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漂白剤のはなし

今回取り上げるのは「漂白剤」です。ニュアンスとして、いかにも「危険なモノ」だとか「食品には不似合いなモノ」といったイメージがありますが、実際にはどのような働きをしているモノなのでしょうか。

漂白剤はその名が示す通り、食品の色調を整えるために用いる添加物です。具体的には、食品を加工する過程で変色してしまった場合にその色を抜く目的であったり、脱色させて一度色を落としたうえで着色して食品の見た目をよくするといった目的をもって使用されるものなんですね。こうすることで、きれいな色調に整えることが出来ます。

漂白剤として用いられる物質は様々な種類がありますが、主に二つのタイプに分かれます。

一つ目は「酸化漂白剤」と呼ばれるグループ。酸化という反応は、物質に酸素が結合する、または水素が離れるという状態になる事です。この場合は酸素が持つ酸化作用によって食品中の色素を分解してしまうというものです。色素が分解されると色そのものが成り立ちませんので、それで脱色するという働きなんですね。

このグループの漂白剤としてよく用いられる物質の代表例は「亜塩素酸ナトリウム」です。カット野菜や生食用の野菜、それから卵殻などにも利用されます。漂白剤はもちろん漂白することが目的なのですが、塩素系のモノは殺菌力も強いとされています。すると、漂白剤が食品に残っていたりしたら、なんとなく怖いとか有害になるんじゃないかとか、そんな心配が出て来ますよね。そのため、食品に添加した漂白剤は、加工の最終段階を終えて完成するまでにすべて分解されるか、または除去されるかしなければならないと定められています。

二つ目のグループは「還元漂白剤」と呼ばれるグループです。代表例は「亜硫酸ナトリウム」と呼ばれる物質です。こちらは先ほどとは違って、分解して生じる亜硫酸で色素を還元して漂白するという反応形式です。グループは違えど使用する目的は同じで、このグループも食品の色調を整えるといった目的で使用されます。

食品によっては、漂白剤の使用が禁止されているものも存在しているんです。ゴマや豆類、さらには野菜を漂白する目的での使用等の場合は、使用が禁止されています。その理由は、その品質や鮮度等に関して、漂白剤を使うことで色調が変化して、消費者の判断を誤らせるおそれがあるためとされています。漂白剤は、食品の見た目や品質の向上を目的として一部の食品の加工に利用されていますが、適切な使用と規制を守ることが重要です。

どの食品添加物の場合でも共通して同じような事を感じているんですが、安全性や危険性、ひょっとしたら毒性があるんじゃないか、発がん性はどうなのか、などなどの話題がどんな場合でも持ち上がります。体に入るものですから当然の事なのですが、同じ食品が並んでいたなら、見た目が整っている方を選ぶ人が多いんじゃないかとも思うのです。どんなものが添加されているかよりも、価格や外見、消費期限などで選んでいる人も多いんじゃないでしょうか。消費者の立場として、そのような見た目の食品などを求めている部分もあるんじゃないかと思うのです。

ちょっと立ち止まって、考えてみる時期が来ていると感じることが増えてきた気がします。


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