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16、リンの話

リンとしては今回初めて取り上げますが、カルシウムやマグネシウムの話で少し触れたりして来ました。とくにカルシウムとはいろいろと縁がある物質でもあるようです。

リンも身体にとっては必要なミネラルの一つです。先にカルシウムと縁のある物質と書きましたが、副甲状腺ホルモンの働きによってカルシウムが増えるとリンが減り、カルシウムが減るとリンが増えるといったような関係にあります。これは副甲状腺ホルモンの働きで、血液中のカルシウムの量が減ると副甲状腺ホルモンが分泌されて骨からカルシウムを放出させて血中濃度を調整します。同時に、腎臓でリンの再吸収を抑制して、代わりにカルシウムの再吸収を増加させるといった感じで、両者は拮抗状態という面白い関係があるんです。

このリンですが、身体の中での量は意外に多くて、カルシウムの次となっています。体重のおよそ1パーセント、結構な量ですよね。どこの記事だったか、850ミリグラムとその量が書かれていましたが、きっとその人は体重が85キログラム何だろうなって想像したりして・・・、失礼。その大半は骨や歯に集まっていて、リン酸マグネシウムだとか、リン酸カルシウムだとか、そんな物質で存在します。骨や歯に集まっているなら、そりゃ多いわけです。

残りはたんぱく質や脂質と結合して細胞膜などを構成する材料になっていたり、ATPとして活躍していたりします。細胞外液として含まれている量はほんのわずかです。とはいっても他にもいろいろな働きがあるので、身体にとっては必要不可欠なミネラルという訳です。

リンは様々な食品に含まれているという事なので、普段の食事をキチンと摂っていれば不足することは無いようです、少なくとも心配はしなくてよいみたいですよ。それでも不足してしまったらどうなるかというと、最初は食欲不振や倦怠感といった症状ですが、これだけでは分かりませんよね。ただこの不足の状態が進むと筋力の低下も大きくなってくるため、寝たきりの状態になってしまうかもしれません。また、最近では生活習慣病(糖尿病や高血圧など、メタボリック症候群など)のリスクを高めるといったことも報告されています。この辺りはそれを否定する論文があったりするので、どちらとも言えないようですが・・・。

さて、リンの摂取で不足する心配はほぼ無いという意味のことを書きましたが、じつは食品添加物の中にもリンを使ったものが数多く存在します。しかし、これを表示する義務がない場合も多いという事で、実際にはどの程度の量を摂取していることになるのかがとても分かりづらい状況です。そのため、リンの不足や欠乏の心配をするよりも、過剰摂取を避けることへの注意の方が重要じゃないかとして問題になりつつあるようです。

仮に過剰摂取になったとすると、カルシウムの吸収を妨げることになったりします。

一日の必要摂取量はというと成人の推奨値で、男性は1000ミリグラム/日、女性は少し少なくて800ミリグラム/日ほどとなっていました。この量で普段の食事なら不足しないだろうというくらいですから、結構リンってたくさん身体の中に入ってきているんですね。

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