調味料のはなしの続き
今回は、調味料のはなしをもう少し詳しく書いていきたいと思います。日本では昔から調味料について「さしすせそ」といった表現がありました。味付けに用いるものを五つ、入れる順番も含めての語呂合わせとして親しまれてきたのはご存じですよね。基本中の基本といった捉え方をされてきましたので、それの意味などを考えてみたいと思います(今回の話題は食品添加物の話からは逸れますが・・・)。
最初は「さ」ですが、これは砂糖を意味しますって、皆さん知っていますよね。次が「し」で、塩を意味します。砂糖と塩、この語呂合わせだと砂糖の方を先に使うという事になるのですが、いったいなぜだと思いますか。
調味料を使って味付けをする場合、調味料が素材に浸透していく必要があります。その時の考え方の目安になるのが分子量なのですが、砂糖と次の塩を比べると、およそ6倍も砂糖の方が大きいんです。「え?」って思いませんでしたか?
グルコース(ブドウ糖)の分子量は180で塩が58.5、およそ3倍じゃないかと考えたかもしれません。私も最初はそう考えましたが、ふと気が付きました。砂糖は別名をショ糖と言いますよね。これは二糖類ですから、ブドウ糖と果糖の二つが合体して作られているんです。果糖も分子量は180なので、ブドウ糖と足して360の分子量になるんです(正確には結合の部分があることで分子量が少し変わります。そのために、実際の分子量は342になるそうですが)。
分子量をモノとしてのサイズとして考えるなら、砂糖は塩よりも6倍も大きいことになりますので、塩を先に入れてしまうと素材に浸透してしまって、後から砂糖を加えてもうまくいかないことになってしまう、そういうことらしいです。加えて、砂糖には素材を柔らかくする働きもあるのだとか。塩は水分を引き寄せる働きがありますから、塩が先だと砂糖が入らなくなるという理由もあるようですね。
昔の人がこのようなことを知っていたのかどうかは分かりませんが、経験的に学んで知っていたのでしょうね。それ以外の理由もあるかもしれませんが、経験を通して「さしすせそ」の順番だと失敗しないという事を知っていたのでしょう。
さて、残りの「すせそ」ですが、これは順にお酢、醤油、味噌の事なんです。これらは味付けもさることながら、風味付けといった意味で用いられる方が多いもののようです。また、これらに共通した特徴として「熱に弱い」というところがあります。ですから、長時間の加熱はあまり好くありません。風味を生かすという事も含めて考えるなら、火を止めてから使うということになりますね。
ただし、全てがこのような使い方をするとは限りません。最初から調味料として混ぜて使う場合もあれば、短時間で仕上げるので順番にこだわらない場合などもありますので、目安といったところでよいでしょう。
今回は食品添加物といった話題から少し逸れた内容でしたが、調味料という括りで捉えていただければと思います。書いた自分が言うのもなんですが、こんな回があってもいいんじゃない?
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