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[書評] 破滅する世界経済と日本の危機

ベンジャミン・フルフォード『破滅する世界経済と日本の危機』(かや書房、2022)

ベンジャミン・フルフォード『破滅する世界経済と日本の危機』(2022)

真理は人を自由にする

本書を読みながら心中に去来したのは〈真理は人を自由にする〉の思いだった。

この思いについては後で記すが、その前に著者のファンに向けて。著者の世界情勢レポートを毎週読んできた人なら、本書は買い。2022年に起こったことを整理するのに恰好の本である。

毎週月曜日の日本時間21時から22時頃に配信される 'Weekly Geo-Political News and Analysis' を日本で読んでいる人はどれくらいいるのか。同時に気になるのは、24時までに読み終えられる人がどれくらいいるのか。それほど分量も内容も圧倒的である。

著者のレポートはほとんどがソース付きで、それを逐一確認するだけでも相当な時間を要する。複数のソースで共通する内容がない限り、著者はそれを真実としては扱わない。そのソースは誰でもアクセスできるものが半分くらいあるが、残りは著者が直接の情報源から得ているもので、これは一般人にはアクセスできない。各国の情報機関等からのレポートは大変貴重なものだ。

そして、ごくたまに、著者自身の見解と断って披露される意見がある。それがいくつか本書にも含まれている。が、それらがどうやら真実らしいことは、それを明らかにした著者に生命の危機が迫ったという後日談から分る。著者が生きてレポートしてくれるかぎり、我々は真実の一端に近づける。

冒頭に記した思いだが、はて、これはどこで知ったのかと自問し、調べるうちに、新約聖書のイエスの言葉だと分った。ヨハネ8章32節だ。〈真理はあなたたちを自由にする〉(the truth shall make you free)はそう言えば人口に膾炙した文句だ。

この言葉を発するイエスを、律法学者やファリサイ人は殺そうとする。真理を語るものは命を狙われるのだ。

本書で、著者は毎週の英文レポートではあまり掘下げない日本の情勢についても語る。

といっても、政治情勢が主で、英文レポートでときどき出てくる日本の深層情報にはほとんどふれられていない。思うに、そのあたりは日本語では書けないのかもしれない。その点はややがっかりだが、著者が元気でレポートを続けられるためには、それも致し方ないと諦めるしかない。

もうひとつ、英文レポートでよく出てくるスイスの深層情報も本書では、まったくふれられていない。

評者がいちばん関心があるのは、日本の深層とスイスの深層との関わりのところなのだが、それについての言及は一切ない。

世界経済の混乱と日本の危機の関係について、主要メディアでふれられない角度からの分析に関心のあるひとは一読して損はない。

#書評 #ベンジャミンフルフォード

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