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ビタミンC (ポーリング博士の快適長寿学)

ついに読み始めました。

ライナス・ポーリング著 村田晃訳『ポーリング博士の快適長寿学』(平凡社、1987).
原著 Linus Pauling, 'How to Live Longer and Feel Better' (W. H. Freeman and Company, 1986).

『ポーリング博士のビタミンC健康法』(平凡社ライブラリー、1995) と同一の本のようです

「日本版へのまえがき」が附いています

訳文はとても読みやすい。
あまり翻訳書を読みませんが、これは安心して読めます。
(この考えは8章まで読んで変わりました。意味が取りづらく感じます。)

日本のアマゾンの『ポーリング博士のビタミンC健康法』への読者評で、besteffortnet 氏が

ポーリング博士の推奨量 6-18g/日 としているが後書きも書かれている訳者で博士でもある村田晃の推奨量はそれよりずっと少なくさらにライナス・ポーリング研究所の推奨量は400mg/日である。

と書いている (2013/12/5 付)。ビタミンC大量摂取の場合の摂取量の値について議論があるようだ。

量について議論があるとしても、本書の主旨そのものは傾聴に値するとおもう。


追記

随時、追記します。

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〔20160601 追記〕

アルバート・セント・ジェルジ博士

「ビタミンCを初めて動物や植物から分離した人」としてポーリングはハンガリーのアルバート・セント・ジェルジ博士を紹介する(18頁)。博士はビタミンCなどの発見でノーベル生理学医学賞(1937)を受けた。ポーリングは博士に手紙を書いてビタミンCの最適摂取量について意見を求めた (1970)。博士はこう応えた (18頁)。

壊血病は、ビタミンC不足の最初の症状ではなくて、死直前の症状なのです。完全な健康のためには、もっと、はるかに大量が必要です。私自身、一日約一グラムをとっています。しかし、この量が真の適正量である、というのではありません。完全な健康とは本来どういうことなのか、そのためにはどれだけのビタミンCが必要なのか、わかっていないのです。

■ 個人的な脱線

私事になるがアルバート・セント・ジェルジ博士の名前は小さい頃から知っていた。祖父(医師で牧師)からその名を繰返し聞かされていたからである。それで博士の講演集も手に入れて読んだ。祖父から医学だけでなく、聖書と医学という、他の人では興味を持ちにくい領域に関心をもつことを教わった。

祖父はウクライナのワクスマン博士(ストレプトマイシンの発見でノーベル生理学医学賞を受賞[1952])と手紙のやりとりをし、その抗生物質(antibiotics の語はワクスマンが考案した)の発見のヒントに旧約聖書続篇のシラ書集会の書、Ecclesiasticus)38章4節があったとの返事をもらった。

主は大地から薬を造られた。分別ある人は薬を軽んじたりはしない。

(新共同訳) これは祖父には驚きだったろう。プロテスタントではこの書は聖書の正典に組み入れられていないからだ。カトリックでは正典だ。ワクスマンは土壌中に棲息する放線菌からストレプトマイシンを単離した。放線菌の Streptomyces 属が名の由来だ。

私の家系はどちらかというと医師の家系で、父も祖父もおじたちも医師である。みなキリスト者だ。彼らが WHO の新しい健康の定義(肉体的・精神的・社会的に良好な状態という従来の定義に霊的健康を加えた)を知ればきっと喜んだことだろう (1990年代終わり)。健康を考える機関の視野に霊性が入ったことを意味する。

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〔20160605 追記〕

I 栄養と健康 (The Regimen [養生法])

■ 2章 「健康を増進する方法

本書の健康法の要点は2章 「健康を増進する方法」にある。それを要約する表がつぎのもの。

(p. 24)

Linus Pauling (1901-94) が提唱する1日のビタミン摂取量 (p. 20)
・ビタミンC:6-18g
・ビタミンE:400-1600単位(IU) [300-1000mg]

かかる費用(1日あたり) ¢41 (送料込) (p. 25)
(内容)
ビタミンC 18g
4つの錠剤
・ビタミンE 800IU
・スーパーB
・ビタミン・ミネラル総合剤
・ビタミンA 25000IU

