アイルランド語の祈り1「主の祈り」
はじめに
アイルランド語の「主の祈り」(主禱文)は、アイルランド語のミサで使われます。
もちろん、アイルランド語話者の日常の祈りとしても使われます。ミサの典礼における「主の祈り」を正式の言い方として日常でも使うのが一般的です。聖母マリアにささげる「アヴェ・マリアの祈り」(天使祝詞)にいろいろな種類があるのとは対照的です。
「主の祈り」の直接の典拠は聖書にあります。キリストが弟子たちに教えた言葉がその根拠になっています。
ここでは、できるだけやさしく、アイルランド語の「主の祈り」(Ár nAthair)を解説します。アイルランド語の予備知識はある方が理解しやすいのですが、ない場合でも骨子の部分は理解できるように工夫しました。
比較対照するものがあった方が理解しやすいので、英語の「主の祈り」(Lord’s Prayer)を併記して解説をすすめます。
アイルランド語と英語の「主の祈り」は The Order of Mass le Gaeilge (2014)からとりました。アイルランド語の方は An Leabhar Aifrinn Rómhánach, Ord an Aifrinn (Comhdháil Easpag Caitliceach Éireann) を、英語の方は The Roman Missal (International Commission on English in the Liturgy Corporation, 2010) を用いています。
日本語とラテン語の「主の祈り」は『カトリック教会のカテキズム要約』(カトリック中央協議会、2010)からとりました。
アイルランド語の文法用語はミホール・オシール『アイルランド語文法 コシュ・アーリゲ方言』(研究社、2008)に準拠しました。なお、アイルランド語の発音をカタカナ表記していますが、アイルランド語は方言ごとに発音が異なり、標準発音がなく、ここでの表記は便宜的なものであることをお断りします。アルスター、コナハト、マンスターの三方言の発音を聴くことができるウェブサイトを参考にしてください。
目次
「主の祈り」本文
「主の祈り」各行解説
聖書の典拠
伝承の祈り
ここから先は
¥ 300
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?