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食品添加物としてのアミノ酸

食品添加物として「アミノ酸」という記載があるのをご存じでしょうか。これって、考えてみると変な話ですよね。アミノ酸はたんぱく質を構成している物質ですから、食品として含まれていてもおかしくはない物質です。なのに、なぜわざわざ食品添加物として記載されているのでしょうか。そしてこの両者、いったい何が違うのでしょうか。

食品添加物として記載の場合、「調味料(アミノ酸)」といった表現になっていることが多いようですが、これらは通常のアミノ酸とは別物として捉えなければなりません。

最初に書いた通り、通常のアミノ酸はたんぱく質を構成しているものですから、人間にとっても骨や筋肉、内臓などをつくる重要なものですね。不足したり欠けたりしたら大変です。これに対して食品添加物のアミノ酸は、うま味調味料といった意味合いで後から添加されているので、記載されているわけです。

少し前になりますが、調味料の話を取り上げたことがありましたよね。あそこで出てきた「旨味調味料」としての位置づけになっているいくつかのアミノ酸成分の事を指して「調味料(アミノ酸)」といった表現をしているんです。

それでは、なぜ食品添加物として加えられているのかというと、簡単においしい味付けができるから、手軽にうま味を追加出来るからなんです。うま味として思い出すのは「かつお」や「昆布」「しいたけ」などを挙げる人が多いと思いますが、これらを使用するためには大量に必要です。しかも、出汁をとるといった作業が必要になってきます。

うま味物質と分かっているアミノ酸のようなものを合成して食品に加えれば、大変な思いをしなくて済むと思いませんか。また、食材自体が持つ酸味や苦みなどを和らげて、食材が持つ本来の良さを引き出してくる働きがあります。

塩分が少なくても、うま味成分があればおいしく食べられるといったメリットもあります。こうなってくると、うま味成分は必要ですよね。したがって、その元であるアミノ酸も加工食品には必要不可欠なものといえます。

加えて、調味料としてのアミノ酸は本来の出汁をとる食材に比べるとはるかに腐りにくいというメリットもあります。そのため低価格の状態で流通できる、廃棄することも少ないというようなメリットもあります。そういった経緯もあって、アミノ酸を用いた化学調味料が広く使われるようになったわけですね。

そんな食品添加物としてのアミノ酸ですが、よく用いられるものとして「グルタミン酸」という物質があります。昆布やトマト、チーズなどに含まれているものなので、それぞれの食材のうま味として知られています。

グルタミン酸はアミノ酸としては必須のものではありませんが、体をつくる構成成分としては必要なものの一つです。食品の成分として含まれているときはたんぱく質の成分として、あるいは他のアミノ酸と結合した形などで存在しています。たんぱく質ですから、摂取すると糖質に比べれば時間はかかりますが、消化吸収されて私たちの体を作る成分の一つとして活躍します。

一方の食品添加物としてのグルタミン酸は、正式には「グルタミン酸ナトリウム」という形で、ナトリウムと結合した形で存在します。この物質は水に溶けやすく、体にも吸収されやすいといった性質を持つことが分かっています。つまり、天然のグルタミン酸よりも早く吸収されるんです。

このように、食品に含まれている成分と食品添加物としての成分とは、まったくの別物として捉える必要があります。 

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