■ 3章「古い栄養学と新しい栄養学

・1963. Pauling は精神病の研究を通じてビタミンに関心を抱く (p. 35)
・ビタミンB3の欠乏がペラグラに付随する精神病を引起こす (p. 35)
・ビタミンB12の欠乏者が貧血症を起こす前に精神異常を起こす (p. 35)
・各種の精神障害にビタミンC(うつ病)、ビタミンB1(うつ病)、ビタミンB6(けいれん)、葉酸、ビオチンの欠乏が関与 (p. 35)
・1966頃(?). Pauling の関心がビタミンCに絞られる。生化学者アーウィン・ストーンからビタミンC健康法の説明書をもらったのがきっかけ(ストーンが30年がかりで開発した健康法) (p. 36)
・レーネ・デュボスが、われわれを死に至らしめるのは、ウイルスや病原菌でなく何か別のものと指摘。Pauling はビタミンCの欠乏状態がしばしば死に至らしめると考える (p. 39)

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〔20160610 追記〕

■ 4章「タンパク質、脂肪、炭水化物、水

タンパク質

役割
・毛髪や爪をつくる:ケラチン
・筋肉をつくる:ミオシン、アクチン
・細胞間セメント質を強化する:コラーゲン
・生命に必要な化学反応を触媒する酵素の役:球状タンパク質
・酸素分子を肺から身体の他の部分に運ぶ:ヘモグロビン

タンパク質を構成するアミノ酸の分子のうちの少なくとも1個は窒素

すべての哺乳動物の赤血球の中にヘモグロビンがあるが、そのアミノ酸配列が動物により違う。動物の種類が違うと血液のタンパク質も違うため、他の動物から人に輸血できない。人の血も人により異なり、血液型が同じでなければ危険。(pp. 43f.)

食物が胃や腸で消化されるとき、タンパク質の分子は、消化酵素によってアミノ酸に分解される。アミノ酸の分子は小さいので腸壁を通り抜けて血流に入りこむ。

人体はつねに新陳代謝を繰り返している。たとえば、赤血球は約1ヶ月しか生きられない。死んだのち分解され、ヘモグロビン分子は、ばらばらになってアミノ酸になる。その一部は、新たなタンパク質分子をつくるのに利用されるが、一部は酸化されて、水、二酸化炭素、尿素(窒素を含む)となって尿の中に排泄される。アミノ酸の一部は、このように燃料として利用されるので、身体のアミノ酸バランス(ふつう窒素バランスと呼ばれる)を保つには、ある程度アミノ酸を補充しなければならない。すなわち、適量のタンパク質を食べなければならない。(p. 44)

必須アミノ酸:体内で作られないため食物からとらなければならない。
・ヒスチジン
・ロイシン
・イソロイシン
・リジン
・メチオニン
・フェニルアラニン
・スレオニン
・トリプトファン
・バリン

必須アミノ酸の所要量を摂取するには、動物性タンパク質(肉、魚、卵)を含むいろいろなものをとり混ぜて食べればよいが、植物だけの食事ではだめで、とくにリジンとメチオニンが不足する。(pp. 45f.)

脂肪

役割
・代謝エネルギーの源
・脂溶性ビタミンが腸壁を通って血流に入るのを助ける

必須脂肪酸
・7種の不飽和脂肪酸
・ふつうの量の脂肪を含む食事で十分な量の必須脂肪酸が供給される
・7種のうち、リノール酸とガンマー—リノール酸:アテローム性動脈硬化症を防ぎ、ガンを予防する効果があるようにみえる

炭水化物

役割
・エネルギーの供給
・このエネルギーで人は生化学的機能を働かせ、仕事をし、体温を保つ

種類
・いろいろな糖類
・デンプン
・グリコーゲン
・セルローズ

デンプンを300g摂取するとエネルギーの1日平均必要量の50%がまかなえる。

デンプンが唾液や胃液の酵素によって消化されると小さい分子のブドウ糖に分解される。

炭水化物は C + H2O の分子式をもつ。つまり炭素の水化物。
・ブドウ糖と果糖 C6H12O6
・ショ糖 C12H22O11

人類は果物や蜂蜜から、ある程度の量の果糖をとってきた。
・約200年前までは果糖の1日平均摂取量は8g程度
・19世紀初頭から果糖の1日平均摂取量は74gと10倍になった

