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非アルコール性で起こる肝機能障害の話

どんな病態か

非アルコール性という名前の通り、酒をほとんど飲んでいなくても肝機能障害が起こる例があるという事です。逆に言うと、肝機能障害が起きた理由がアルコールではない症例ということになりますね。肝障害を起こす入り口になる状態の多くは脂肪肝です。そのため、非アルコール性であっても脂肪肝と呼ばれる状態が多くみられます。というよりも、むしろ脂肪肝を起こす理由にアルコール性かそうでないかがあるといった感じです。

そして、炎症を起こしているので、肝炎ですね。非アルコール性のものは、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と非アルコール性脂肪肝炎(NASH)とに分かれます。つまり、脂肪肝が先にあって、その分類がアルコール性か非アルコール性か、そういう分け方です。

アルコール性肝障害と非アルコール性肝障害、どちらも肝機能障害を起こしますので、その組織の一部を顕微鏡で調べてみると非常によく似た状態で、いずれの場合も肝臓内の酸化ストレスなどが原因と考えられています。

非アルコール性肝障害も病気(疾患)の一つですから、医師が診断をつけて治療を行なうわけですが、もちろんアルコールが原因ではないとされるものですので、その点は考慮が必要です。とは言っても、非アルコール性だからといってその人が全然酒を飲まないかというと、そうとは限りません。飲酒の量で線引きされているようです。飲酒量が少ないことが大前提であることは、言うまでもありませんね。

その量は、男性がアルコールで30グラム、女性は20グラムとされています。実際的には、男性で一日あたり日本酒換算にして1.5合未満というところのようでした。ビールだと中ビン1.5本くらいでしょうか。このくらいの量より少なければ非アルコール性と判断されるようです(私からすれば、それだけ毎日飲む人は大酒飲みのように感じるのですが)。

肝臓の状態は脂肪肝なので、これは腹部超音波検査で判断がつきます。しかし、最終的には組織の一部を使って顕微鏡で確認することが必要になります。中には放置すると肝硬変や肝がんなどにまで進行する例もありますので、注意が必要です。

注意すること

脂肪肝は、言い換えればカロリー過多の状態です。いくら酒を飲まなくても、食事の内容や運動不足があれば、それは同じですね。ですから、運動をして、食事内容を見直して、そういったことから始まります。これはつまるところ、高脂血症やメタボリック・シンドロームの改善と同じような内容、生活習慣病の一つとして考えるので、飲酒の量に関係なく、普段の食生活や運動の状態から改善が必要という事ですね。

脂肪肝については、あらためて書くことにします。

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