腎臓病でよく見る症状 だるさ
なぜだるい?
腎臓の大きな働きの一つは「尿を作る」ことでしたね。そして、体の中で出た不要な老廃物を水に溶かして、尿と一緒に体外に出すという仕組みを持っていると書いてきました。この「老廃物を体外に出す機能」が低下してくると、いろいろと症状が出てくるようになります。腎臓自体の問題もあれば、腎ではなくそのあとの尿路の問題であったり、いろいろとありました。
さて、腎臓の問題として老廃物を体外に出す機能が低下してくると、どうなるでしょうか。少しくらいの低下であれば問題ないかもしれません。しかし、かなり酷い状態になってくると、要らない老廃物が体の中に溜まってくることになります。そうなると、どうしても弊害が出てきます。例えて言えば、異臭を放つゴミ屋敷のようになってしまうということでしょうか。そうなると、体のあちこちに弊害が起きてきます。
体に何かが起きるくらいですから、かなり悪くなった状態であることは間違いありません。腎臓の働きとしては、もはや1割位しか残っていないといった程度でしょうか。9割ほどが失われた状態だとすると、かなり悪化したことが分かります。
尿毒症
このような状態を「尿毒症」と呼びます。尿毒症とは、腎臓から老廃物が体外に出せなくなって、それによる様々な害が起きてきた状態を指します。この時の腎臓の状態を、腎不全と呼びます。原因として、下記のようなことが考えられます。
体の水分量の調節がうまくいかなくなり異常をきたす
血液中の電解質の調節が異常な状態
(ナトリウム、カリウム、カルシウムなど)
ビタミンDやエリスロポエチンの産生量が低下
こうなると、全身症状が出てきますね。疲れやすいとか、体がだるいとか。
尿毒症の症状
症状といっても、全身に出るものもあれば、体に部分的に表れるものもあります。
全身
疲れやすさ、だるさ、むくみ(浮腫)
脳(尿毒症性脳症)
けいれん、睡眠不足、知覚の異常、頭痛、意識障害など
精神症状なども発現
眼
知覚の異常
肺
咳、呼吸困難、水が溜まる
循環器
高血圧、心膜炎、うっ血性心不全
血液
貧血、カリウム値の上昇
腎臓
尿量低下
胃腸
吐き気、食欲の低下 などなど
もちろん、これらすべてが出るわけではありませんし、人によっては、さらにたくさんの症状が出てくるかもしれません。個人差もあるでしょう。しかし、こういった症状が引き起こされるということは知っておいてください。既にその状態に「毒」という文字がついているくらいですから、生命の危険にさらされていると思ってください。そして、すぐに医療機関を受診して、ご自分の状態を確かめて適切な処置を受けていただくことが必要です。
処置、治療
老廃物が溜まったことによって起きたトラブルですが、その原因は腎機能の低下にあります。ですから、老廃物を体外に出すようにすれば、症状は改善が見込めます。それと同時に、腎機能の回復を行なえばよいでしょう。
ただ、慢性腎臓病となると回復は見込めませんので、最終的には人工透析を受けることになります。そうならないためにも、腎臓、ひいてはご自分の身体をご自愛ください。
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