この(果糖の)大量摂取が多くの病気の遠因となっていることは間違いない。(p. 49)

これはサトウダイコンやサトウキビから製造した砂糖(ショ糖)が一般に使われはじめた結果。砂糖が消化されるとき水と反応して等量のブドウ糖と果糖になる。ショ糖100gから、ブドウ糖53gと果糖53gが生じる。

⇒ 19世紀初頭ショ糖が使われはじめ果糖の摂取量が10倍に増えた
(個人的覚え方)

・生命維持に1日1リットル必要
・最良の健康を保つには3リットルを飲むのが望ましい(1時間ごとにコップ1杯の水を飲む習慣をつけるとよい)

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〔20160629 追記〕

■ 5章「熱とエネルギーの源としての食物」

人が仕事をし体温を保つためにエネルギー源が必要。食物に含まれる脂肪、タンパク質、炭水化物は、「血流に入った後、身体の組織や器官の細胞内で燃焼しエネルギーを供給し、さまざまな生化学反応を起こさせる」(52頁)。

・身体を動かす←筋肉内の生化学反応
・体温を保つ熱エネルギー←生化学反応

燃焼反応は血液により身体の隅々に運ばれた燃料分子と酸素分子の酵素的化合。燃焼すると左の原子は右になる。

・水素原子→水 H20
・炭素原子→二酸化炭素 CO2 (呼気として吐き出される)
・窒素原子→尿素 N4N2CO2 (尿中に排泄される)

食事に含まれる脂肪、タンパク質、炭水化物のエネルギーの割合(下表)。

1842年、食物エネルギーの概念をドイツの若い医師ユリウス・ロベルト・メイヤーが考えだす。人が「摂取する食物が一定量のエネルギーを供給し、そのエネルギーが体温の維持や労働に用いられる、と結論した」(53頁)。

1843年、英国の物理学者ジェームズ・プレスコット・ジュールが仕事と熱の関係をつきとめた。(53頁)

この二人により、エネルギー保存則という物理学の重要な法則が発見された。

上表のうち、ポーリング博士が勧めるのは中間的な食事の脂肪量。必須脂肪酸が必要であるから。彼が「勧める食事の大きな利点はショ糖つまり砂糖の摂取量を減らしていることに」ある(54頁)。

1879年アイスランドに生まれた北極探検家ヴィルヒャウルマー・ステファンソンが、自己の体験(および1年間エスキモーと過ごしエスキモー式の肉だけの食事を調査したこと)に基づき、肉だけの食事でも健康が保てると主張したので、ステファンソンを含む2名による入念な実験が1927年から1年間実行された。検診の結果、1年後の健康状態は実験を始めたときと同じくらい良好との結論が得られた。

「注目すべきことは、二人が肉だけの食事でもビタミン欠乏症にならなかったことである。たぶん、新鮮な肉には最低必要量のビタミンCおよび各種ビタミンが含まれているのだろう。」(56頁)

「新鮮な肉によって全栄養素の最低必要量が得られ、脂肪によってエネルギーの大部分が得られるとしても、肉食が最上ではない。ふつうの食事にビタミンを補給し、砂糖を制限することによって、最良の健康状態が導きだされるのである。」(56頁)

■ 6章「食に関する二つの問題」

「人生の楽しみをあまり損なわない健康増進法がある。適正な食事制限はその一つである。もう一つは、栄養補給剤を用いる方法で、これが本書の主題である。」(61頁)

「飲料用のアルコール、つまりエタノール C2H5OH は、かなり熱量が高い。100グラムあたり700キロカロリーで、炭水化物(400キロカロリー)より脂肪(900キロカロリー)のほうに近い。」(61頁)

 死因の第一位を占める心臓と循環系の疾患に血液中の脂肪が関係している、という話を聞いたことのない人は、とくに米国では、まずいないはずである。この知識が念頭にあるので、大多数の人は、医師や栄養学者がそれに付け加える話——血流中の脂肪濃度が高いのは、脂肪の多い食事をとるからである——も真実だと思っている。

