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肝がんの話

がんの良性と悪性は何が違うか

がんには良性と悪性がありますが、これはご存じですね。良性と悪性では、いろいろな点で違いが見られます。

例えばその形、良性はまるで膨張するかのように、膨らむような感じで大きくなっていきます。そのスピードも、悪性に比べるとさほど早くはありません。もう一方の悪性はと言うと、浸潤という言葉が使われるように、濡れた紙のうえをインクが広がるように、にじむような感じで広がっていきます。紙に例えましたが、これで言うとインクの部分が悪性のもの、もとの紙の白い部分が正常な組織といった感じで、がんの周囲は正常な組織とがんの組織が入り混じっている状態になっています。この状態で除去しようとすると、かなり多くの正常な組織も一緒に取ってしまうことになりますね。

増殖のスピードも悪性は早いに対して、良性は比較的ゆゆっくりとされています。これは相対的なものなので、本当に早いか遅いかという事になると、目安になるものがありませんので、何とも言えません。ただ、悪性の場合は周囲の組織を巻き込んで増殖していくので、周辺の正常な細胞や組織に影響が出てきます。具体的には、酸素や栄養が供給されにくくなるという問題です。

あと、腫瘍という言葉は難しい表現になっていますが、「できもの」といった意味です。悪性の腫瘍で発生した場所によって、癌腫となったり肉腫となったりで名前が変わりますが、平たく言えば全部「がん」と呼べるものです。

一般的な傾向として、がんは正常な組織よりも硬いとされています。そのためか、昔は体の中にできた硬いモノといった意味合いで、やまいだれに岩という文字を使っていたそうです。

肝臓のがん

がんの性質上、転移という問題が付いて回ります。これは良性のタイプにはない性質なので、転移がある時点で悪性と判断できるのですが、転移があるという事は、転移が起きる前の場所がどこかにあって、そこから飛んできたという事ですね。

がんは転移という性質あることから、原発性と転移性の2種類に分けられます。原発性とはその場所で最初にがんが出来たという事、転移性とはどこかにできた原発の場所から飛んできて、そこにがん細胞が出来てしまったという意味を表します。肝がんの場合も、原発性のものと転移性のものが存在しています。

更に詳しく分けていくと、原発性は元の細胞がどのようなものかによって、肝細胞癌と肝内胆管がんに分かれます。それぞれ性質が異なるため、治療の方法も変わってきますので、区別が必要になります。

肝細胞がん

肝臓の正常な細胞ががん化して肝細胞がんになったもので、原発性の場合はその70パーセント以上がB型やC型の慢性肝炎がくすぶった状態から次第に悪くなっていって、最終的にがんに至ったモノです。これらは全部ウイルス性ですが、それ以外の原因としてはアルコールや喫煙が挙げられています。最近では脂肪肝による慢性的な炎症の状態も原因として増えてきているとのことです。

症状の方はというと、肝硬変のところで書いたような症状も出てきます。腹痛や背部痛等が見られるほか、黄疸、むくみ、腹水、食欲不振などです。症状だけでは何とも言えない事もありますが、黄疸や腹水が溜まるといった状態があれば、少なくとも肝臓の異変であることは分かるでしょう。

さて、この原発性肝がんの内訳ですが、9割ほどが肝細胞がん、残りの1割ほどが肝内胆管がんだということです。

転移性肝がん

転移性の肝がんはというと、原発性よりもさらに多くの症例が見られます。その数は、原発性の4倍から、多ければ10倍にも及ぶのだとか。肝臓はさまざまな働きがありますから、それだけ血流が多く流れ込むという事も、転移の理由として考えられます。

もとのがんが移をするくらいですから、かなり進行していることは想像がつきますよね。もとのがんはステージⅣに相当します。こうなると肝臓のがんも治療しなければならないし、原発巣の方も進行しているので治療が必要となりますので、全身性の治療(化学療法)が行われます。


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