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12、カリウムの話

前回からまた日数が経ってしまいましたが、ブログを再開いたします。

今回はミネラルの中からカリウムを取り上げます。カリウムはよく知られているモノなので、名前をご存じの人が多いと思いますが、その役割は何かとなると、ちょっとアヤフヤな人がいるかもしれませんね。

カリウムは人間の身体にとって、必要不可欠なミネラルの一つです。主な役割はというと、細胞の浸透圧を調整する働きが挙げられます。それ以外にも、ナトリウムと入れ替わって細胞に入ることで、ナトリウムを細胞の外や身体の外に排出する働きがあります。このため、塩分の摂り過ぎを調節するうえでとても重要な物質になっています。これは、カリウムには腎臓でナトリウムの再吸収を抑制することで、尿中への排泄を促進するという作用があるためです。血液中のナトリウムは血圧を上げる働きがありますから、カリウムはそのナトリウムを体外に排出することで血圧を下げる効果をもたらします。

この他にも、神経や筋肉の動きにも関わっていて、これらの機能の調節を行なったりしています。この働きによって神経の刺激がスムーズに伝わったり、心臓や筋肉がその役割をちゃんと果たすことができるんです。また、身体のpHのバランスを保つ役割もあります。

そんなカリウムですから、もし身体内の量が不足することになると大変です。今挙げたこれらの働きに影響が出ることは容易に想像がつきますよね。そして、脱力感であったり食欲不振であったり、筋肉が思うように働火無くなってしまったり、その他にも不整脈などの症状がみられることがあります。

反対に過剰になるとどうなるか、心配ですね。ですが腎機能に問題が無ければ、仮に大量にカリウムを摂取したとしても体内の調節機構が働いて血液中の濃度を調節してくれるので、通常ではカリウムが過剰になることはあまりないようです。

とはいっても、無いとも言い切れません。腎機能が低下していたりする場合や、カリウムが体外に排出する機能を低下させる働きがある薬を服用していたりする場合は、身体の中にカリウムが溜まっていきます。そうなると脈のリズムが乱れてきたり、吐き気や脱力感といった症状が出て来る場合があります。腎不全で人工透析を行なっている場合ですと、透析を行なう直前はカリウムが高めになっていたりしますので、注意が必要です。

このカリウム、身体の中での動きはというと、食事などを通して摂取されたカリウムは小腸で吸収されます。その後は血液中を流れて全身の組織に運ばれ、大部分が腎臓によって体外に排出されます。カリウムの量は腎臓の機能の一つである「再吸収」の調節によって維持されているんですね。腎臓は不要なものを体外に排出する場所ですが、何でもかんでも排出するわけではありません。いったん排出したとしても、必要なモノであれば再吸収(回収)して身体に戻すはたらきがあるんです。そんな働きによって、血液中のカリウム濃度は3.6~5.0mEq/L(この範囲が通常の血液検査で判断する時の基準範囲)に保たれています。

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