「冠状動脈疾患は、動物性脂肪(飽和脂肪)とコレステロールを含む食品のとりすぎによる、という〔アンセル・キースの〕説に対してユドキンが指摘したのは、〔キースが調査した〕同じ六つの国において、冠状動脈疾患との相関関係は、脂肪の摂取量よりも砂糖(ショ糖)の摂取量のほうがはるかに大きい、ということだった。(中略) ユドキンの所見は、国立衛生研究所の援助のもとに行われた、マサチューセッツ州フラミンガムの住民に対する大規模で長期にわたる疫学的研究によって立証された。脂肪摂取量と心臓疾患の間に相関のないことが示されたのである。それにもかかわらず、おそらく一つには、食物中の脂肪と血液中のコレステロールを結び付け巨大な利益があがっていること〔特別な食品を製造する業者が巨額の金を儲けていること〕もあって、この短絡的な説が医師によって繰り返しいわれ、大衆の頭にまだこびりついている。」(62-63頁)

〔狭心症を含む冠状動脈疾患〕は近代の病気なのである。医学文献に報告されているのは、わずかこの100年のことである。この疾患の罹病率は、砂糖の消費量と完全に並行して増加している。(64頁)

「信頼できる臨床研究によって、ショ糖の摂取がコレステロールの血中濃度を高めることが明らかになっている。この重要な研究は、ミルトン・ウィニッツらによって、1964年と1970年に報告された。(65頁)

「特別食に含まれるブドウ糖の一部をショ糖に置き換え、次にショ糖を除くという、この重要な実験によって決定的に明らかになったのは、ショ糖の摂取量が増加すると血中のコレステロール濃度が高くなる、ということである。血液のコレステロールと心臓疾患には関係があるので、この実験から、ショ糖の消費と心臓疾患の罹病率の増加とが結び付くことになる。さらに、ショ糖とコレステロールの関係には、生化学的根拠がある。ショ糖の消化で生じる果糖が体内で反応を起こして酢酸(アセチル CoA)になり、この一部がコレステロールに転化することがわかっている。」(66頁) 〔上表参照〕

ショ糖の摂取量を年間23キロに抑える。「あとはビタミンCが血液中のコレステロール濃度を高めないように働く。」(69頁)

年間23キロというと、1日あたり63グラムだ。スプーン山盛り1杯の砂糖が9グラム。だから1日7杯に抑える。決して無理な数字でないように思える。

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〔20160630 追記〕

II 新しい栄養学 (The New Nutrition)

■ 7章「ビタミンの発見」

壊血病はビタミンCの欠乏による。(栄養素の欠乏に原因があることがはっきりしたのは1911年)

壊血病を防ぐのに成功した英国のジェームズ・クック船長は1768-79年、太平洋を航海した。クック船長の旗艦H・M・S・レゾリューション号の乗組員T・ペリー作詞の歌が伝わる(75頁)。

おいらはみんな 丈夫な水夫
カゼなんか恐くない 万病ともすっかり縁切りよ
これもこれも船長のせいよ おいらは船長に感謝する
着く島 着く島 食べられる 生の食い物のせいよ

We were all hearty seamen no cold did we fear
And we have from all sickness entirely kept clear
Thanks be to the Captain he has proved so good
Amongst all the Islands to give us fresh food.

「クックの乗組員が新鮮な食物(ビタミンCを含む)に、カゼはいうに及ばず、よろずの病気を防ぐ力がある、と信じていたことをはっきりと物語っている。」(75頁)

***

1911年、ポーランドの生化学者カシミール・フンクがVitamine論を発表。フンクはラテン語のvita (英語のlife)と化学用語 amine (窒素を含む化合物の一種)を結びつけて vitamine という言葉をつくった。後に、必須物質に窒素を含まないものがあることがわかり、vitamin に変えられた。

1928年、ブダペスト生まれの科学者アルバート・セント−ジェルジが純粋なビタミンCを分離。

1933年(?) セント−ジェルジはその化学式が C6H8O6 だと明らかにする。英国の糖化学者ハワースはその構造式を決定。セント−ジェルジとハワースは、「この物質の名前を抗壊血病作用のある酸性物質という意味で、アスコルビン酸と変えた」(82頁)。

ascorbic acid < a- + scorbutus (scurvy) + -ic; scorbutic「壊血病の」
scorbutus「壊血病」< MLG schorbūk < schoren (to break) + būk (belly)

