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音楽 評 / 旅(ピアノ)

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#英詩

[英詩] Bob Dylan, 'Key West' (ラフ)

※「英詩のマガジン」に入れるまでの限定公開のラフ・ヴァーションです。 Bob Dylan のアルバム 'Rough and Rowdy Ways' (2020) 所収の、同アルバムの頂点と目される 'Key West (Philosopher Pirate)' について、3冊ほど研究書を読みましたが、まともに分析したものがまだなく、自分でやることにします。 まずは、準備のラフな作業。詩形と注。 1連McKinley hollered - McKinley squalle

音楽という星があって、その星が照らす光に向かってギターと一緒に歩いている。

と語るのは Miyavi. The Others のセルフライナーノーツにて。 彼が(たぶん)書いた歌を聴いてその詩に metrist の血がさわぎ、分析してみて、これは世界の英語で書かれた詩の中で突出した音の仕組みを使っていることが分かった。テニスンなども使っていた韻で、伝統的な詩学書では近似韻の名がついているけれど、よく考えると完璧な母韻だと分かった。中世フランス語の「ロランの歌」でも使われており、スペイン語やポルトガル語でも同様のシステムが使われている。 うーむ。凄

あるマガジンとピアニスト

2016年3月上旬に始めた英詩のマガジンとピアニストAとは、どんな関係にあるのでしょうか。 そんな疑問をいだいたアナタのために、駄文を弄します。 まず、世の中に英詩を理解したいという需要があると見立てたのは、そのピアニストです。EUのコンセプトの立役者であるフランスの思想家のフランス語の本に、断りなしに英詩が引用されていたのが直接のきっかけです。そんな引用の仕方を見ると、どう考えてもヨーロッパの知識人にとって英詩は当然の教養となっていると思われたのです。英米ではいうまでも

極私的'A Case of You'選

カナダのシンガー・ソングライター、ジョニ・ミッチェルの 'A Case of You' をプリンスがピアノ弾き語りしているのを知って刺激を受け、いろいろなアーティストで聴き直した。極端なことをいえば、あまり上手くなくてもこの歌はそれなりに聞かせるくらいの名曲だ。だけど、センスをもって取扱えば、極上のものができあがる。ジョニはもともと画家で、歌い手としての資質はトゥルバドゥールのようなものだ。つまり、自ら歌をつくる詩人。発見する詩人といってもいい。それを汲めば、音響的にも映像的

カトリック詩人スプリングスティーン(追記あり)

現代は詩人がロッカーとして(も)現れる。 ブルース・スプリングスティーン論 'The Greatest Catholic Poet of Our Time' (Jim Cullen) を読んだ。ポスト・ディランとしてのスプリングスティーンを論じる人は多くても、このような角度で論じるのはめずらしい。 スプリングスティーンの詩に現れる「わたし」は日本語にするときに「おれ」とする誘惑をおさえるのがむずかしい。私も俺と自称したくなるほどに。彼の声や歌の感じが「おれ」感を濃厚にただ