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腎臓病でよく見る症状 かゆみ

かゆみの原因

意外なことかもしれませんが、腎臓の機能がかなり悪くなってくると、かゆみの症状がでてきます。皮膚が乾燥する冬の時期に、より強くなる傾向があるようですので、他の理由によるかゆみとほぼ同じような感じですね。腎臓関連に限ると、腎不全と呼ばれるような酷い状態になった時に出やすいとされています。

腎臓の働きは血液をこしだして老廃物を体外に出す体外に出す働きがあるわけですが、腎臓の機能がひどく低下してしまって、この働きを果たせなくなってくることで生じます。この老廃物が溜まってくると、皮膚のかゆみの受容体に働きかけてしまうために起きる症状とされていて、とくに人工透析を受けている患者さんで多く見られます。

人工透析を行うと、腎臓の機能に問題が無ければ体外に出されるはずの水分を、自分で処理できないために、機械的に老廃物とともに体外に出すということを行ないます。そのため、透析の前後で体重を測定して、どれくらい水分が引けたかを調べたりします。当然透析後の方が水分が体外に出た分、体重は減っているはずですよね。その分、皮膚も乾燥しやすくなるので、かゆみが強くなりがちということも考えられます。

なぜ透析でかゆみ?

腎臓ではもともと、老廃物と一緒にリンも体外に出すことで、その濃度を調節しています。腎機能が悪くなると、このリンを体外に捨てることが出来なくなり、体内に溜まってくることになります。すると、副甲状腺の機能が上がってしまったかのような状態になるので、カルシウムの濃度にも影響が出てきて、これが一緒に上がってきます。かゆみが起きる理由として、どの論文でもこの2つの物質の名前が挙げられていますが、リンやカルシウムが血管の中で微細なリン酸カルシウムの結晶をつくって沈着する、そういった説明がされています。

腎臓の機能が悪いと、リンもカルシウムも、体外に出す働きがうまく出来ません。透析を行なえば、これらの余分な量は体外に出せるのですが、透析の度合いによっても変わってきます。緩いとリンもカルシウムも、多少なりとも残ってしまうでしょう。強いとリンやカルシウムは水分と一緒にしっかりと引かれて体外に出されますが、それだけ今度は皮膚が乾燥しやすくもなります。一長一短といったところでしょうか。

かゆみの対策

慢性の腎不全と呼ばれる状態では、多くはかゆみに発疹を伴いません。ただ皮膚がかゆい、これは困ったモノです。そのため、皮膚科を受診してかゆみ止めを使ったとしても、原因が腎不全にあることが分からずにいると、そのかゆみ止めがなかなか効かなかったりします。透析患者さんの半数以上がかゆみを感じていると言われていますので、まずは人工透析室のスタッフに相談してみるのが早いでしょう。

かゆみの最大の問題は皮膚の乾燥といわれています。ですから、皮膚の保湿を行なえば、ある程度のかゆみは小さくなるでしょう。そのためには、入浴やシャワーといったことを行なうとか、風呂上りに保湿剤をしっかりと使うといったことが重要になってきます。

また、皮膚がかゆいからといってもゴシゴシこすったりするのは、あまりよくありません。それよりも、衣類の素材を見直すといったことの方が有効な例もあるようです。そのうえで、食生活などを改善するといったことも必要でしょう。


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