ハワースは、二つの化学反応——C6H12O6 の化学式をもつ炭水化物であるブドウ糖が、四つの水素分子を出して C6H8O6 になり、その際に二つの水分子を生じる反応を明らかにした。これと同じような反応が、生きた細胞で起こればビタミンCができるし、化学反応装置で起これば天然のものとまったく同じ"合成"ビタミンCが生産される。(82頁)

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〔20160710 追記〕

■ 8章「ビタミンと進化」

人間はすべての生物のなかで最高のものと思っているが、「生化学的機能となると、人間は、他の多くの生物より劣っている——細菌、酵母、カビのような単細胞生物よりも劣っているのである。」(84頁)

人類の祖先は、長年の間,必須アミノ酸やビタミンなどの栄養成分を食物から摂取しつづけてきた。その結果、人類は、祖先のまた祖先がそれらの栄養成分の合成に必要な諸機構を、長い年数の間に一つ一つ捨て去り、生化学的機能は単純化された、と考えられている。(86頁)

ザメンホフとアイクホーンの実験(1967)などによって、「生存に必要な必須の物質が身近な環境から食物のかたちで得られる場合には、必須物質合成機能を体内にもたないほうが有利であることが立証された」。(87頁)

アーウィン・ストーンは、一九六五年に「たいていの動物は、ビタミンCを合成できる。一方、人と他の霊長類——リーサスザル、台湾産オナガザル、オマキザルなど——は、これを合成することができず、ビタミンとして必要とする」と指摘し、ビタミンCの合成能の損失は、人と霊長類動物の共通の祖先で起こったのであろう、と結論した。(88頁)

このビタミンCの合成能の損失が起こった時期について、ポーリング博士は2500万年前以降のことと推測している。宇宙線などの原因で突然変異が起こり、「肝臓内でL-グロノラクトンからビタミンCへの転換を触媒する酵素が、もはや肝臓に存在しなくなった」と(89頁)。

たいていの動物が、ビタミンC合成能を失わないでいるという事実は、ふつうに食物から得られるビタミンCの供給量だけでは、適正量に足りないことを示している。(90頁)

ビタミンC合成能を失ったのは、人類と霊長類動物の共通の祖先、モルモット、インド産果実食コウモリ、ナキ鳥、エンジャク類の鳥類だ。

私は、米国実験生物学会連盟発行の代謝ハンドブック(1968)に載っている食品成分表を使って、110種の自然植物性食物の各種ビタミンの含有量を調べてみた。成人一日の食事相当量(2500キロカロリーの熱量を供給する量)に含まれる各ビタミンの総量を計算してみると、ほとんどのビタミンで、食品栄養委員会の勧告所要量の約三倍になる。しかし、ビタミンCでは、110種の植物性食物の一日食事相当量に含まれるビタミンC総量は、平均2.3gとなる。一日2500キロカロリーの熱量を必要とする人に勧告されている所要量の約40倍である。(91頁)

ビタミンCの適正摂取量は、やはり、前述した範囲——一日2.3g前後——である、と考えたほうがよい。もちろん、10章で論じるように、生化学的個人差という要因がつねにある。」(93頁)

上の表の写真で「110種の平均」のビタミンC含有量が 2300mg (=2.3g) になっているのが見える。

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ここまで本書を抜書きしつつ読み進めてきましたが、このあたりでいったん休止することにします。翻訳の文体がどうにも日本語として読取りにくく、意味が取りづらい箇所が頻発するからです。

***

ところで、ポーリング博士の本にはカムカムのことは出てこないようです。カムカム協会の記事によると、「現在地球上で知られている植物の中で最も多い」ビタミンC含有量を有するとのことです。「カムカムをおいしく飲む」というノートを書きました。

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必読ノート (ポーリング博士の本以外で)

Fum さんの「ビタミンC考察

本ノートを書くきっかけになったノートです。すばらしい情報量と熱意のあふれたノートです。ぜひ一読をおすすめします。


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