[書評]脳を必要とせず自ら知覚し判断する皮膚
山口創『皮膚という「脳」 心をあやつる神秘の機能』(東京書籍、2010)
皮膚は光を感じ音を聞き、脳の指令を待たず独自の免疫システムを持つ。これだけでも驚きであるが、五感がそもそも皮膚にあり分化したものであるとの仮説も出てくる。それだけではない。アイデンティティとか自己という感覚は皮膚がうみだしているという。そのアイデンティティ同士の距離、コミュニケーション・ギャップを「違和感」と捉えず、分厚い、豊かな「境界領域」の延長上に感じとる。「さわる」と「ふれる」の違いを意識し、「