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pH調整剤のはなし

時々見かける(気になる?)食品添加物に「pH調整剤」というものがあるのをご存じでしょうか。普段はあまり気にせずにスルーしているかもしれませんが、考えてみると、これっていったい何でしょうか。べつに強い酸やアルカリが添加されているわけではありませんので、その意味では心配する必要は無いのですが、何かわからないものが入っているとヘンに不安ですよね。今回はこのpH調整剤を考えます。

pH調整剤(pHの表記に指定があるのかどうかは分かりませんが、一般的に用いられている方法にいたします)とは、適切なpHの状態に保つために添加されている物質を指します。

pHという言葉はご存じですよね、酸性かアルカリ性かの状態を数値で示したもので、中性の状態がpH7、数値がこれより小さければ酸性側、大きければアルカリ性側ということになります。

なんでこういった物質を添加するかというと、加工食品に限った事ではありませんが、食品は放置すれば次第に腐敗したり変色したりして劣化します。最悪の状態だとカビが生えたりして食べることができなくなります。その状態になるまで放置するのはどうかと思いますが、保存の仕方が適切でないとそうなるかもしれません。

それは困るという事で、加工食品を作る側が品質の状態を保ったり保存性を高めたりする意味で、pHの状態を一定の領域に収まるように調整するという事を行います。そのために用いられるのがpH調整剤というわけです。

したがってpH調整剤を用いる理由であり目的はというと、「pHを適切な状態に保つことで微生物の繁殖を防いだり、食品自体の色調の変化を防いだりすることで、食品自体の品質を保つ」ためという事になります。

また、pH調整剤を添加することで保存料や日持ち向上剤、酸化防止剤などの効果を高めたりすることもあります。防腐剤的な意味合いというよりも防腐剤の効果をサポートするといった感じでしょうか。

pH調整剤に該当する物質は全部で30種類以上が使用してよいことになっているのですが、一括名での表示が認められています。したがって、pH調整剤とだけの記載があって、実際にはそのうちの何が使用されているかが分からない状況になっています。加工食品の製造メーカーのホームページを見れば分かるかもしれませんが、どうでしょうね。企業秘密なども絡んできそうなので、詳細は分かりません。

さて、以前から加工食品の保存性を高めるという意味ではさまざまな食品添加物が用いられてきたようです。それらをまとめて「合成保存料」と称した時代があったのですが、「衣食足りて~」といった時代になってきたからでしょうか、健康志向が次第に高まっていきました。その結果、合成保存料って健康にとっては良くないんじゃないかと考えられるようになり、次第に敬遠されるようになっていったようです。

とは言っても保存性を高めることは必要です。傷んだ食品など、誰も買ってはくれません。そのため、微生物の繁殖を抑制する効果が期待できる「pH調整剤」を用いる企業が増えて来ているようです。世の健康志向に応えて、食品メーカーもいろいろと考えて食品添加物をより安全なものにシフトしていっているようですね。


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