見出し画像

ガムベースのはなし

今回取り上げるものは「ガムベース」という食品添加物です。「ガムのベースになるもの?」なんていう疑問を持たれる人もいると思いますが、「その通り」といった感じの物質のようです。

ガムベースという物質は、チューインガムの土台となる物質のことです。このガムベースに糖類や人工甘味料、香料、そして着色料などを加えて味付けをしたりカラフルな色彩を与えたりしたものが、いわゆる「チューインガム」です。とはいうものの、チューインガムの土台以外にも使い道はたくさん存在します。

もともとは「チクル」という、アカテツ科の木であるサポジラの樹液を煮詰めて水分を飛ばしたうえで、精製して作ったものを使っていました。このチクルには特有な香りが有るという事なのですが、どんな香りがするのかまでは分かりません。現在ではこれに加えて、チューインガムに適度の弾性や粘性を与えるという目的も含めて、「酢酸ビニル樹脂」という、酢酸とエチレンを原料にして製造されるものなども用いられているとのことです。

さて、このようなガムベースですが、植物由来で水に溶けない性質のものになっていますので、口の中の唾液で溶けてしまう事はありません。ガムの状態で口の中で柔らかくなるのは、体温の影響だそうです。しかし、ガムを噛んでいてチョコレートを一緒に口に入れるとガムの方も溶けてしまったといった経験はありませんか、私はあります。これはチョコレートに含まれる油脂、つまり油の成分がガムと馴染みやすいために溶けてしまうということでした。ガムを噛みながらドレッシングをかけたサラダを食べるというようなことはないでしょうけれども、油を含む食品を一緒に口に入れると、ガムが溶けて飲み込んでしまうかもしれないという事ですね。

ガム自体は害が無いように作られていますが、間違って飲み込まないようにした方がよさそうです。仮に飲み込んでしまったとしても、ガムは胃や腸で消化されることはありません。そのまま消化管の中を移動して、最後に体の外に出ていきます。

食品添加物の話に戻しますが、ガムベースが使用される食品はガムはもちろんですが、アイスクリームやキャンディ、ジュースなどが該当するという事です。一部では増粘剤としても用いられるということで、その場合は化粧品類なども該当するという事でした。

食品添加物としての用途では、食感や口当たりを良くするために使用されることが多いのだとか。また、保存性を向上させるといった話も有るようです。

ただ、ガムベースも注意することがあります。口にする人にもよりますが、時としてアレルギー反応を示すことがあるのだとか。これはガムベースに含まれる成分が反応するためとされています。さらに、先にガムを飲み込んでも消化されることなく腸を移動して体外に出されると書きましたが、吸収はされないものの消化器官に何らかの影響を及ぼすことは有るかもしれません。飲み込んだり、過剰に摂取したりすることは避けた方がよいでしょう。

上記のようにガムベースは植物由来の成分が土台になっていますが、最近では人工的に合成したものも出回っています。少なくとも酢酸ビニル樹脂は石油由来のものですから、直ちに悪いとは言わないまでも、注意が必要です。加えて、後から添加した成分にも人工甘味料などがありますので、その辺りのリスクも知ったうえでの摂取や利用にするのが賢明でしょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?