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書評集
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2024年7月の記事一覧

[書評] 光りは東方より

山根菊子『光りは東方より』(日本と世界社、1937) 日本に残る聖人の足跡を訪ね歩く 特異な来歴の書で、こうした形で読むのは初めてだ。 それについては後述することにして、本書は神学の徒が、日本に残る4聖人の足跡を丁寧にたどり、古文献等も参照しつつ、現地の人の声に耳を傾け、考証を重ねた思索の書。 この4聖人については、一般には日本に来歴があるなどとは全く考えられてもいないが、本書の熱誠にふれるとき、いつしか読者も著者の勢いに巻込まれそうな迫力がある。 本書の結論への賛

[書評] 神代到来

保江邦夫『神代到来』(海鳴社、2018) 完全調和と素領域との あわい 本書は2017-2018年頃の著者の周りで起きたことを系譜としてまとめたもの。ここで述べられる内容は、他の形(著作、講演など)で触れたことがあるという読者も少なくないと思われるが、本書で初めて知るような詳細も含まれる点では貴重な本である。 ただし、系譜の骨子を示すことに主眼が置かれているためか、個別の具体的記述は必ずしも尽くされてはおらず、要旨にとどまるところもある。それでも、相当くわしいところまで