[書評] 坂本廣志と宇宙文字カタカムナ
坂本廣志『坂本廣志と宇宙文字カタカムナ』(2016)
世にコンタクティー・ストーリ多しといえど、これは文句なしに際立つ
ふつうはコンタクティー・ストーリといえば、例えばジャズのサン・ラが土星に行った話とか、アダムスキが金星人に会ったいう話くらいでも、大騒ぎになる。
だが、本書においては、木星に行った話が当然のように語られ、特別にすごいことが起こっているという感じは全くない。地球に〈500種族を超えた宇宙人が来ている〉ことを記録した映像も金鳥山の洞窟で見ている(本書第6章55)。竹内文献などでおなじみの〈5色人種〉の話もふつうに出てくる(本書第5章49)。
そもそも、著者は物心がついたころから、父親に宇宙人に会った時のための作法を教えられている。日本には坂本家のように〈代々一子相伝でその家系の秘儀を伝承し続けている古い家系がいくつも〉あるという(本書「エピローグ」)。
この著者の父親というのが知る人ぞ知るある秘密組織(八咫烏)の長であったとも言われ、もしそれが本当だとすれば、本書に書いてあるくらいのことは不思議でもなんでもない。
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著者はこの世的な見返りを求めているようすは全くなく、本書も考えられないくらいの廉価で販売されている。ひたすら淡々と自分の知ること、体験したことを綴る。
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上記のようなことは、本書のほんの一部分にすぎない。
評者が何よりも感動したのは、著者と父親との悲しい物語だ。
著者が14歳のときに、六甲山系にある金鳥山の洞窟に何度も父親と入り、蘆屋道満が残した数々のものや、カタカムナの石板や、巨人の遺骨、宇宙人の遺骨などを、30人くらいの大人のチームと、来る日も来る日も発掘整理し、洞窟を掃除する話が本書で綴られている。
そんな中で、著者はある夢を抱いており、それを実現することを楽しみに生きている。ところが、そんなさなかに、突然、父親が感染症で死亡してしまう。その結果、著者の夢はおろか、洞窟から発掘された数々の貴重なものも、すべて失われてしまう。洞窟にも二度と入れなくなる。洞窟の扉は父親しか開けられなかったからだ。
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本書の第9章「特別篇」で、著者は父親とのエピソードを初公開する。著者は木星で父親と再会するのだ。信じられないような話であるが、地球外の高度な科学技術が用いられた。著者の妻も、同様の体験をしている。
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