なネタになり、逆に新規ユーザが増加
深夜の3時から公式配信という前代未聞の動き、朝6時までにユーザと交流

リリースの時にはこのボタンが存在しなかったぞw

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1つ補足だが、今の中国では、フェミニストは日本の100倍ぐらいやばい。日本人が想像できないほどやばい。
男性の味方になるのは、勇気と実力が必要。
あのmiHoYoさんさえも、フェミに負けた。
SEASUNさん、健闘を祈る。

3Dモデルのレンダリング:最大の改善

リリース初期に色々悪評があったが、その中に特に声が大きかったのは2つの問題。
1つは上記のスマホ体験の問題。
もう1つは3Dモデルのレンダリング。
初期ユーザなら分かるはず、昔の3Dモデルは、何かいまいち。色合いというか、肌の表現というか、光の反射というか、とりあえず他社と比べると何か物足りない。
というか、他社のところか、MMD動画にすら勝てなかった。
で、Ver1.4から、3Dモデルのレンダリングは明らかに改善された。どのキャラや衣装も、前のバージョンよりは良い感じに見える。
個人的に、これはこのゲームリリース後の最大の改善だと思う。

Ver1.4:ターニングポイント

会社の内部事情は知らないが、多分、Ver1.3~Ver1.4の頃に大きな人事異動が発生したと思う。
その結果、Ver1.4から色々な変化があった。
(Ver1.3は夏イベ、Ver1.4はテス、Ver1.5はカーシア)
例えば、
・Ver1.4からシナリオライターが変わった。新しいライターさんは元々映画業界でのシナリオ担当。そしてVer1.4のメインストーリーはマジでレベル高い、映画レベルのクオリティ。本国では絶賛の嵐。
・Ver1.4からオープンワールドマップの実装をやめた。
・Ver1.4からSteamに上陸。
・Ver1.3~1.4の頃から広告宣伝を停止した。(黒字を維持できるように体制を調整したと思う。が、2月から広告が再開。やっぱり売上が上がった?)
・Ver1.3~1.4の頃から本国の運営は一気に活発になった。(運営担当者が変わったとの噂がある。海外勢でも、最近の運営の変化に気付くはず)
・Ver1.4とVer1.5のボリュームが少ない、虚無期間が長い。(人事調整により一時的な生産力不足だと思う)
・Ver1.5から本国と海外のPVが統一した。(1.4までは本国PVと海外PVは全然違う)
などなど。
とある上場企業で開発部門の管理者をやってる私から見ると、暫くの調整期間が終わったら、このゲームの生産力が結構上がるではないかと。安心して待ちましょう。

Mecha BREAK:期待できる後輩

12月に、SEASUNさんは新しいプロジェクト「Mecha BREAK」を発表した。

カッコいい

日本人の大好きなメカバトルだね。こっちも日本市場を狙ってると思う。
で、Mecha BREAKとスノブレは別々の開発チームなので特にスノブレの開発には影響がないはず。
ただ、海外での運営は一緒なので、スノブレの海外運営には若干影響するかも、特に翻訳チーム。
もしVer1.5や近頃のバージョンに何か翻訳の問題が出たら大目に見ましょう、多分Mecha BREAKの資料翻訳で忙しいから。
そして、Ver1.4では海外サーバにはアンケートがなかった(本国では普通にアンケートした)。海外運営チームの都合だろうね。
個人的にメカバトルには興味がないが、Mecha BREAKに成功して欲しい。株主だし、それに本当に売れたらスノブレの宣伝にもなれるし。

最後

不評やユーザ減少の時期もあったけど、私はずっとこのゲームを遊び続け、そして普通に課金してる。
問題点がたくさんあったけど、このゲームの「骨組み」が面白いし、開発チームも問題点を解決しながら面白いものを作るように頑張ってる。
とある若手芸人を育成するテレビ番組では、先生の一言はずっと私の脳に残ってる、
この世界は公平だよ。本当に面白い物は必ず売れる。」

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