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肝機能障害の話

肝機能障害と肝機能異常

似たような言葉なのですが、同じような意味と考えてよいでしょう。「〇〇の病気では肝機能障害を引き起こす」といった意味の表現を多く見かけるので、障害と言った場合は病気を中心に据えた時の表現でしょう。これに対して肝機能異常の言葉を使った場合、異常か正常かに分けると異常という感じでしょうか。肝機能に注目しているように感じます。障害は引き起こされるので受け身、異常は来すので肝臓が主体、そういった表現の差のようですが、どのようにお感じでしょうか。ただ言葉としては、障害と聞くとその程度がハッキリしないようにも感じますが、異常と言われるとドキッとする、そんな違いがありそうです。

肝臓が正常に働いている時、その機能には余力があります。そのため、少しでも何か異常が起きるとすぐに肝機能が悪くなるという事は無いのですが、余力があるという事は同時に、すぐには症状が出るわけではないという事でもあります。まして肝臓、沈黙の臓器と言われるほど我慢強い(?)ので、何かが起きていたとしても、なかなか分かりません。健康診断などの時に肝機能に異常があると告げられて、初めて気が付くといった人も、少なく無いのが現状です。

ちなみに、健康診断で肝機能異常を指摘される人の割合は、人間ドック学会などのデータでは、およそ3割ほどだそうです。

どうやって調べるか

まず、肝臓が受け持つ役割を知っておくことが必要です。肝機能の一つ目は、消化吸収した栄養分を使って体に必要なたんぱく質を合成したり、ミネラルなどを配分したりする機能、二つ目は使う分以上は体外に出すのではなく肝臓内に貯蔵しておくという機能、もう一つは代謝で生じたものなどの有害な物質を無毒化する機能、この3つに集約されます。これらの機能が行なわれるのは細胞単位なのですが、同じ働きをする細胞が集まって組織だって機能を行なっているのですが、細胞が壊れたり、生成物が途中で詰まって出て来なかったりすることが出てきます。詰まって流れなくなると上流の方にトラブルをきたす、これは臓器の場合も同じです。その生成物の濃度を調べることで、肝機能がキチンと働いているかどうかを確認しています。

細胞が壊れる場合、中の成分が外に出てしまいます。その成分の量が細胞外と細胞内とで同じであれば、細胞が壊れても調べることが出来ません。しかし、もし細胞内外の濃度や量に大きな差があれば、普段の量と比較することで調べることが出来ます。特に細胞外、すなわち血液中の濃度や量が少なくて細胞内の量が多い成分であれば、これは調べやすくなります。分析して得られるデータとトラブルの大きさとが相関するとは限りませんが、だいたいの目安をつけることは出来ます。実際に血液を調べる場合、この利点を活用して分析を行なっている項目がたくさんあります。

原因については、前回までに書いた通りです。主だった理由が5つありましたよね。ウイルス性、アルコール性、非アルコール性、薬物性、そして自己免疫性でした。どうやって調べるかは上に書いた通りです。血液を使って調べる方法や項目などについては、改めて別の機会に取り上げることにします。


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