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記憶のメカニズムの話

記憶って、結局なんだ?

記憶、つまり覚えておくということ、そして忘れない事。確かにそうなのですが、よくよく考えてみるとこの二つ、何かニュアンスが違うことに気が付きませんか。覚えておくという事が必ずしも忘れない事ではないような気がするのですが、いかがでしょう。

忘れてない事、記憶に留めておくことの重要な点、そして私たちが一番活用したい記憶の機能を思い起こしてみると、忘れない事もそうですが何よりも、必要な時に思い出せることではなかったでしょうか。思い出す機会が無ければ、覚えていると言われても本当かどうか分かりません。また、思い出す必要が無ければ、覚えておく必要もないでしょう。思い出す必要があるから覚えておく、そして必要なタイミングになったから思い出すのですから。ここにはいくつかのステップがありそうです。

記憶のステップ

何かを思い出すためには、まずその対象になることをしっかりと覚えなくてはいけません。そして、覚えたことをずっと自分の中で持っていなくてはなりません。しかも、そのままの形で。そして何か必要なタイミングになった時に、その内容がキチンと元の形で思い出せること。この3つのステップから成り立っていることが分かりますね。ではこの一つ一つについて、考えてみましょう。

記銘:難しい言葉ですが、要は「覚える」ということです。受験勉強などでは色々と工夫している人も多いようですね。その対象をしっかりと理解して覚えればよいのですが、覚えることがその内容とあまり関係がないような例、例えば歴史の年代のような場合では、語呂合わせのようにして覚える人も多いと思います。その語呂合わせが思いつかない場合は、何か身近なモノにかけ合わせて覚える人もいるようですね。そのかけ合わせたモノの名前が正確に出て来ないと、トンチンカンなことになってしまいそうですが。

覚え方は人それぞれなので触れませんが、ここで間違えてしまったらリカバリーは出来ません。そのためにも、カン違いや早とちりをしてはいけません。多少時間がかかったとしても、正確に、キチンと、出来れば理解して記憶したいところです。

保持:これは、記銘で覚えたことをそのまま忘れずにしっかりと記憶しておくということです。覚えていることを、形を変えずにそのままの状態で残しておくことが出来れば、間違うことは無いでしょう。ただ、ここでは他の記憶と一緒になってしまって、どのような内容だったかが混乱してしまう場合が出てきます。このような例を記憶の干渉と呼ぶそうですが、これが起きてしまうと記憶違いを起こしてしまいます。

個人の範囲で留まる事であればまだよいのですが、他人にまで影響を及ぼすことになる場合、注意が必要になります。特に、何かの点で似たような内容の記憶があったりすると、例えば同じような時間帯に出会った出来事であるとか、似たような状況だったとか、関係者が同じような顔ぶれだったとか、そんな事があると記憶が入れ替わってしまったりすることが出てきます。だからといって、どのように注意すればよいのか分かりませんが・・・。

この件については、また別の機会の取り上げることにします。

想起:つまり「思い出す」ということです。記憶の話をする上で、最も大切な部分かもしれません。多くの人が考える記憶の話で、一番問題になるところがこの部分ですね、思い出すというステップ。これが無いと、せっかく覚えていたとしても意味がありません。思い出としての記憶であれば、少々内容が変わってしまったとしてもあまり問題にならないでしょうけれども、後で活用することが分かっているといった場合では、思い出せなければ覚えていないのと同じになってしまいます。例えば、試験のための勉強といったところでしょうか。

先に書いた保持のところで、もし記憶が混乱してしまっていたとすれば、ここのステップでいくら思い出せても、これもまた意味がありません。

想起のところで良いことがあるとすれば、記銘のステップで覚えたことが理解できていると、単なる想起ではなく、必要に応じて形を変えて思い出すことができる、そんな事でしょう。応用が利くようになるとか、融通が利くとか、そんな表現がされるでしょう。

こう考えてみると、記憶も奥が深いですね。


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