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C型肝炎の話

ウイルスの特徴

前回はB型肝炎でしたので、今回は同じようなウイルス性のC型肝炎の話です。このC型肝炎ウイルス(B型肝炎ウイルスをHBVと略したように、ここではC型肝炎ウイルスをHCVと略すことにします)も血液を介して感染するタイプなので、医療機関では注意すべきものとして扱われています。

大きな違いの一つは、HBVがDNA型のウイルスであるのに対して、HCVはRNA型のウイルスという点です。この違い、現場では結構厄介で、HBVが抗原・抗体とも測定し易いという点があるのに対して、HCVの場合はまず抗体の検査からスタートします。比較的測定しやすい項目なので、先ずこの検査が最初に行なわれます。この場合は抗体を測定するわけですから、過去に感染の既往があるかどうか、現在かそれに近い時点で感染があったかどうか、そんな事を調べます。過去か現在かの違いは、抗体価の大きさで判断することになります。

症状と経過

肝臓に起こる炎症ですから、B型肝炎の時と同じような症状ということになります。全身の倦怠感や食欲不振、悪心といった体調不良とも判断されかねない症状が多くみられるのですが、そもそも、感染してこれらの症状が全ての人に見られるわけではありません。多くの例で無症状のまま経過します。ですから、多くの例で本人が気づかないことが多いようですね。そして、こちらも何かの拍子に、例えば健康診断のような場合などで気が付くといったことになるわけです。

自然にウイルスが体の外に抜けてしまうという事があまりありません。大半がそのまま慢性肝炎に移行していき、中にはおよそ20年と時間をかけて肝硬変まで進んでしまう、そんな経過をたどる人も少なくはありません。そして、一部の人は肝がんにまで進んでしまうことになります。

反対に、急性肝炎になる人は多くありません。B型肝炎と違って、くすぶっているといった感じでしょうか。中にはウイルス自体が体から抜けてしまう人もいますので、スクリーニング検査だけでは目安をつけることは出来ても、確実に感染力が無い事は判断できません。必要に応じて、検査を追加することになります。

検査

先に少し書いたりもしましたが、最初に行なうのがHCV抗体検査です。過去にHCVの感染が無ければ陰性、あれば陽性となりますが、一つ注意すべきところがあって、抗体を持っていれば普通ならば抗原は体の中に無いのですが、HCVの場合は抗体陽性は既往を示すだけで、抗原を体の中に持っている状態を含むという点です。それはつまり、その患者さんは感染力を持っている可能性があるという事で、この有る無しは調べてみないと判断が付かないということでもあります。

HCV抗体は陽性の強さの度合いで、強ければ現在もウイルスが未だ体の中にいる可能性がある、弱ければもう治っている、その目安をつけることは出来ますが、あくまでも目安です。必要に応じて確認をしておかなければなりません(必要が無ければ調べなくても構いません)。

さて、もし抗原の有無を調べておく必要があると判断された場合は、次にHCV核酸増幅検査を行ないます。治療方法の選択などのために、どのようなHCVのタイプなのかを調べる検査を行う事も有ります。

肝炎を引き起こすウイルスは、前回のB型、今回のC型以外にも数多く知られています。いずれにしても、感染しないようにすることが大切です。そのためには、特に血液感染を起こすタイプのウイルスの場合は、手指の消毒や手当てをしっかりと行なうことをお勧めします。


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